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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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誰にも見えない [藤谷治]
4093877076誰にも見えない
藤谷 治
小学館 2007-03-01

有名私立中学に通う、十四歳の瑠菜。ある日思い立って「日記」をつけることにした瑠菜がつづる、彼女の日々とは…。

うわぁ〜、なんて爽やかで気持ちのいい!びっくりしてしまいました。

この物語は「瑠菜の書いた日記」です。彼女が感じたこと、思ったこと、考えたことが、彼女の言葉で隠すことなく、むき出しに、率直に語られていきます。何がすごいってそれがすごい。だって藤谷さんは大人の男性ですよ?それがこんなふうに…過去に十四歳の女子中学生だったことのある私が読んで、これだけ「そう、そうだった!」ってリアルに胸が痛むような文を書いてしまうんです。す、すごい…。

本が好きな瑠菜。『TSUGUMI』を読み『麦ふみクーツェ』を読み…なんて素晴らしく趣味のよい読書なんでしょう!と、なんかそんなところにも感動してみたりして。

あのくらいの頃、自分の心の中にあった「なにかもやもやしたもの」。瑠菜もそれを抱えていて、それが何なのかを一生懸命考えて、そしてなんとか文字にしようとしています。親という存在、友達との関係、自分の将来―。読んでいるとあの頃の気持ちがぐわっと思い出されてきます。なんか、ちょっと恥ずかしくもなりますけど。だからこの本のラストにはすごく救われたというか、爽快というか、うれしくなりました。

「つらいことが、あっても、ひとりぼっちでも、生きるほかはない。にげ出してもいいし、放り出してもいいし、ひきこもっても、いい。生きなきゃいけない。なんでだか、分かるかい?」
「人間はね、一人のこらず、自分以外のだれかを、しあわせにしないといけないんだよ。一人でも、二人でも、三人でもいい。自分じゃないだれかを、しあわせにするために、人は生きてる。それができないうちは、死のうと思っても、死ねないもんなのさ」
物語の後半、瑠菜が出会ったおじいさんが語る言葉です。この言葉が、この言葉を必要としている誰かのところに届きますように。

今十四歳の人も、昔十四歳だった人も、みんなに読んでほしいなぁと思います。
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アンダンテ・モッツァレラ・チーズ [藤谷治]
4093874808アンダンテ・モッツァレラ・チーズ
藤谷 治
小学館 2003-11

全身奇天烈なタトゥの女・由果31歳は、勤務先の同僚であるへんてこりんな博覧強記男・健次と同棲をしていた。二人は、いまだに尾崎豊を崇拝しへたくそな下北沢路上弾き語りを続ける美形の男や彼に恋してしまったキリスト絶対主義のお金持ち令嬢、運転が世界一うまいハードボイルドな映画マニアといったクセ者揃いの同僚たちと、どれだけバカで笑える話をネタとして供せられるか、に命をかけて過ごしていた。そこへタトゥ偏愛営業部長が策略を起こし…。

今日、藤谷さんのお店に遊びに行ってきましたー!というわけで、記念の再読です。そういえば最初に読んだときも感想書いてなかったですし。(というかまたブログで感想を書くということをやっていなかった?記憶が…)。

この本が私にとって藤谷さんとの出会いの本でしたが、読み始めて最初から、もうその最初の最初のしょっぱなから、ぐいぐいとひっぱられるように、後にはひけない感じで読みました。文体というか語り口というか、そういうのはすごく独特だと思います。私はこういうの大好き…。

バカバカしいということが、どれだけすばらしいということなのか、これを読めば一発でわかる、そんな本です。誰だって、「バカ話」に助けられたこと、きっとありますよね。
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下北沢 [藤谷治]
4898151760下北沢
藤谷 治
リトルモア 2006-06-30

電車を降りると、騒がしくて小さな街の予感がする。階段を登って改札を出ると、もう人間がごちゃごちゃして、妙な熱気が漂っている。でも、まだ改札を出たぐらいじゃ、下北沢は始まらない…。下北沢を舞台に、下北沢を愛する人々が繰り広げる物語。

なんとなく…私の中では「下北沢」って特別なイメージがあります。そしてそれはきっと理解できない感じで、私みたいな普通の人にはちょっと近寄りがたくて…行っても混乱してしまうかもというイメージ。「何おまえ?」って言われたらどうしよう、みたいな。実際行ったことは仕事で数回(ライブハウス数軒と、神社一軒。あ、でもその神社は作中に登場してちょっと感動。)くらいなもので、それとてちょっとなじめない感じで、おどおどしながら行った記憶があります。

そんな私にとって、この本は「行かずして下北沢を感じさせてくれる」ステキな本でした。ほら、実際行くのはちょっと恐いけど、こうやって本を読むことでちょこっと覗き見するくらいなら誰にも怒られないでしょ…という。そしてその「下北沢」で実際に暮らす・仕事をする人のことが、ちょっと分かった気になって、そっかぁって思って、近寄り難い天上の人なんかじゃなくて、元のところではそんなに私と違わないんだなって思って、ちょっとうれしくなりました。

読むと行ってみたくなっちゃうのが、難点なんですけどね(笑)。
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いなかのせんきょ [藤谷治]
4396632568いなかのせんきょ
藤谷 治
祥伝社 2005-12

田舎町、戸蔭(とかげ)村。莫大な借金を残し引責辞任した前村長の後任を決める選挙に担ぎ上げられた深沢清春。対立候補なしでそのまますんなり決まるはずだったその選挙に、突如立候補したその相手は清春を担ぎ出した当の本人で…。

選挙のお話ですが、全然重たくなく、軽妙な語り口は「口上風」というのでしょうか。おもしろおかしく、次へ、次へと読んでいきたくなる感じで、すぐに読めます。読んでる間、ずっと楽しいです。思わずにんまり、という感じ。

談合、根回し、饗応、買収。私はいなかの選挙の実情に詳しいわけではないんですが、あるんだろうなぁこういうの…と。どきっとするようなリアリティはあるけれど、冷たすぎるほどにリアルではない、そんなところが大好きです!
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恋するたなだ君 [藤谷治]
4093875774恋するたなだ君
藤谷 治
小学館 2005-05

たなだ君、二十九歳。ある日ドライブに出た彼は道に迷い、見知らぬ街に迷い込みます。そして車の中から見かけた歩道を歩いていた女性の後姿に、一目ぼれ。恋に落ちた彼がとった行動、そして巻き込まれた大騒動は…?!

ものすごいアクセル全開のラブストーリーでした!予測不能。こういうのもアリなんですね。すごい。もはやファンダジーです。(最後にはあんな彼まで!おどろきました。)

出てくる人はなんだかトンチンカンでめちゃくちゃだし、主人公はどこかすっとぼけてるし、何がなんだか、わけわからないのですが、とにかく圧倒的。はちゃめちゃだけど愛すべき人々…そしてたなだ君。いい!最高です!

たなだ君の乗っている車もよいです。「パオ」。以前、車を買うとき「パオ」にするか「Be-1」にするか悩んだんですよね…。結局そのときは「Be-1」にしましたが、これを読んで「パオ」にしておけばよかった!とちょっと思ってしまいました。

「僕はあなたに何もあげられない。僕といたって得になることはひとつもありません。でも僕はあなたに、これまでとはまるっきり違う人生をあげることができます。そこには黄金の布袋様もないし、博物館もない。綿菓子喫茶も怪獣と闘うおじいさんもいません。だけど、もし、あなたが僕と一緒にいてくれるなら、僕たちはそれを作り出すことができるかもしれない。布袋様よりもっと輝いていて、綿菓子よりもっとおいしくて、博物館よりもっと楽しい何かを。僕があなたを愛して、あなたが僕を愛したら、それはできるんです、多分」
このあたりでやられました。「恋するたなだ君」転じて「たなだ君に恋する」…きゅーん!

こんな恋に私も落ちてみたい…にえ!(いや、大変?!)



【追記】この本は図書館で借りるのではなく、買いましょう!なぜならば表紙のカバーをはずすしてみると、そこがまたステキだからです。
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おがたQ、という女 [藤谷治]
4093875146おがたQ、という女
藤谷 治
小学館 2004-07

無声映画を見ているような、たくさんの写真を見ているような、そんな気持ちで読みました。文中に会話の「」が一つもないから、そういう風に感じたのかな…ということにずいぶんだってから気づきました。でも、そうじゃなくても、映画がたくさんでてくるからじゃなくても、この本自体がやっぱり映画みたいでした。

おかしくて、かなしくて、でもなんというか、暗くはなくて。泣けました。

浦添マツ「オバア」さんが大好きです。沖縄に行ってみたくなりました。オバアの「昇天」のところ、大好きです。あぁ、こんなふうに生きたいなぁ…。

この最後は、きっとハッピーエンドなのだと、そう思います。
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