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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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失われた町 [三崎亜紀]
4087748308失われた町
三崎 亜記
集英社 2006-11

30年に一度起こる町の「消滅」。忽然と「失われる」住民たち。喪失を抱えて「日常」を生きる残された人々の悲しみ、そして願いとは。大切な誰かを失った者。帰るべき場所を失った者。「消滅」によって人生を狂わされた人々が、運命に導かれるように「失われた町」月ケ瀬に集う。消滅を食い止めることはできるのか?悲しみを乗り越えることはできるのか?

※えーと、この本をすでに読まれた方だけ読んでくださいね、という感想です。

…全ての本が読者にわかりやすくなければならないとは、毛ほども思っていないのですが…この本は難しかったぁ〜!というか、設定を飲み込むのにやたら時間がかかりました。いや、読み終えてなお飲み込めていないのかも…。読み進めていけばわかるのかと思ってたら、むしろどんどんわからなくなってゆく…。正直途中で投げ出しそうになりました。SFっていうんでしょうか、こういうの(定義はよく分からずに言っておりますが)。読みなれてないからですかねぇ。

そもそも、このメインになってる「消滅」ってヤツが、ものすごく複雑なうえに科学的なんだか非科学的なんだか、きっちりしてるんだかしてないんだか、「なに?意志があるものなわけ?なんなの?なんなの?オカルトなの?(パニック)」みたいな感じで、それもよくわからないでいたところに、さらに「居留地」やら「分離」やら「古楽器」やらっていう意味不明な世界も出てきたりしちゃって、へんなクスリとかまで出てくるし、盛りだくさんすぎて…いったいどういうスタンスで読んだらいいのか…、混乱を極めました。

もっと掘り下げて分厚くするか、もっとしぼって薄くするか、どっちがにしたほうがよかったのでないかしら?(なんてえらそうに言ってみたりして)。

現実では「ありえない」設定の世界の物語なのに、「この本の中の世界の現在」が「現実」にものすごく近いから余計に混乱するんです。ヘンな世界なの、そうじゃないの、どっちなの!ってな感じで。『となり町戦争』のときにはそれがなんともいえない恐い雰囲気をかもし出しててよかったと思うんですが、この本の場合は…うーん。普通に見えて急に「電力調整日」とか「防空演習」とかあるし。戦時中?誰相手の?なんで?そんな説明あった?(読み飛ばした?)(←ありうる…)。

なお他に細かく気になってしまったことを言うと、「佳子」がメインの章なんですけどね、地の文でいきなり「佳子さん」って…、どうして「さん」付け??普通「佳子」でしょう。なんかすごく違和感があって読みづらかった…。何か意図的なんでしょうけど、意図がわかんなかったので(泣)。

と、なんか否定的なことばかり書いてきたことに気づきましたが、これは間違いなく「力作」なんだろうし、シンプルに「町 VS それに抵抗する人々」の物語として読めれば、それなりに感動できます。いろんな思いを乗り越えて、一つの目標に向かって邁進する人々それぞれの姿。でもなかなかそこに入り込めなった自分の無力さが…受け手の皿の問題が…もったいなかったかなぁ。

あ、あと表紙というか本の作りのアイディアがナイス、と思いました。うまいっ!
| ま行(三崎亜記) | comments(13) | trackbacks(7) |
バスジャック [三崎亜記]
4087747867バスジャック
三崎 亜記
集英社 2005-11-26

バスジャックブームの昨今、人々はこの新種の娯楽を求めて高速バスに殺到するが…。表題作「バスジャック」他、「二階扉をつけてください」「しあわせな光」「二人の記憶」「雨降る夜に」「動物園」「送りの夏」を収録した短編集。

となり町戦争』のイメージがどうしてもあったので、「戦争の次はバスジャックか…。そういうのがお好きなのかしら?」とか思ってあれのバスジャック版(ってどんなのだ)を想像して読みはじめたら、全然違うお話でした。というか長編ですらありませんでした。短編集だったのね…(汗)。

現実の世界と、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ位相が違う、そんな世界の物語。星新一のショートショート…とは全然違うんですけど(あれは別格)、まぁあのような…?長いのがあったり、ものすごく短いのがあったりで、ちょっと読みながらリズムに乗り切れなかった感はあるのですが、なかなかおもしろかったです。不思議ワールドを堪能しました。これを「三崎ワールド」と言うにはまだ著作が少ないと思いますが…こういうのも書けるんだなぁと、すごいなぁと思いました。

個人的には「バスジャック」と「動物園」「二人の記憶」がわりと好きで、「送りの夏」が一番微妙…だったかな…。
| ま行(三崎亜記) | comments(13) | trackbacks(6) |
となり町戦争 [三崎亜記]
4087747409となり町戦争
三崎 亜記
集英社 2004-12

ある日ポストに届いた町の広報誌で知った「となり町」との開戦の知らせ。町役場から「敵地偵察」を任ぜられ、戦争に従事することになった「僕」だが、町はいつもとかわらず、音も光も気配も感じられない。それでも「戦死者」は増え、戦争は着実に進んでいた―。シュールかつ繊細に、「私たち」が本当に戦争を否定できるかを問う衝撃作。第17回小説すばる新人賞受賞作。

結構いろんなところで話題になっていたのは知っていましたが、なんとなく触手が伸びず、今頃読みました。読んだ感想としては…。まぁ上手いなぁとは思ったのですが…すごく心に響くかといえばそういうわけでもなく。あんまり「問われた」ような気がしていない自分。そこがそもそも問題ですか?!

設定とかはすごくおもしろい発想だなぁと思いました。淡々と「戦争」が始まって、「戦時中」になって、そして「戦争」が終わる。事実として認識はしているのに、現実としてまったく実感が持てない。そのことに主人公は戸惑うわけですが、「となり町」との戦争だから実感できないことに戸惑うわけで、「どこか遠くの国と国」の戦争だったら、全く何も思わないんだろうなぁと、そしてそれに何の疑問も感じないんだろうなぁと、そのことをちょっと怖いと思いました。

戦争が「お役所仕事」としての「事業」っていう書かれ方をしてるのも、なんかすごいなと思いました。実際の戦闘は外注の企業が請け負ったりするとか。今の戦争って、実際こういう面もあるんだろうな…と。お金、お金、お金。どこかで笑ってる人がきっといて。なんだか憂鬱な気持ちになりました。

それにしてもこの「お役所仕事」の描写がすごーく細かくて、微に入り細に入り…妙なリアリティがありました。いや、リアルなのかどうかは(経験したことがないので)分からないですけれど、すごくありそう!と。この妙に事務的な様子とか、変にきっちりした文書とか、会議してハンコ押して予算内でことが進んでいけば全てOKで、それに何の疑問も抱いていない、そんなところが。

前半と後半で、なんだかテーマがずれてきたような気が読んでいてしたのですが、結局自分個人のレベルのことに置き換えないと、そこまで問題が降りてこないと、「戦争」というもだって結局実感できないっていうことなのかなぁと、無理矢理結論付けてみたりしましたが…なにはともあれ、これがデビュー作っていうのは、設定といい文章といい、ものすごく「できがいいなぁ」と、そんな風に思いました。(えらそう?)
| ま行(三崎亜記) | comments(13) | trackbacks(15) |