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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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最後のウィネベーゴ [コニー・ウィリス]
430962197X最後のウィネベーゴ
コニー・ウィリス 大森望編
河出書房新社 2006-12-08

図書館で、「あ、コニー・ウィリスの新刊だ!」と思って手にとったところ、こんな表紙がお出迎え。びっくり&びびってしまい、こっそり本棚に返そうとしたところ、このワンコが「まさかオレ様の本を読まねぇってことはないよな?!ああん?!」とおっしゃり、ひー!と思って裏返したら裏表紙のワンコがまた「この世界一ラブリーなオレ様の本だぜ?きゃわん!」とおっしゃったので、読むことにしました。

…って冗談ですけど、松尾たいこさんですけど、いい意味で、すごいです。

気を取り直して、えーと、コニー・ウィリスの短編集です。収録されているのは「女王様でも」「タイムアウト」「スパイス・ポグロム」「最後のウィネベーゴ」の4作品です。

「女王様でも」
娘が「サイクリスト」になると言い出した。それについてどうしても一言ある親族が繰り広げるどたばたは…。

これは最初読み始めたとき、いったい何のことなのやら「???」だったのですが、それがわかったところで「!!!」となりました。うまい〜!!私が感じたのと同じ読んでびっくりを味わってほしいので、ネタバレはしませんが、さすがだなぁ、と。

「タイムアウト」
タイムトラベルの新理論、「現在子」の研究に協力することになったルジェーン。この計画の正体は?集められた人々はいったい…?

あとがきで大森さんが書いていらっしゃる「最大の特徴は、一見まったくSFとは思えないその書きっぷり。なにしろ小説の九十五パーセントは主婦のよろめきドラマと区別がつかないのである。」に深く納得。しかし、実はオチがよくわからなかったわたしです。えーと…で、えー…んが?どうも「時間モノ」は私の脳みそではついてゆけないらしい…。最後のセリフとかも、きっと効いてるんだと思うんですけど、よくわからず。そんな自分がにくい。

「スパイス・ポグロム」
「スペースプログラム」を巡って、エイリアンたちと交渉中の地球。婚約者からエイリアンを自宅で世話するように頼まれたクリスは…。

これスキです!こういうのスキです!ロマンチックなドタバタ劇。やたらと「日本」な小道具や名前が出てくるのは、もともとがそうなのでしょうか?大森さんのサービス?いや、さすがにそれはないか…。スピルバーグさん、これを映像化してくれないでしょうか(笑)。

「最後のウィネベーゴ」
取材先に車で向かう途中、道端でひき逃げされた動物の死体を発見したマコーム。このとき彼がとった行動がやがて…。

舞台はまた大森さんの言葉をお借りすると「終末に向かってゆっくりと坂を下りはじめている(いまの現実と地続きの)世界」。読み始めた最初の頃は、何が「いま」と違うのかわからないくらい、現実に近い、でも何かが違う世界で、読み進めて行くうちに、それがなんだかわかってくる、その過程すら見事でした。こういう「なんだかわからない違和感」が邪魔をして物語に没頭できない作品も多いのですが、これは違いました。そしてこの物語は…私は泣きました。356ページの、まさにそのセリフで。名作です。読み終わってから、もう一度表紙を見たら、彼らが私に語りかけてくることは、最初と全然違いました。誤解してて、ごめんね…。

というわけで、4編、それぞれが全く違うタイプで、でもそれぞれに傑作でした。私はもちろんコニー・ウィリスといえば「めちゃめちゃ長い小説ばっかり書いてる人」だと思いこんでいたクチなので、そういう意味でも新鮮でした。長かろうが、短かろうが、中くらいだろうが、すばらしいものはすばらしいのでした。

ちなみにこれは河出書房新社から出ている「奇想コレクション」の一冊ですが、このシリーズ、全部表紙が松尾さんです。いいなぁ。
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ドゥームズデイ・ブック [コニー・ウィリス]
4152079665ドゥームズデイ・ブック
コニー ウィリス Connie Willis 大森 望
早川書房 1995-11

舞台は2054年、タイムトラベルが実現可能となった未来。オックスフォード大学史学部の女子学生キヴリンは、自ら熱心に志願して前人未踏の中世14世紀に送られた。だが、過去に到着すると同時に病に倒れてしまう彼女。そして現在の世界でも大きな問題が発生し…。

読み始めるまで忘れていましたが…そうでした、こういう「物語」を書く方でした。痛いほどに、とことんまで突き詰めた物語を…。甘く見ていて、痛い目にあいました、ほんとうに。読んでいて、ガツンガツンときました。

中世と現代、二つの時代でそれぞれに、それぞれの人が全力を尽くして「疫病」と闘う物語。彼らの焦りも絶望も、そして祈りも希望も、強く強く胸を打ちます。ここで描かれている「人間の姿」というもの、もう素晴らしかった…。二段組で、すごく厚い本なのですが、一気に読み終わりました。

これの続編にあたる『犬は勘定に入れません』を、私は先に読んでいたのですが、全然雰囲気が違います。テーマも違うのでしょうが…これを同じ人が書いたのかと思うと驚きです。すごすぎます…。こちらはテーマは重いし、現実は厳しいし、暗いと言ってしまえば暗い物語なのですが、でもそこはさすがというか、それだけでは終わらず、思わずクスリと笑ってしまうような脇役がいたり、コミカルなところもあったりで、すごく救われました。

分厚い本なので、持ち歩くのはちょっと…と思い、まとまった休みになるまで読むのを待っていた本なのですが、そんなことしないでもっと早く読めばよかった!と思いました。(結局一日で読んだし…)。このGW、この一冊を読んだというとの事実だけで、とても素晴らしいGWだったと思います。
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航路 [コニー・ウィリス]
4789719332 4789719340航路(上)
航路(下)
コニー ウィリス 大森 望
ソニーマガジンズ 2002-10-08

「臨死体験」を科学的に検証する研究をしている認知心理学者のジョアンナ。そんな彼女の元に、化学物質によって擬似臨死状態を作り出す実験を試みる神経内科医のリチャードが現れた。彼の研究にパートナーとして参加することになったジョアンナだが、被験者不足のため自らも実験台に上ることに…。擬似臨死状態で彼女が見たものとは何なのか? 臨死体験とは脳が作る幻想か、「あの世」からのメッセージか?

評判はいろいろ聞いていたのですが、この厚さに加えて上下巻というのにちょっと躊躇してしまい、読み始めるのに時間がかかってしまいました。でも読み終えてみて、そんな心配はまったくいらなかったということがわかりました。時間があまりなかったので、二冊を二日かけて読むことになってしまいましたが、時間さえあれば一日中読んでいたかった…そんな魅力的な本でした。

テーマが「臨死体験」というので、そういううさんくさい世界はちょっと…と思っていたのですが、この物語の主人公はそれを科学的に解明しようと試みている人たちです。もちろんそれを否定する人々も登場しますが、それに翻弄されつつも屈することなく、なんとか冷静に理論を展開しようとする彼ら。

だからといって思い暗い物語なわけではありません。登場人物たちはみなとても魅力的ですし、コミカルなシーンも、クスリと笑ってしまうようなシーンもたくさんあります。そして彼らが思い悩む「なんだかわからないけれどどうしても気になる」「もうちょっとで思い出せそうなのに思い出せない」感覚、すぐそこに答えがあるのに手が届かない―それがもう我が事のようにわかって、感じられて、もどかしくて気になって気になって、どんどん先が読みたくなりました。中断するのが本気で苦痛なくらいでした。

この作品は三部構成になっているのですが、二部のラストでものすごくびっくりする出来事が待っていました。思わず「え?」と声が出てしまうくらいでした。信じられない…、実際信じないまま読み進めたのですが、どうも信じるしかないらしい…と。そして第三部で幕を下ろすまで、そこで語られる物語は…上巻を読んでいたときには、まさか自分がこんなに何度も泣くとは思ってもみませんでした。ストーリーの面白さ、キャラクターの面白さだけではありません。人が生きて、そして死ぬということ。その「人」というもののたくましさや優しさや…そんなものもたくさんつまった物語でした。

こんなに厚いのに、こんなに長いのに、もう一度読みたいと思わせてくれる、すごい本でした。この本を読み終わってつくため息は、幸せなため息です。
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犬は勘定に入れません [コニー・ウィリス]
4152085533犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎
コニー・ウィリス 大森 望
早川書房 2004-04-17

時は2057年。過去の空襲で消失した聖堂の再建計画プロジェクトの一員である学生ネッド・ヘンリーは、「主教の鳥株」と呼ばれる花瓶を何がなんでも探し出せ、という指令のもと、タイムトラベルで現代と過去を行ったりきたりで疲労困憊。休息のため、19世紀のヴィクトリア朝時代に派遣されることになります。しかし時差ボケならぬ時間差ボケ(タイムラグ)で朦朧としていたネッドは、それがただの休暇ではなく、時空連続体の存亡をかけた重要な任務が課せられたタイムトラベルであることを聞き逃し…。

一言でいうと「タイムトラベルユーモアミステリー」!です。まさに。タイムトラベルものの、ユーモアあふれるミステリーでした。

なお、ちょっと読んだところで、この本は『ドゥームズデイ・ブック』という本の姉妹編だという噂を耳にし、それならばそっちを先に読まねば!と図書館に行ってみたのですが、手首を捻挫しそうに分厚い本だったので、借りずに帰ってきました。スイマセン。

はじめのうちは読むのしんどかったです。外国ものはいつもそうなんですけど…。なかなかこの「ワールド」に慣れないというか。なじめないというか。ほんとにみんな、こんな引用ばっかりの、とんちんかんな会話してるの?!みたいな(笑)。文化の違いをしみじみと。

でもそうは言っても読み進めるにつれて、ぐいぐい物語りに引き込まれます。結構分厚い本なのですが、ラストの大円団まで、その厚さを感じさせない勢いで読めました。全体にコメディタッチで読みやすいというのもあるかと思います。登場人物がみんなとても魅力的(というかちょっと変?!)ですし。翻訳のうまさというのもあると思いました。(訳注に笑ったのなんて…そうありません!)

タイムトラベルものにありがちな「頭こんがらがり」はやっぱりありましたが、それはわたしの理解能力が低いためということで。
(だって難しいんですもん。)(←たぶん今も完全には理解しておらず。)

犬好き、そして猫好きは読んで幸せ。ちょっと歴史の勉強もできてお得です。(これ読んで学習してるようじゃダメですか?!)
『ボートの三人男』も読んでみたくなりました。

それにしても、最後まで読んでも「主教の鳥株」の絵づらがまったく想像できないのは…わたしだけですか?!
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