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2013.11.18 Monday | |
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+ ChiekoaLibrary + 世界に一つだけの図書館。 ―ちえこあ図書館―
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弱法師 中山 可穂 文藝春秋 2007-02 |
わたしは、恋も、愛も、天国も、地獄も、何も知らない。「恋とは死に至る病いである。」
できることなら、こんなふうにぼろぼろになっても、胸がぺしゃんこに潰れるような思いをしても、年を取りすぎた大きい天使になっても、狂ったように愛して愛され、いとしい誰かと手に手を取ってこの世の淵からこぼれ落ちたい。打ちのめされ、追い詰められ、虚無に向かって行進していくような人生でもかまわない。
こんなふうに誰かを、ただひとりのひとを、一生かけて、馬鹿みたいに愛したい。
(「浮船」より)
ケッヘル(下) 中山 可穂 文藝春秋 2006-06 |
もう恋人はつくりたくなかった。もう二度と廃人になるような恋はしたくない。あんな思いをするくらいなら孤独のままでいるほうがいい。愛さなければ傷つけられることもない。手に入れなければ失うこともない。求めなければ損なわれることもない。たとえゼロでも、マイナスになるよりはいい。そう言った彼女が、そして、でも「わたしだって本当は、孤独をおそれる人間のまま、愛を求める人間のまま、本来の人間らしい姿のままで生きていきたかったのだ。」と言った彼女の気持ちが、わかってわかって、苦しくて苦しくて、私は見ていられなかった。だからそんな彼女が、最後にこの場所にたどり着いて、ほんとうによかった。ここで彼女が、いつまでもいつまでも、愛し、愛されて生きてくれることを、ほんとうに心から祈っています。
ケッヘル(上) 中山 可穂 文藝春秋 2006-06 |