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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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弱法師 [中山可穂]
4167726017弱法師
中山 可穂
文藝春秋 2007-02

医者である鷹之の元を、ある日訪れた美しい母子。難病を抱えた子供・朔也の治療を続けるうちに彼は―表題作「弱法師」他、「卒塔婆小町」「浮舟」が収録された作品集。

なんというか…とてもひと言で言い表せるような本ではありませんでした。なにが、どうしてこんなに…。あぁ、全然うまくいえませんが。すばらしかった。ぐぅっと喉の奥が詰まったみたいになって、読み終わってから、しばらくご飯が食べられなくなるくらいの、本でした。

能をモチーフにしているのだというのをどこかで読みましたが、私はそもそもの能の作品の方を全く知りません。知識なくて…強いて言えば「小町」の話は別口でいちおう知っていたかも、というくらい。でも、そんなの知らなくても、この物語が、彼らが伝えてくるもの、その圧倒的な思いも感情も…、まったく揺るがない、そんな気がします。

共感というのは全然違う、むしろ私の全然理解できない、もしかしたら一生知らないかもしれない「恋」に生きる彼らの、でもその思いがこんなに痛いのはどうしてでしょう。涙が出そうになるのはどうしてでしょう。人と人が関わること。誰かが誰かを思うこと。その生々しさ。その純粋さ。圧倒的でした。すごい本でした。

わたしは、恋も、愛も、天国も、地獄も、何も知らない。
できることなら、こんなふうにぼろぼろになっても、胸がぺしゃんこに潰れるような思いをしても、年を取りすぎた大きい天使になっても、狂ったように愛して愛され、いとしい誰かと手に手を取ってこの世の淵からこぼれ落ちたい。打ちのめされ、追い詰められ、虚無に向かって行進していくような人生でもかまわない。
こんなふうに誰かを、ただひとりのひとを、一生かけて、馬鹿みたいに愛したい。
(「浮船」より)
「恋とは死に至る病いである。」
たとえそうだとしても、わたしたちは。
| な行(中山可穂) | comments(2) | trackbacks(2) |
ケッヘル(下) [中山可穂]
4163250506ケッヘル(下)
中山 可穂
文藝春秋 2006-06

旅先で出会った男・遠松の紹介で、奇妙な旅行代理店で働き始めた伽椰。しかしの添乗員として出かけたその旅先で、続けざまに「事件」は起こる。真相はいったい何なのか。そして遠松の正体は…。

錯綜する過去と現在。上巻では、何が起こったのかわからなくて、心が苦しかった。下巻では、何が起こったのかがわかって、心が苦しくなりました。

細かいことを言い出せば、いくらでもいちゃもんをつけられるのかもしれません。でもこの本は、読み終わったときにそういう気持ちに全然ならなかった。そういうことばっかり言いたくなる本だってあるけれど、私にとってこの本はそうじゃなかった。ただ、圧倒されました。すごかった。夢中で読みました。

面白かったとか、楽しかったとか、そういう感情とは別のところにある本です。読み終わった今は、どうか、彼らの、彼女たちの、これからの人生が暖かく幸せなものでありますようにと、祈って止みません。

もう恋人はつくりたくなかった。もう二度と廃人になるような恋はしたくない。あんな思いをするくらいなら孤独のままでいるほうがいい。愛さなければ傷つけられることもない。手に入れなければ失うこともない。求めなければ損なわれることもない。たとえゼロでも、マイナスになるよりはいい。
そう言った彼女が、そして、でも「わたしだって本当は、孤独をおそれる人間のまま、愛を求める人間のまま、本来の人間らしい姿のままで生きていきたかったのだ。」と言った彼女の気持ちが、わかってわかって、苦しくて苦しくて、私は見ていられなかった。だからそんな彼女が、最後にこの場所にたどり着いて、ほんとうによかった。ここで彼女が、いつまでもいつまでも、愛し、愛されて生きてくれることを、ほんとうに心から祈っています。

そしてやっぱり謎に思います。どうしてこの本は直木賞候補にあがっていないのか…。誰の目が節穴なんだ!!(え?わたし??)
| な行(中山可穂) | comments(8) | trackbacks(4) |
ケッヘル(上) [中山可穂]
4163250409ケッヘル(上)
中山 可穂
文藝春秋 2006-06

長い海外生活の末、海峡の町で木村伽椰は遠松鍵人という一人の男と出会う。遠松に帰国後の仕事を斡旋された伽椰だが、彼女を待ち受けていた運命は…。

実は中山さんの本は、以前『深爪』を途中リタイアという苦い経験があり…それ以来手を出していなかったのですが、この『ケッヘル』はあまりにも評判がよく、なにかこう自分の中でも引きつけられるものがあり、その内外部からの欲求に抗いきれず…。

読み始めて、あぁ、あの直感に間違いはなかったな、と。

モーツァルトの音楽に取り憑かれた男と、過去の亡霊から逃げ続ける女。伽椰の「現在」の物語と、遠松の「過去」の物語。交互に語られるその物語の行き着く先はどこなのか…。もやもやが心に立ちこめて、ページを繰る手が止まりません。

そして、まだこれから下巻を読もうというのに、こういうこと言うのもナニかもしれませんが…どうしてこの本、今回の直木賞候補にあがってないのですか?!謎…。
| な行(中山可穂) | comments(7) | trackbacks(6) |