好きなのに今は会えない人がいる……有麻は25歳OL。高校時代、修学旅行2日目の夜。同級生とのある記憶を確かめるため、約束もなしに上京。6日間の東京滞在で、有麻は会いたい人に会えるのか? とびきりの恋愛小説!
読み終わって、↑というこの本の紹介には、個人的には「…?????」とクビをひねっているのですが。これ、恋愛小説じゃないよねぇ…。っていうかテーマが「好きなのにあえない人」とか「会いたい人に会えるのか?」だとも思わなかったのですが。どうなのでしょう。はて。私の読み方が違ってるだけだったらごめんなさい。
とまれ、まぁ大阪から上京した有麻の、「月曜日」から「土曜日」までの6日間の出来事が綴られていることには間違いありません。感想を書くのに「いつもの通り」っていうのもなんなんですけど、非常にいつものとおりの…あの大阪弁の会話が交わされる中での、不思議と静かな描写で綴られた、ゆるい雰囲気の小説です。「大阪弁」「カメラ」「異性の友達」「距離」ってのは、なんか過去の作品にも共通したキーワードなのかなぁと思ったりしました。
今回は主人公が上京しているので、舞台は東京(あるいはその近郊)です。最初のシーンは工事中の地下鉄半蔵門線・表参道駅。(『
ショートカット』にも登場してましたけど、表参道、お好きなのかしら)。今はすっかり新しく完成したこの駅の、当時実際に工事中だったところを私は散々自分の目で見ているのですが、なんかすごいなと、思ってしまいました。この描写は、まさにあのときの「表参道駅」です。今回は表参道だから、私にもそのすごさが改めて実感したのですが、今までのあの「大阪」の描写も、知ってる人が読んだらやっぱり「すごい」と思うんだろうなぁと、しみじみ思いました。
これから先発表されるであろう作品もこの雰囲気で行くのか、またはどこかでがらっと変わるのか、そういうところも含めて、それを読むのがとっても楽しみです。
あ、そうそう、個人的には「F1ネタ」が途中でちょびっと出てきたのがうれしかったです(笑)。あぁ、あそこ私だったらもっと熱く語るのに…!(迷惑)。