都会で生まれ育ち、私立中学に入学、エリート目指してまっしぐら。座右の銘は『必勝』。そんな優が家族の都合で突然田舎に転校することに。そこで彼を待ち受けていたトンデモナイ生活とは…。
田舎生活になじめずぶつくさ文句を言う優。不満爆発の彼は大真面目なんですけど、そこがまたおもしろおかしいというか!「会場模試を受けさせろ!ダメなら自腹で受ける!」なんて親に宣言する中学二年生なんて、なかなかいないと思います(笑)。あと自己紹介のときに「優は優秀の優と書きます」なんて自分で言う子なんて(笑)。
ほんと、この優くんがかわいい!かしこくて、背伸びして、ちょっと突っ張ってて、でも根は素直で。とってもいい子。「少しは子どものSOSをキャッチしろよ。」なんて自分で思っちゃうところがいい!そして「かっこ悪いから自分では言わないけど」ってところがまたいい!お父さんの言うこととかじっくり聞いちゃったりして。うーん、こういう息子が欲しいなぁ。
なーんて、楽しく読み進んでいたら!
大どんでん返しが!!えぇぇぇぇ!!そ、そんな!
彼の新しいクラスメイトたちが、あんなにやさしかったのは、それは彼らが「痛み」を知っているから。それがちょっと切なくて、でもうれしかっです。そんなこの子たちがこんなにまっすぐで、曲がらずにいてくれたことが、とても。
最後のシーン、優からお父さんへのメール。そのタイトルを見たら、中身を読まなくてももう彼は大丈夫って思いました。最後まで読み終わって、最初に思っていたのとは違ったかもしれないけれど、でも、やっぱり優くんみたいな息子が欲しい!と思いました。
【追記】
装幀の絵は松尾たいこさんです。裏表紙もステキです。ちょうと先日読んだ江国さんの「ヴァラエティ」の中で、絵国さんが「松尾たいこさんの絵が大好き」と言っていたのを読んだ直後だったので、運命!(←何の?)と思いました。