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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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珍妃の井戸 [浅田次郎]
4062750414珍妃の井戸
浅田 次郎
講談社 2005-04

列強諸国に蹂躙され荒廃した清朝最末期の北京。その混乱のさなか、紫禁城の奥深くでひとりの妃が無残に命を奪われた。皇帝の寵愛を一身に受けた美しい妃は、何故、誰に殺されたのか?犯人探しに乗り出した日英独露の高官が知った、あまりにも切ない真相とは―。

蒼穹の昴』にあまりにもはまったので、そのままこちら『珍妃の井戸』に突入してしまいました。時期的には『蒼穹の昴』のラストから二年後、義和団の乱(なんか歴史でやった気がするんだけど、まったく覚えておらず不覚)のさらに後のお話です。

蒼穹の昴』に出てきた登場人物たちの、その後がわかる、という点で番外編的な役割も負っているのかなと思います。とはいえ、トーンが全然違うというか、ああいう壮大な歴史と人間のドラマ!という感じではなく、ちょっと推理小説っぽい、軽い読み物っぽい感じになっています(と私は思いました)。

今回の主役は『蒼穹の昴』の当事者たちでなく、あの物語にとっては第三者である四人の貴族たち。事件の真相を追う彼らが、関係者たちに話を聞くという、インタビュー形式で物語が進んでいきます。その話を聞かれるのが、トーマス・バートンであり、蘭琴であり、袁世凱であり、珍妃の姉であり、そのおつきの宦官であり…。でも各自の証言する内容が全部が全部バラバラなのです。いったい真相は何だったのか?!誰が嘘をついていて、誰が本当のことを言っているのか?読み進めるにつれ、もうどんどんわからなくなります。しかしあまりにもみんな正々堂々と大きな声で嘘を付きすぎる…いけしゃぁしゃぁってこんな感じ?四人の貴族もごくろうなことだわ…という心境に。

「その後」を知ることができてうれしかったですけど、でもこの結末は…切ないですね。真相がどうだったのか、それはわかりません。そういう意味で、やっぱりこれはただの「推理小説」ではないんだろうなと思います。ただひたすら…切ないです。人の、国の、世界の思い、悲しみ。いろんなことがぐわっと浮かんできて、切ないです。

ちなみに、以下、自分のための参考資料。実在の人物たちの紹介へのリンクです。
ああ、ホントに実在していたんだなぁと、しみじみ…。

西太后 / 光緒帝 / 李鴻章 / 袁世凱 / 康有為 / 恭親王 /

なお、『蒼穹の昴』を読み始めたときは、人の名前の読み方が日本語読みでなく中国語読みなことにとまどい、最後まで大丈夫か?!と心配になっていた私ですが、今となっては逆に日本語読みに違和感を感じるという…。「せいたいこう」じゃなくて「シータイホウ」じゃなくちゃいや!…そんな自分にちょっととまどったくらいのものです。はまってますね。そんな自分がうれしかったりします。リッパに育ちました(?!)。

『蒼穹の昴』(文庫版全四巻)感想
蒼穹の昴(1)
蒼穹の昴(2)
蒼穹の昴(3)
蒼穹の昴(4)
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蒼穹の昴(4) [浅田次郎]
4062748940蒼穹の昴(4)
浅田 次郎
講談社 2004-10-15

人間の力をもってしても変えられぬ宿命など、あってたまるものか―。紫禁城に渦巻く権力への野望、憂国の熱き想いはついに臨界点を超えた。天下を覆さんとする策謀が、春児(チュンル)を、文秀(ウェンシウ)を、そして中華4億の命すべてを翻弄する。

読み終わって今、なんだか胸がいっぱいです。楽しかったとか面白かったとかそういう単純なことじゃなくて、うれしいとか悲しいとかそういう単純な思いでもなくて。なんか、圧倒されてしまって、言葉がありません。

一つの「国」というものの盛衰の歴史をめぐる大きな物語と、その中で生きる人々の小さな物語と。その二つが合わさったこの物語は、いろんな思いを胸の中に巻き起こします。人の上に立つということ、政を行うというのはどういうことなのか。たくさんの人々に「生かされて」生きようとするその重みはどんなものなのか。何が「難く」、何が「易い」のか。いろんな思いが頭の中を渦巻いていて、うまく言葉にできません。

天命がなんだ、運命なんかに負けてたまるか、人間がそんなものであってたまるか。この物語から聞こえてくるのは、そんな声です。そう叫びながら、人間の、人の力を信じて必死で生きていく、そんな人々の姿です。歴史というものすごく大きな波の前に、人間はちっぽけで無力であるかもしれないけれど、でも決してそれだけではない。それは、何かをあきらめる理由にならない。彼らの生き様に、何も学ぶところがなかったら嘘だと思います。ずっと読まないでいたけれど、読んでよかった、心からそう思える物語でした。

『蒼穹の昴』
蒼穹の昴(1)
蒼穹の昴(2)
蒼穹の昴(3)
・蒼穹の昴(4)
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蒼穹の昴(3) [浅田次郎]
4062748932蒼穹の昴(3)
浅田 次郎
講談社 2004-10-15

落日の清国分割を狙う列強諸外国に、勇将・李鴻章(リイホンチャン)が知略をもって立ち向かう。だが、かつて栄華を誇った王朝の崩壊は誰の目にも明らかだった。権力闘争の渦巻く王宮で恐るべき暗殺計画が実行に移され、西太后(シータイホウ)の側近となった春児(チュンル)と、改革派の俊英・文秀(ウェンシウ)は、互いの立場を違えたまま時代の激流に飲み込まれる。

ただでさえごたごたしていたところに…列強が…日本まで!ああもうじゃまだよ!何してんのよ!という気持ちになりながら読んでいる私です。日本人なのに…。

日本人も含め、登場人物もぞくぞくと増え、いよいよ佳境といった感じ。年月が過ぎ、人々も老い、しかし容赦なく襲いくる激動の波。様々な思惑のなか、人が死に、歴史は動いていきます。この物語がどこまで史実に沿っているのか、登場人物達のどこまでが実在なのか、無知な私にはわからないのですが、なんかもうそんなこと関係なしに、私は今この世界に魅せられて夢中です。

ノンストップで四巻に突入したいと思います。

『蒼穹の昴』
蒼穹の昴(1)
蒼穹の昴(2)
・蒼穹の昴(3)
蒼穹の昴(4)
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蒼穹の昴(2) [浅田次郎]
4062748924蒼穹の昴(2)
浅田 次郎
講談社 2004-10-15

官吏となり政治の中枢へと進んだ文秀(ウェンシウ)。一方の春児(チュンル)は、宦官として後宮へ仕官する機会を待ちながら、鍛錬の日々を過ごしていた。この時、大清国に君臨していた西太后(シータイホウ)は、観劇と飽食とに明けくれながらも、人知れず国の行く末を憂えていた。権力を巡る人々の思いは、やがて紫禁城内に守旧派と改革派の対立を呼ぶ。

なんとなく、思っていたのと方向性が違ってきました。私はこの物語を、「若く志高い正義の青年が、神のお告げの下、旧悪を滅ぼし天下をとる!」みたいなお話だと(勝手に)思っていたのですが、どうも違うみたいです。

だいたい、わかりやすい「悪人」が出てきません。いつ出てくるのかな、いつ出てくるのかなと思って読んでいて、すわ、こいつか!と思っても、それは見る人によって見え方が違うだけで、その人生を、自らの信念にのっとって、精一杯生きている人たちなのです。そしてそれは、限りなくこの「現実」に近いのかもしれないなと、そう思い始めました。

誰がよくて誰が悪いとか、そういう簡単なお話じゃなくて、それぞれが必死で生きていて、心の底から国を、民を思うその気持ちに変わりは無いけれども、ただ立場が違うだけでそれが「悪」に見えたりもする。対立しているとされる后も帝も、ごく自然な親子の愛情でお互いを思いあっているのに、傍目には后党と帝党とに分かれて権力を奪い合い、虎視眈々とお互いを狙っているように見えてしまう。そういう、悲しいことなんだなって。一見してわかることなんか、なんにも真実じゃないんだなって、なんかそういうことを、しみじみ思わされました。

自らに告げられた予言の真実…それを知らないまま、しかし着々と確実に階段を上っていく春児。その過程は一種爽快ですらありますが、やっぱりこれは、「神のお告げで勧善懲悪」ってお話じゃありません。もっと、もっと深いところでの、人と人の、生きる姿の物語です。三巻目を心して読みたいと思います。

『蒼穹の昴』
蒼穹の昴(1)
・蒼穹の昴(2)
蒼穹の昴(3)
蒼穹の昴(4)
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蒼穹の昴(1) [浅田次郎]
4062748916蒼穹の昴(1)
浅田 次郎
講談社 2004-10-15

汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう―中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児は、占い師の予言を通じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀に従って都へ上った。都で袂を分かち、それぞれの志を胸に歩み始めた二人を待ち受ける宿命の覇道は…。

酒見さんの『泣き虫弱虫諸葛孔明』を読んで以来、にわか中国歴史モノブームがやってきているわたくし。というわけで勢いに乗って、ずっと読もうと思って読めずにいたこの作品を読み始めることにしました。読み始めたときは人の名前の読み方が日本語読みでなく中国語読みなことにとまどい、最後まで大丈夫か?!と心配になったのですが、きちんと各ページごとにフリガナをふってくれているので、問題ありませんでした。よかった…。

文庫版では全四巻。この第一巻でメインになっているのは、街の老婆に「宰相か大臣になり天子を助ける」と予言された文秀(ウェンシウ)と、「この世のお宝を全て手にする」と予言された春児(チュンル)の物語です。

いいとこのボンボンで、次男ゆえに全く期待されておらず、それどころか奇人変人扱いされていたのに、その兄を差し置いて科挙の試験に受かってしまった文秀。貧乏暮らしを抜け出すために、なんとか予言どおりにお宝を手に入れたい春児。春児の亡き兄が文秀と義兄弟の間柄だったということで仲がよかったこの二人の関係が、文秀が試験に受かったことで今後どうなっていくのか。果たして予言は的中するのか。彼らの運命は。先が気にかかるところです。

それにしても、私の中ではこれも三国志も「中国の昔の話」でひとくくりのイメージだったんですけど、三国志はこの『蒼穹の昴』の作中においてをや「古典」なんですね!さすが中国…歴史が長いです。

『蒼穹の昴』
・蒼穹の昴(1)
蒼穹の昴(2)
蒼穹の昴(3)
蒼穹の昴(4)
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輪違屋糸里 [浅田次郎]
4163229507 4163229604輪違屋糸里 上
輪違屋糸里 下
浅田 次郎
文藝春秋 2004-05-27

舞台は幕末の京都。新選組とそれにかかわった周囲の人々を軸に繰り広げられる、浅田版新選組物語。

なんというか…人間の、男と女の、物語でした。

新選組大大大好き人間の私。もちろん基本的な史実は頭に入っているので、(そうじゃなくてもものすごく有名な話ですけど)、この物語の結末がどうなるのかという全体の流れはあらかじめ分かっていました。でも、ストーリーの先が分かっていても、それでも面白く読めるのです。さすがだなぁと思いました。

あたりまえですが、全部が史実じゃありません。でも多くの人々が書いてきたあの時代のあの設定をベースに、こんなふうに新しい物語を描くことができるんだなぁということにすごく感心しました。外側の歴史だけをとらえるのではなく、もっと「人」というものの内側に切り込んだ感じ。新選組のとらえかたも、その隊士たちそれぞれのとらえ方も、私にとってはすごく斬新でした。(私は個人的には芹沢鴨を悪役とは思っていないのですが、そういうふうに描かれることが多いので、これはちょっとうれしかったな…。)

紙の上で知る「歴史」ではなく、その時、その場所で「生きて」いた「人間」の姿。今の私たちと何ら変わらない、心を持った「人間」の姿というのを、あらためて実感を持って感じることができました。

タイトルにこそ糸里の名前がついていますが、この物語で何かを「語る」のは糸里だけではありません。同じ天神の吉栄だったり、土方だったり、お梅だったり、沖田だったり、八木家や前田家のおかみさんだったり。男も女も、それぞれに、それぞれの胸のうちを語ります。誰もが不器用ながらも自分の人生を精一杯生きている。その全てを聞く「読者」というのは、結構つらい立場だったりします。でもそういうふうに突き動かされる感情も、その余韻も、この物語の素晴らしさの一つだろうなぁと思います。

「新選組」熱が再燃しそうであります…。
また京都・新選組めぐりに行っちゃおうかなぁ…。
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