アパートの隣人・靖子に思いを寄せる、さえない高校教師の石神。ある日その彼女が殺人事件を起こしてしまったことを知った彼は、愛する人を守るため完全犯罪を目論む。石神の友人でもある湯川は、果たして真実に迫ることができるのか?
発売当時に図書館に予約を入れて、早半年。その間に「このミス」一位を獲り、直木賞を獲り…もうその話題も薄れ始めたくらいの今日このごろ。やっと手元にやってきました。待ってたよ!(ほんと、買えって感じですよね)。
というわけで、読みました。ガリレオシリーズでは、初の長編ということになるんですね。今までの短編とはがらっと雰囲気が違う、登場人物たちこそ同じだけれど、まったく別の物語のようになってました。ドラえもんでいうと、テレビ放送版と映画版の違いみたいな感じでしょうか…。趣向も感動も段違い!でした。(いや、短編は短編でまた違った味わいがあってよいのですが。)
ミステリーだけれど、最初っから犯人がわかっていて、さぁ、警察は、探偵はどうする?!という筋書き。なるほど、どうするんだろう。どうなってもいやだなぁ…、でもこの女の人はあんまり好きじゃないから、この人がつかまるのがいいかな、なんて思いながら読んでいたのですが…、まんまと騙されました。はい。えー!!!
小説の完成度とかすばらしさとか、そういうことを考えたら私は
Kadockさんのご意見に全面的に賛成です。なんでこんな女性にそんなに思いを寄せるの?とか(まぁ愛に理屈はないのでしょうけれど)、もっとすごい本をあんなに書いている東野さんだったら、もっと書けるだろう!とか思いながら読んでました。でもKadockさんのところを読んで、あぁ、そうだったのかもしれないなぁと。かっこいいなぁ、東野さん。惚れ直しそうです。
そして私は、この石神さんの「純愛」よりも、石神さんと湯川さんのその絆に泣きました。孤高の天才同士のそれは、きっと本当に純粋な結びつきなんだろうなぁって。それにしてもこの純愛、むくわれなすぎて、それがまたリアルで(そう、どんなに片方の思いがホンモノだって、届かないときは届かないのですよね)、なんだか切なかったです。
ちなみに、どうでもいいシーンですが、携帯の電源を切っているときに着信って残るものなのかしら?とちょっと思ってしまいました。え?残るんですか?