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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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雪屋のロッスさん [いしいしんじ]
4840114935雪屋のロッスさん
いしい しんじ
メディアファクトリー 2006-02

雪屋のロッスさん、大泥棒の前田さん、似顔絵描きのローばあさん、サラリーマンの斉藤さん…。物語作家のいしいしんじが描く、さまざまな人たち、それぞれの営み。

それぞれが1ページか2ページ程度の童話のような物語が、たくさんつまった本です。またすごく幸せな読書ができました。

ここに登場する人々は、年齢も性別も人種も(ときには人ですらなく!)ほんとうに様々です。様々で、そしてステキな人たちです。そんな彼らのつむぎだす物語が、ときに暖かくときに切なく、心に響きます。

ずっと手元に置いておいて、気が向いたときにいつでもひらいて、偶然開いたそのページの彼らの物語にひたる。そんな楽しみ方ができる本です。
| あ行(いしいしんじ) | comments(18) | trackbacks(14) |
ポーの話 [いしいしんじ]
4104363014ポーの話
いしい しんじ
新潮社 2005-05-28

うまくあらすじとかが書けません。タイトルどおり、これは、ほんとうに、ただ、ポーの話。

「うなぎ女」の子ども、ポー。ポーは、ちいさな子どもです。まだ何も知らない男の子です。ほんとうの悲しみも、罪悪感も知らない。たいせつなものが何なのか、つぐないとは何なのかもわからない。天真爛漫で、それゆえにとても残酷で。白でもあり黒でもある。そんなポーの成長物語…なんて言葉ではくくれないような、くくりたくないような。深く深く、何かを問い続ける、探し続ける物語です。

そしてポーを取り巻く登場人物たちは、さまざまな、ほんとうにさまざまな、魅力的で個性豊かな人々でした。うなぎ女に始まり、メリーゴーランドに、ひまし油に、天気売り。いったい、いしいさんの頭の中ってどういうことになっているんだろう!という「いしいしんじの世界」全開です。

そしてやっぱり「音」。いしいさんの書く物語には、「音」があるなといつも思います。読み終わっても胸の奥でずっと響いているような気持ちになる「音」。

うなぎ女たちの子どもを思うその「愛」に胸がいっぱいになり、天気売りの一言一言に胸をつかれる思いがし。この物語の中でポーが見て、聞いて、知ったことを、私も見て、聞いて、知りました。

なにも心配はいらない。これは私たちの仕事。私たちのなすべきこと。
かあさんたちの命は、いつもおまえのしあわせとともにある。
何度も何度も繰り返す、聞こえない声でささやかれるメッセージ。こんな風に子どもに自分の姿を見せられる、こんな風に子どもを愛せる、そんな親になりたいと思いました。

先にいったひとびとはすべて、生きているものたちの親だ。遠く離れた父母の命は、いつも、この世に生きる、息子や娘たちのしあわせとともにある。
死ぬことだって、ほんとうはこんなことなのかもしれない。
読んでいる間よりも、読み終わってからじわじわと効いてくる本でした。
| あ行(いしいしんじ) | comments(13) | trackbacks(10) |
白の鳥と黒の鳥 [いしいしんじ]
4048735748白の鳥と黒の鳥
いしい しんじ
角川書店 2005-02

なんだか不思議な…心温まるような、そうかと思えば凍えるような、短編集でした。

清濁あわせもつというか。不思議ワールド。すごくたくさんの短編が収録されているのですが、好きなのもあり、苦手なのもあり。

ちなみに私のお気に入りは「緑春」と「白黒の鳥の声」と「太ったひとばかりが住んでいる村」です!
| あ行(いしいしんじ) | comments(2) | trackbacks(1) |
トリツカレ男 [いしいしんじ]
4939029166トリツカレ男
いしい しんじ
ビリケン出版 2001-10

ひとたび何かにとりつかれると、もう他のことには一切気が向かなくなってしまう「トリツカレ男」ジュゼッペ。オペラに三段跳びに探偵ごっこ。彼がとりつかれたものは数知れず。そんな彼が一人の少女ペチカと出会ったとき…。

もう大好きです!この物語!!最初の一行から最後の一行まで、大好きです。

ジュゼッペも最高、彼のまわりのみんなも最高、そしてハツカネズミも最高!ステキです!みんな大好き!そんなに厚い本ではないので、すぐに読めます。最後は泣けて、そしてとても幸せな気持ちになれます。心があったかくなります。うーん、大好き!

ゆけゆけジュゼッペどこまでも!!
| あ行(いしいしんじ) | comments(16) | trackbacks(9) |
麦ふみクーツェ [いしいしんじ]
4652077165麦ふみクーツェ
いしい しんじ
理論社 2002-06

舞台は、どこかある島の港町。「ぼく」は「父さん」と「おじいちゃん」とそこに暮らしています。(この物語、固有名詞はひとつも出てこないのです。)主人公はみんなに「ねこ」と呼ばれています。とても背が高く身体が大きい彼は、世界からはじかれてしまったような思いをいつも感じています。

ある日「ねこ」は不思議な音を聞きます。

「とん たたん とん」
「とん たたん とん」

ほんのちょっと世界からはみ出している彼を取り巻く世界も、ほんのちょっと変わっています。そしてその世界でもやっぱり、さまざまなことが起こります。うれしいことも、悲しいことも、楽しいことも、つらいことも。ねずみが空から降って来たり、人が死んだり、騙す人がいたり、騙される人がいたり。不幸なアクシデントもたくさんおこります。ただ、楽しいばかりの物語ではありません。

でもこの物語の涙が出るくらいステキなところは、そんな彼らや世界をつないでいるのが「音楽」だというところです。

「合奏は楽しい」ということ。
音楽を聴くよろこびと、楽器を演奏するよろこび。
伝えたい気持ち。

「音を楽しむ」と書いて音楽。演奏するものも常に楽しんでこそ、音楽なんだなと、そう思っていたころのことを思い出しました。また演奏がしたくなりました。

最高にお勧めです!
| あ行(いしいしんじ) | comments(8) | trackbacks(6) |
プラネタリウムのふたご [いしいしんじ]
4062118262プラネタリウムのふたご
いしい しんじ
講談社 2003-04

プラネタリウムに捨てられた、ふたごの物語です。「テンペルタットル彗星」の解説の最中に捨てたれた彼らは、「テンペル」「タットル」とそれぞれ名づけられ、プラネタリウムの解説員に育てられます。

手品師になったテンペル、郵便配達夫兼プラネタリウムの解説士になったタットル。二人の歩む道は別れ別れになったように思われましたが、でも、それは違いました。「手品」も「プラネタリウム」も、いわば「優しい嘘」です。嘘だけれど、でも人の心を幸せにする、優しい嘘です。

だまされるのも才覚だ、と作品の中の登場人物の一人が言います。「だます・だまされる」それは、暖かい、人と人とのつながりのひとつの形、誰かを、思いやる気持ちのひとつの形なのかもしれません。「ひょっとしたら、より多くだまされるほど、ひとってしあわせなんじゃないだろうか」そんなセリフが心に染みました。

読み終わって涙が出ました。でも、あったかい涙でした。私も「だまされる才覚」のある人間でありたいと思いました。
| あ行(いしいしんじ) | comments(2) | trackbacks(8) |