プロフィール
chiekoa

呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
カレンダー
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2018 >>
カテゴリー(作家さん別)
過去の読書日記
このサイト内を検索
OTHERS
  管理者ページ
  RSS1.0
  Atom0.3
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - | - |
青空の卵 [坂木司]
4488457010青空の卵
坂木 司
東京創元社 2006-02-23

僕、坂木司には一風変わった友人がいる。自称ひきこもりの鳥井真一だ。複雑な生い立ちから心を閉ざしがちな彼を外の世界に連れ出そうと、僕は日夜頑張っている。料理が趣味の鳥井の食卓で、僕は身近に起こった様々な謎を問いかける。鋭い観察眼を持つ鳥井は、どんな真実を描き出すのか…。

「夏の終わりの三重奏」「秋の足音」「冬の贈りもの」「春の子供」「初夏のひよこ」の五編が収録されています。めぐる季節とともに、人も少しずつ変わっていく、そんな物語たちです。でもこの物語は…、なんか、単純じゃなかったです。面白いとか、楽しいとか、感動したとか、そういう、ひと言でくくれるような感情じゃなくて。一見優しそうで、でも、どこかすごく残酷で。ステキであったかいだけじゃない感じ。うまく言えないですけど。基本的には、すごく苦しかったです。読んでる間、すごく苦しかった。読み終わった今もなんだか苦しいです。切ないが高じて苦しいというか、なんかヒリヒリして痛くて…もやもや。居心地が悪いです。なんなんでしょう、この感覚は。

この感じを「ダメだ」って言う人もたくさんいるんじゃないかなと思います。特にこの坂木のキャラと、「二人の関係」が。でも私はそこが切なくて切なくてたまらなかったです。坂木が泣くたびに、すぐめそめそすんな!と思う心がある一方で、ここで泣ける彼がうらやましかった。全編が彼のモノローグでつづられるこの物語で、彼が美しいこと、きれいなことを言うたびに、またそんな奇麗事を!って思う一方で、その言葉が妙に胸に突き刺さって、棘みたいに抜けなくて、そんなふうに本気で言える彼がやっぱりうらやましかった。

そして、そんな彼がそばにいる鳥井と、そんな彼のそばにいる鳥井と。そう、彼らはおたがいに「そばにいる」んです。そこが…なんか、なんかですね、すごく切なかったんです。この二人の関係に名前をつける必要はないと思います。でも、この二人の関係が、それがたぶんこの物語の一番根底にあるテーマで…。すぐそこにものすごく暗くて深い井戸があって、その底を覗き込もうとしているみたいな気持ち。見てはいけない、見なくてもいいなら見たくない、でもそれをずっと避けていてはいけない、いられない…、そういう暗い怖い感じ。うまく言えないですけど。(こればっかりだ)。

生きていくうえでの幸福は、誰かとわかちあう記憶の豊かさにあると僕は思う。
軽い読み物のつもりで読んで、かなりどっしりずっしりきてしまいました。何度も泣きそうになって、泣いてたまるか!って思って。私は何をむきになっているのでしょうか。この本は…ここに表向き書かれていることだけじゃなくて、もっとその奥の、生きていく人間の、人の心の深い深いところが、書かれていないそれが、読んでいると伝わってくるから、だからこんなに苦しいんでしょうか。心がざわざわするんでしょうか。

この作品はシリーズ化されていて、この『青空の卵』に続く『仔羊の巣』『動物園の鳥』の全三巻で完結しているそうです。続きを必ず読みたいと思います。でも、とりあえず今は心に重過ぎて、苦しすぎて、すぐに次には行けなそうです。そんな読書でした。

あと、これはけっしておちゃらけて書いているのではないのですが、私はこの本を、三浦しをんさんが読んだらどう思うのか、それを聞いてみたいなぁと本気で思いました。
| さ行(その他) | comments(11) | trackbacks(3) |
最愛 [真保裕一]
410303551X最愛
真保 裕一
新潮社 2007-01-19

十八年間音信不通だった姉が、意識不明で救急病院に搬送された。重傷の火傷、頭部の銃創。それは婚姻届を出した翌日の出来事だった。しかも、姉が選んだ最愛の夫は、かつて人を殺めた男だという。姉の不審な預金通帳、噛み合わない事実。逃げる男と追う男。「姉さん、あなたはいったい何をしていたんだ……」慟哭の恋愛長編。

真保さんの本は、数年前に『ホワイトアウト』にはじまり『震源』『連鎖』『密告』『奪取』あたりを結構集中して読んだ記憶があるのですが、『奇跡の人』『朽ちた樹々の枝の下で』のあたりで離れてしまっていました。というわけで、とても久しぶりです。

以下、ややネタバレありかもです。

正直最初のうちはどうも読みづらく…最後までいけるかしら?!と思うほどだったのですけれど、流れに乗れるようになってからはなんとか。でもこれは恋愛小説なのかミステリィなのかいやサスペンス…?、とまぁそのあたりの立ち位置がよくわからなくて、戸惑いながらの読書であったことは否めずでした。

「この先どうなるの?」という興味で最後までぐいぐいっと読ませるという点ではさすが!と思わされたのですが、私はどうもこの登場人物たちの誰にも魅力を感じることができず、というか共感することができず…。このお姉さんという人物の魅力がわからなかったので、その行動にも感動することができず、どうも他人事みたいに読んでしまって、さみしかったです。展開も若干無理やりだったような気も…するような、しないような(素人がこれだけの「捜査」まがいのことをして、あまつさえこんな的確な「推理」までしちゃうのかい?というような)。

ただ、ラスト、最後の最後でこうくるとは思ってもみなかったので、それはびっくりしました。なるほど、タイトルはむしろここから来ていたのか…。でもそれはただ単にびっくりしただけで、「慟哭」とかそういうのとは…違っちゃったんですけど。だってこれだけじゃ、それだけじゃ、「愛」だって言われても、急すぎて私にはわからなかったんですもの…。

個人的に一番印象に残ったのは、この物語が「人の弱さ」というものについて、真正面から受け止めてくれていることです。人間はそんなに強くない。どんな立派な人間だって、悩み、迷い、そしてときに道を踏み外す。

結果としての罪に、見た目の大小はあろうとも、我々はつまずき、転びながら、今を生きている。
いわゆる「犯罪」という形にはならなくても、誰でも過去にいくつもの小さな罪を犯し、友や身内を傷つけてきたはずだ、と主人公は語ります。(何を持って主人公がこう語ったのかは終盤に明らかになるわけですけれど)。この言葉に、励まされた…というのとはちょっと違うかもしれないけど、でも、少し許されたみたいな気持ちになりました。ありがとう、と思いました。
| さ行(その他) | comments(5) | trackbacks(2) |
5 [佐藤正午]
40487372525
佐藤 正午
角川書店 2007-01

倦怠期真っ只中といった感の中志郎と真知子。結婚八年目の記念日にもらったチケットで、いやいなやながらバリ島に旅行した彼に起こった予期せぬ出来事とは…。

佐藤さんの本は、『ジャンプ』と『Y』は読んだ記憶があり、『個人授業』を読もうと思って…えーと、どうしたんだっけ?というくらいにしばらく離れていたのですが、久しぶりに読んでみました。あぁ、そうだこんな感じだった!

一番印象に残ったのは、この記述方式というか、書き方というか。最初のうちは誰人称なのか分からず、わかったところで「おっ」となり、さらに物語が進むうちに出来事や情景や回想がランダムに挿入されてくるので、いったい今がいつでどれが現在なのか分からない不思議な心地になるという…。でもそれが全然イヤじゃなくて、むしろその心地がまたよいのです。ばっばっばっと視点が切り替わる感じがなんかすごく新鮮で、そのたびにはっとさせられて、引き込まれました。

物語としては、ちょっと不思議な「超能力?モノ」というか、そういう感じ。そして結局それが何なのかは解明されません。(そういう話じゃないですからね)。でもそれをめぐって巻き起こる人と人の…その感情のぶつかり合いというか、変わっていく様というか、流れに押されて、あっという間にラストまで読んでしまいました。読後感も不思議な心持ちです。これから彼らはどこへ行くのか、どうなるのか、でもそれも全て人生…そんな気持ちです。
| さ行(その他) | comments(2) | trackbacks(2) |
犯人に告ぐ [雫井脩介]
4575234990犯人に告ぐ
雫井 脩介
双葉社 2004-07

神奈川県警で特殊犯係の管理官を務めていた巻島史彦。過去に起こった誘拐事件での失態を追求され、地方に飛ばされていた彼だが、頻発する幼児連続殺人事件の捜査のために再び呼び戻されることに。警察がぶち上げたその解決策とは…。

かなり分厚く、かつ二段組で、かなり読み応えのある一冊なのですが、どうして一気に読み終わりました。面白かった…といったら不謹慎なほど、シリアスに心にぐっとくる物語でしたが、でも、読んでる間、ほかの事を忘れるくらいに面白かったです。時間が経つのを忘れました。姿の見えない犯人と、それを追う刑事。そんな刑事を取り巻く様々な問題、足元を掬うかのような出来事。あぁ!どうしたらいいの!(←どうしようもできないってば)。どきどきして、はらはらして、なんかこういうまさに王道のミステリーを久しぶりに読んだなぁ…という感じ。堪能しました。はぁ〜(うれしいため息)。

私は雫井さんの本を『クローズド・ノート』しか読んでいなかったのですが、あれを読んだ方々が「あの雫井さんがこんなのも書くなんて!」とびっくりされていたわけがやっとわかりました(笑)。なるほど、全然違いますもんね、これ。でもあれはあれで、こっちはこっちで、私は両方素晴らしいと思うし、好きです。

なおこの作品、舞台が横浜ということで、ただでさえ知ってる地名がバンバン出てきてうれしかったのですが、最後の最後に至ってはもうものすごーくうちの近所(隣の駅だよ!)で、あぁこれが現実だったら我が家も捜査範囲内で掌紋採られちゃうわ!とか思ったり、なんか大筋とは関係ないところでわりとテンションが上がりました。
| さ行(その他) | comments(13) | trackbacks(4) |
100万分の1の恋人 [榊邦彦]
4103035714100万分の1の恋人
榊 邦彦
新潮社 2007-01-19
livedoor BOOKSで購入
書評データ

大学院を卒業し、なんとか就職も決まった「僕」。それを機に幼馴染の恋人・ミサキと結婚しようと考えていた僕に、彼女が打ち明けた秘密とは…。第二回新潮エンターテインメント新人賞受賞。

ネタバレありかもしれません。未読の方はご注意を。

ストーリーはありきたりといえばものすごくありきたりで、できすぎっちゃできすぎです。でもそのありきたりなストーリーの中で、登場人物たちが考えていること、感じていることを、真正面からじっくり腰をすえて書き込んでいるというか…その姿勢がなんかいいなぁと、そう思いました。

「病気」というもの、そしてそれに関わらざるをえなくなった人々の苦悩。読んでいて切実にそれが胸に響く、というわけでこそなかったですが、でも、あぁこの人はこれが書きたいんだろうなぁ、目を背けないでいたいんだろうなぁと、そういうことは伝わってきました。好感がもてました。…ってえらそうな感想ですけど。

例えば自分が同じ状況になったとき、(それが彼女の方であっても彼の方であっても)、私の出す結論はきっと彼らのようじゃありません。性格からいって、絶対こうはならないし、しない。でも「だから彼らに共感ができない!」っていう単純な結論にならないところが、この本の力でもあるなぁと思いました。自分とは違う「人々」の姿を、素直に受け止めて読めるというか、なんというか。それができない本もたくさんあるわけなので…。それっていうのはその本の力だなぁと思うのです。

帯や、宣伝文句を見て、「泣かせる純愛モノ」みたいなイメージで読み始めたのですが、いい意味でそれを裏切ってくれたなぁと思います。むしろなんであんな帯(『絶対に、彼女じゃなければ、ダメなんだ。―究極のラブストーリー』とか『僕らが出会う確率は、限りなくゼロに近かった』とか。そんなこと書いてあった?)になったのかが謎…違う気がするんだけどなぁ。売るため?そうか、そうなのか…。
| さ行(その他) | comments(4) | trackbacks(3) |
デブになってしまった男の話 [鈴木剛介]
4763006460デブになってしまった男の話
鈴木 剛介
求龍堂 2006-09

モテモテのイケメンから、ある理由で101キロの見事なデブになってしまった大介。初めて味わうコンプレックスの重みに悩みながら、愛とは、優しさとは、本当の自分自身とは何かを真剣に考えてゆく。そんな中、彼に訪れた運命の出会いとは…。

ものすごーくシンプルで意外性は0ですが、(タイトルから勝手に魔法のようにデブになってしまう話かと思っていたのですが、普通に食べすぎで太ってましたし)、なかなかにかわいらしい物語でした。表紙はなんだかえらいこっちゃな感じですが、中は挿絵(というのかな?)もたくさんあってかわいいです。読み終わってから知りましたが、作者さんの実体験をもとにされているのだとか…あぁ、そうですか…お幸せでなにより…(ひがんでます)。よかった、読む前に知らなくて…。

作中、一番印象に残ったのは大介が「幸せとは何か?」ってことを考える部分。

たぶん「幸せ」というのは、と大介は考えた。
たくさんの女の子に好かれるよりも、お互いに100%愛し、愛され、信じあえるたった一人の相手とめぐり合うことなんじゃないだろうか。
この疑問に答えなんかきっとなくて。でもこの答えもきっと一つの正解で。いや、そうだったらいいなぁという願望かもしれませんが。でも、そう思ったら、なんか、ちょっと元気でました。ありがとう。
| さ行(その他) | comments(6) | trackbacks(3) |
芥子の花 金春屋ゴメス [西條奈加]
410300312X芥子の花 金春屋ゴメス
西條 奈加
新潮社 2006-09-21

上質の阿片が海外に出回り、その産地として、日本をはじめ諸外国から槍玉に挙げられた江戸国。老中から探索を命じられたのはご存知「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守。ゴメスは、異人たちの住む麻衣椰村に目をつけるが…。

あの『金春屋ゴメス』の続編です!おぉ、出てるって知らなかった…うれしいです。

前回登場したあの仲間たちが、今回も健在でがんばります。新しいキャラクターも登場し、それぞれの人間関係もちょっとずつ進展していて、おぉ!という感じ。読んでいて素直に楽しいです。前回一生懸命覚えた人名の読み方も、ここでまた役に立つというものよ…!

ゴメスの傍若無人ぶりももちろん健在。またまたやってくれます!うーん、かっこいいなぁ(笑)。この「見た目は怖いけど、実は根はいい人」っていう単純なキャラじゃなくて、「もしかしたら根っから怖い人」っていうところがすごくツボです。いそうでいなくて、いいですよね!いろいろ複雑なバックボーンもあるような…気がしてくる今回の物語。これはまだまだ続くでしょう!というわけで、楽しみにしています。
| さ行(その他) | comments(4) | trackbacks(4) |
クローズド・ノート [雫井脩介]
4048736620クローズド・ノート
雫井 脩介
角川書店 2006-01-31

文房具屋でバイトをし、マンドリンサークルに所属するごく普通の大学生・香恵。ある日、クローゼットの片隅で、彼女が見つけた一冊のノート。前の住人が置き忘れたと思われるそのノートに書かれていたことは…。

正直な話、かなり最初の部分でラストの展開までが一気に見えたので(珍しいわ〜)、その「設定」の上で、どういうふうに終わらせるのかな?という興味で読んだのですが、なるほど、意外性はありませんでしたが、どうしてなかなかステキな終わり方でした。私としてはこれでまぁまぁ満足!

ものすごくあたりまえのこと、当然のようにわかっているつもりでいたことでも、誰かにあらためてポンって言ってもらうと、すっと心に入ってきて納得できることって、できるような気がすることって、ありますよね。この本を読んで、私が思ったのは、そういうことでした。感動して泣いたりはしませんでしたが、なんだか人にやさしくなれるような、大切な人にもっと気持ちを伝えたくなるような、そんな気がする読後感でした。

もともとは携帯のサイトで連載されていた物語だそうですが、なるほど、携帯の画面で読んでたら、こんなふうにオチがいきなりわかることもなかったのかしら、と思いました。こう、見た目の印象が全然違うでしょうから。

ちなみにマンドリン演奏会を聞きにいったこともある私ですが、それでもマンドリンだったかマンダリンだったか、頭の中ではかなり混ざってます。きっと一生混ざってます。ごめんね…。でも万年筆はちょっと使ってみたいかなって、思いました。(高そうなので入手できるのかどうかナゾですけど)。ノートとか万年筆とか、さりげない文房具が、小道具として生きているのがまた、この本のステキなところでもあるなぁと思いました。
| さ行(その他) | comments(26) | trackbacks(14) |
観覧車 [柴田よしき]
4396332262観覧車
柴田 よしき
祥伝社 2005-06

失踪した夫を待ち続ける下沢唯。夫の居場所を残しておきたい、という思いから探偵事務所を引き継いだのだが、浮気調査など気が滅入る仕事ばかり。あるとき、行方不明になった男の捜索依頼が舞い込んだ。手掛かりは白石和美という愛人。が、和美は日がな寂れた観覧車に乗って時を過ごすだけだった。彼女の心を占める虚無とは?

連作短編集になっています。3年、5年、10年…夫を待ち続ける唯の物語。時がたつのはあっという間です。ただ私自身はそれに「切なさ」とか「感動」を覚えることができなかったのですが…。

そして!なにより!ものすごく中途半端なところで終わってます。読みながら、あと数枚しかない…どうなるんだろう?ってページをめくったところでいきなりそこで終わっていて、そこには「あとがき」が。思わず「はぁ?!」ってなってページを確認してしまいました。(いや、落丁かと思って…)。でも終わりなんです。いや、そのあとがきのなかで「続編書きます」みたいなこと書かれているんですけど、でもこれはここで終わっちゃうんです。

えー…!!!

続編がすでに出ているのかどうかわかりませんが、出てからまとめて読むことをオススメしたいと思います。

【追記】
今調べたら、ちゃんと書かれているようです。→コチラ。よ、よかった…。タイトルは「回転木馬」と。ほほう。2006年6月の小説non掲載分で連載が終わったようなので、単行本になるのを待ちたいと思います…。いや、そんなに好きな本なわけじゃないのですが、このままじゃ気になって…。
| さ行(その他) | comments(5) | trackbacks(2) |
金春屋ゴメス [西條奈加]
4103003111金春屋ゴメス
西條 奈加
新潮社 2005-11

日本にありながら、自治独立の国である「江戸」。鎖国体制をひいており、入国するには300倍とも言われる倍率の抽選を勝ち抜かないといけないその江戸へ、裏口入国を果たした大学生の辰次郎。江戸での彼の身請け先は、容貌魁偉、冷酷無比、極悪非道、厚顔無恥、大盗賊も思わずびびる「金春屋ゴメス」こと長崎奉行馬込播磨守だった。ゴメスから辰次郎に課せられた使命とは…。

面白かった〜です。何も知らずに読み始めたので、最初の設定から度肝を抜かれた感じでした。舞台は近未来の日本(たぶん)に存在する「江戸」!近未来江戸小説ですよ。すごい発想ではないですか。科学を廃し、自給自足の、江戸時代そのものの暮らしをする人々が集う国。電気もないし、車もないし、抗生物質もないのです。でも…なんだかちょっと、私もあこがれてしまいました。この国のあり方と、この国に暮らす人々の心意気と。両方をかっこいい!と思いました。月並みですけど、忘れてしまった大切なものが、ここにはある気がします。

とにかく、一気に読ませます。特に後半、息もつかせぬ展開で、なかなか本が置けませんでした。考えてみれば、テーマは暗いのかもしれません。人の心の弱さや、悪意。それに翻弄されてしまう人と、逃げずに真正面から立ち向かう人と。胸が痛みながらも、その姿はとてもすがすがしかったです。

しかし西條奈加さん、これが「ファンタジーノベル大賞」受賞作でデビュー作。ほんとうに新人の筆力ですか??すごいなぁ。なんか続編とか出てもいいと思うんですけど…。いかがでしょうか??(って誰に?)
| さ行(その他) | comments(8) | trackbacks(7) |