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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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ぼくの手はきみのために [市川拓司]
4048737511ぼくの手はきみのために
市川 拓司
角川書店 2007-03

幼馴染のひろと聡美。小さい頃は聡美が弱虫のひろを守ってくれた。が、11歳の夏、聡美は突如、倒れてしまう。さまざまな治療を試みるが、結局発作を止められたのは、背中をさすってくれるひろの手だけだった…「ぼくの手はきみのために」。
集団の中で暮らすことが難しい心の不自由さを持つ康生と恋に落ちた真帆。年齢差や、康生に息子がいることなどは障害にならず、2人はおだやかなペースで絆を深めていく。が、初めて結ばれた翌日、2人に思いがけない出来事が…「透明な軌跡」。
妹の子供である貴幸を育ててきた寛一は、ある日、「あなたの子供だ」と連れて来られた初恵をも引き取って育てはじめた。血の繋がらない人は、貧乏ながらも、太い揺るぎない絆で結ばれていく。彼らが最後に行きつく、幸せの場所は…「黄昏の谷」。

以上三作品が収録された作品集です。

全体を通して言えることは、目立たず、市井の片隅で、でもそれぞれに精一杯生きている、少し変わった人々の小さな「愛」の物語…と言ったところでしょうか。現実感はあんまりないです。ちょっと現実からはみでてしまった、不器用な人々の物語。でもそれがつらいとかそういうお話じゃなくて、そこで、その中で、彼らなりになんとかやっているというか、光は射している、そういう感じです。(なんだかあやふやだなぁ…)。

でもそんな彼らの不器用さに、私は心が痛むわけではなくて、(冷たいって言われちゃうと悲しいですけど)、でもこう、幸せにやっているのならそれでなによりというか、こんな風に存在を許されているならいいじゃないか、よかったね、と思ったりしました。この人の書くものは、ほんとうにあったかくて、優しくて、一生懸命なんだなぁ…。今の自分はそういう場所からちょっと離れてしまっているから、つい遠くを見る目、冷めた目で見てしまうけれど、というか正直に言うと他人の幸せがうらやましいのですけれども(笑)、でも、私もいつかこういう場所に行けたらいいなぁとも、思ったりしたのでした。

表紙の絵が、あったかくてあったかくて、とても好きです。
| あ行(市川拓司) | comments(9) | trackbacks(4) |
世界中が雨だったら [市川拓司]
4104767018世界中が雨だったら
市川 拓司
新潮社 2005-06-29

「琥珀の中に」「世界中が雨だったら」「循環不安」の三篇が収録された短編集です。このうち「世界中が雨だったら」と「循環不安」は、市川さんがデビューする前に書いていたもので、「琥珀の中で」は書き下ろしだそうです。

正直…おどろきました!市川さんの作品で、このタイトルでこの装幀で…と想像していた内容とあまりにも違ったので。このびっくりは新堂さんの『吐きたいほど愛してる。』を『忘れ雪』のイメージで読んでぶっとんで以来です。(おおげさ?)

びっくりはしましたが、でも読んでいて、こういう引出しもこの作家さんが持っていたということをちょっとうれしく思いました。次はどんな世界を見せてくれるんだろう?って、わくわくします。それに、市川さんの書きたかったことは、以前に読んだ作品も、この作品も、形は違うけれど、きっと同じなんだろうなと思いました。

この本の中で、どの物語にも共通して漂うのは、「自分の居場所がない」という悲しみ。どしゃぶりの雨の中にひとりぽつんと立っている小さな子どものような、そんな主人公たちの姿でした。巷にあふれる残酷な「悪意」に追い詰められていく彼らの、心の中の声にならない悲鳴が、読んでいてとても痛かったです。

表題作でもある「世界中が雨だったら」は、いじめられっ子の男の子の話です。いじめる側といじめられる側。その温度差がとても怖くて、悲しくて。こういう悪意に対して、悪意で返せない、そんな人間を、ただ「弱い」の一言で片付けるようなことはしたくないと思いました。彼のとった行動は、卑怯かもしれない、でも、そうとしかできなかった彼の気持ちがわかるような気がしました。

(そして、今年の夏の甲子園における明徳義塾高校のことに思いを馳せてしまいました…。私の中であまりにもタイムリーだったので、つい…。)
| あ行(市川拓司) | comments(14) | trackbacks(8) |
弘海 -息子が海に還る朝 [市川拓司]
4022579900弘海 -息子が海に還る朝
市川 拓司
朝日新聞社 2005-02-18

こんなタイトルだし、なんと言っても市川さんだし、どうしよう、このまま弘海くんが魚になっちゃったとかいうオチだったら…そうじゃなかったら死んじゃったり…と心配しながら読んだのですが、大丈夫で安心しました(笑)。だってお父さんは「弘海へ」とかいって手紙書いてて、お母さんは悲しみの底にしずんで泣きながら息子の日記とか読み返したりしてて。これはもう「今生の別れ」くらいの勢いではないですか!やっぱり死んじゃのかしら?!と、どきどきしてしまいました。正直、最後のページをめくるまで心配でした。心配っていうか、疑ってました。すいません。

というか、これって、よくよく考えたら別にそんなに泣くようなことでもなんでもないような気がするのですが。あれ?さびしいはさびしいでしょうけど、そう悲しいことでもないですよねぇ。あれ?親心がわかっていないだけでしょうか?わたし。

しかし、泣くようなことでもないのに、しかも最初からオチがわかっているのに(私の場合は最悪のケースを想像しすぎましたが。)、それでも涙ぐませてしまう、そんなところが市川さんの筆のすごいところだと思いました。やられました。親が子を想う気持ち、十分堪能させていただきました。でも今までの市川さんの作品に比べたら、わたし的にはいまひとつ物足りなかったような。予定調和すぎ??(あとなんか、本の装幀も。ちょっと…。)

自分が親になったら、もう一度読んでみたいと思いました。
| あ行(市川拓司) | comments(0) | trackbacks(1) |
いま、会いにゆきます [市川拓司]
409386117Xいま、会いにゆきます
市川 拓司
小学館 2003-03

そのときは彼によろしく』がとてもよかったので、今まで避け続けて来たのですがやっと読みました。

きっと泣かされる!と思って読み始め、身構えていたのに、やっぱり泣かされてしまいました。(普段身構えて読むと肩すかしで泣けないんですけど。)
ストーリーはとてもシンプルで、先も読めていたはずで、思ったとおりに物語りは進んでいったのに、最後にちょっとしたびっくりが待っていました。そうだったんだ!

この人の書く小説の雰囲気というか、全体を流れるトーンがとても好きです。登場人物もみなすてきです。ちょっととぼけたような、世間からはみ出してしまったような、でも一生懸命に生きている人たち。絵のような光景です。映画化されていて、それはまだ見ていないのですが、見て見たいなとおもいました。(がっくりきたらどうしよう…。)

ちなみに、これを読んでから『そのときは彼によろしく』を読むべきだったなと思いました。だって、「ヒュゥーイック!」。そうですよね?

私も、こんなふうに誰かを愛したい、と、思いました…(テレ)。
| あ行(市川拓司) | comments(9) | trackbacks(4) |
恋愛写真―もうひとつの物語 [市川拓司]
4093861196恋愛写真―もうひとつの物語
市川 拓司
小学館 2003-06

これを読んでから、映画を見ました。「映画へのオマージュ」って書いてあったので…。

映画は、全然違うストーリーでした。(オマージュって…何でしたっけ。)映画は映画で好きですが、私はこの本に書かれている物語の方が好きです。
| あ行(市川拓司) | comments(0) | trackbacks(0) |
そのときは彼によろしく [市川拓司]
4093861382そのときは彼によろしく
市川 拓司
小学館 2004-03-31

13歳の春に出会った、大切な友達たち。佑司、智史、花梨、そしてトラッシュ。
月日がながれ、いつしか離れ離れになってしまった彼ら。しかし15年後…。

正直、あんまり期待しないで読み始めました。「どうせ流行りものだろう。」「おきまりの『感動』パターンなんだろう。」という気持ちで。図書館で借りてはきたものの、なかなか読まずに後回しにしていました。

でも、読んでみて、今まで読まないでいたことを、なんて惜しい事をしていたんだろう!!と後悔しました。とってもステキな世界がここにはありました。だいたいいつもは読む前に「これは感動する物語だ」と思って読み始めると、期待が過剰すぎるのかなんだか、あっさり読み終わってしまってひょうしぬけ、ということが多いのですが、この物語は違いました。わかっていて、予測して読み始めたはずだったのに、読み終わってもなかなか涙がとまりませんでした。

ちょっとすっとぼけた佑司、そんな佑司を暖かく見守るお父さん、ちょっと変わった女の子、花梨。登場人物たちが、もうとにかく魅力的で。読んでいくうちにどんどん彼らが大好きになりました。特に佑司くん、このキャラ、もう大好きです。どんどん残りページが少なくなっていって、彼らと別れてしまうのがさみしいくらいでした。

ストーリーもステキなのですが、物語の中の彼らの会話のテンポというか、かけあいが絶妙なのです。何度もふきだしてしまいました。(とくに「脳のなかのチップ」の話がお気に入りです。)いきいきと描かれている、って、こういうことね!と思いました。

まだ読み終えたばかりだけれど、いますぐにもう一度読み直したい、そんな気持ちになりました。

トラッシュTシャツ、私もほしいです。
| あ行(市川拓司) | comments(3) | trackbacks(8) |