幸福の絶頂から、突然の不幸な出来事によって地獄の底へ突き落とされてしまった主人公・日吉。作曲家だった彼ですが、仕事を捨て、自堕落な生活をするようになってしまいます。生きる気力すら失っってしまった彼。そんな彼の前にある日現れたのは…。
どちらかというと『忘れ雪』的な作品でした。(安心しました…。)
このタイトルですし、最初の方を少し読めばなるほど、これはこうなって最後はこうなるのかな…と予想していたとおりに話が進んで、どうもできすぎな感じは否めませんでしたが、(というわけで泣けはしませんでしたが)、最後に予想外のちょっとステキなプレゼントがあってうれしかったです。
そういうわけで、ストーリー的にはありがちで、特に感動とかもしなかったんですけど、何しろこのマリーが…かわいいのです。胸キュンでした…!あのまなざし、しぐさ、ついうちの犬(犬種が全然違いますが)を想像してしまって、たまらない気持ちになりました。こんなにもまっすぐ、自分を信じてくれる存在。人間が人間にもたらしてくれる奇跡よりも、犬が人間にもたらしてくれる奇跡のほうが、私は全然信じられます。なんであの子たちはこんな人間たちのことを、そんなにも思ってくれるんだろう…。学ぶことばかりです。
でも新堂さんは犬を飼ったことが…あるのでしょうか?部屋で飼ったりしてトイレは?とか、フライパンから皿に移したばっかりのチャーハンなんて熱くてダメだってば!とか、そういうどうでもいいところが気になってしまったりしました(笑)。あと、主人公の職業がせっかく「作曲家」なのですから、もっともっと、音楽というものの力、その奇跡も書いてくれたらよかったなぁと思います。
ちなみに図書館で借りたので、あの「帯」がついていなくてよかったです。初版からこういう帯がついてるっていうのが、なんだか「みえみえ」でいやなのです。はー…。そしてなぜこの本をこの季節(夏)に出すのかがちょっと謎でした…。