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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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エスケイプ/アブセント [絲山秋子]
4104669024エスケイプ/アブセント
絲山 秋子
新潮社 2006-12

闘争と潜伏にあけくれ、20年を棒に振った「おれ」。だが人生は、まだたっぷりと残っている。旅先の京都で始まった、長屋の教会での居候暮らし。あやしげな西洋坊主バンジャマンと、遅れすぎた活動家だった「おれ」。そして不在の「あいつ」。あきらめを、祈りにかえて生きるのだ。いつわりと挫折の日々にこそ宿る人生の真実を描く傑作小説。

この本の感想を…どう書けというのでしょう。読み終わってなんだか途方にくれてしまいました。ひと言で言うのならば…「ノックアウト」。

そもそも私はこの本を、「エスケイプ/アブセント」というタイトルの長編一本の本だと思っていたのですが、違いました。「エスケイプ」と「アブセント」で、それぞれ独立した…いや、それも違うな、違うんですけど、でも少なくとも一本ではなく、いや、でも分けてなんて考えられなくて…うぅ、袋小路。

私がこうしてパチパチと打っている文字、活字と同じものであるはずなのに、「エスケイプ」のそれは、なにかもう全く別のもので。スピード感が違うというかなんというか。最初の一行でばっとつかまれて、あとは支配されました。そして次にくるのが「アブセント」。緩急というのか、この絶妙なバランスの二編に、この共鳴っぷりに、ほんとうにノックアウトでした。

印象が強かったのはどちらかということをあえて言うのであれば、個人的にはそれは「エスケイプ」の方でした。彼が「神」に語りかけるその言葉は圧巻で…、いや、もうそんな言葉なんか全然ついていかないのですけれども、すごかったです。
| あ行(絲山秋子) | comments(10) | trackbacks(5) |
絲的メイソウ [絲山秋子]
4062134217絲的メイソウ
絲山 秋子
講談社 2006-07-22

絲山秋子の偽らざる日々。初エッセイ集。

愛する絲山さんのエッセイ…楽しみに読みました。全体的な感想としては…もっと男らしいかと思っていたので(勝手なイメージ)、誤解だったんだな!と。いや、いい意味で。連載エッセイなのに毎回ずいぶん味が違うのがすごくよかったです。あと増刷増刷って言ってるところに、急に親近感が…(笑)。自分のことをこういう距離感で書けるのって、すごいなぁ。なんか、今まで読んできた他の作家さんのエッセイとは、一味違った感じでした。

ちなみに中でも好きだったのは「自分の取説」と「恋のトラバター」。「恋のトラバター」はなんかもうすごくどきどきしちゃいました!これはねぇ、すっごいリアルです!最初読み始めたときは「創作?」って思ったんですけど、実話ですよね。いいなぁ。こういう風に書けちゃうところが、いい。すごくいいです。惚れ直しました!!
| あ行(絲山秋子) | comments(6) | trackbacks(5) |
スモールトーク [絲山秋子]
454404099Xスモールトーク
絲山 秋子
二玄社 2005-06

6台の車をめぐる、男と女の物語。

これ、何かの車雑誌とかに掲載されていたものなのでしょうか?かなりマニアックな車ばかりですけれど…いちおう全部わかった自分をえらいと思いました。いえ、車は好きなんです。種類とかそういうのはわりと知ってるほうだと思います。ただ運転のほうがなんとも…。エンジンの回転数がどうとか、ギアのシフトチェンジがどうとか、そういうのがまったくわからない人間なので、それだけちょっと悔しかった…。「アクセルを踏む→走る」以外の感慨がまったくわかないんですよね。情緒なし!

だからと言って車好きじゃないとわけのわからない物語かというと、そういうわけでもありません。「車」をモチーフに、それを中心に描かれてはいるけれど、でも、これは「車と人」の物語であると同時に、やっぱり「人」の、そして「人と人」の物語ですから。

それにしても絲山さん、車お好きだったんですねぇ。知らなかった!

【追記】
あれ、この主人公の「ゆうこ」って…『イッツ・オンリー・トーク』の「優子」?
再読しなくては…。
| あ行(絲山秋子) | comments(2) | trackbacks(0) |
沖で待つ [絲山秋子]
4163248501沖で待つ
絲山 秋子
文藝春秋 2006-02-23

この本はまた…すごいです。芥川賞を受賞した「沖で待つ」もすごいんですが、その(なぜか)前に収録されている「勤労感謝の日」もすごかった。『ニート』の衝撃をそのまま持ってきて、さらに追い討ちをかけるような衝撃をうけました。

無職で三十六歳の女性がお見合いをする「勤労感謝の日」。ひと言で言うと…なんて男らしい!かっこよくて惚れそうです。いや、ちゃかしているわけではなく、ほんとうに。これをあの絲山さんが書いているのだと思うと、妙に納得というか。この生々しさは、なんでしょう。お腹の底から感じるものがありました。すごいです。

そして表題作(なのになぜか後半に収録されている)「沖で待つ」。本の紹介には「仕事を通して結ばれた男女の信頼と友情を描く」って書いてありましたが、なんか、私が読んで感じたものはそんなものじゃなかったなぁ。じゃぁ何?って言われると、全然説明できないんですけど…。でも、「信頼と友情」とか、そんな軽い言葉で表せるような、そんなものじゃなかったと思います。もっと、もっと…リアル。だって「星型ドライバー」ですよ?もうこれだけでぐっときちゃいます…。

というわけで、絶賛です。最高です。とても素晴らしかったです。ぜひたくさんの人に読んでいただきたく。『ニート』でひかれちゃった方にも、だまされたと思ってぜひ手にとっていただきたく。清き一票をよろしくお願いします!(←?)

この装幀の男らしさにも、一票…。
| あ行(絲山秋子) | comments(25) | trackbacks(18) |
ニート [絲山秋子]
4048736434ニート
絲山 秋子
角川書店 2005-10-29

「ニート」「ベル・エポック」「2+1」「へたれ」「愛なんかいらねー」の五編が収録されています。

これは…なんだかすごいです。読んでいる間、あまりにすごくて呆然としちゃうくらいでした…私は今いったい何を読んでいるのかしら?って。

同じことを例えば他の作家さんが書いたら、絶対こういうふうに心に突き刺さってこない。それだけは確実に言えると思いました。何がすごいって説明できないんですけど、すごいです。なんていうか、ここに書いてあることは本当だ、真実だっていうのが、びしびし伝わってくる感じ…?結局自分と他人というのは、文字通り他人で、入り込めなくて、壁なんて越えられなくて、でもそれでも誰かを思う気持ちはホンモノというか、それは確実にそこにある、そういうことを、なんか思ったりしました。

「ニート」がきて次に「ベル・エポック」がきて。「ニート」の話はこれで終わりなのかと思ったら、そこで「2+1」がくるという構成も、なんだかうまいと思ってしまいました。

「愛なんかいらねー」はびっくりしましたが、私としてはなんだかすんなり受け入れられました。…なぜでしょう?!こういうこともまた、真実…。

というわけで、心に突き刺さる「ニート」「2+1」に、ちょっと切ない「ベル・エポック」に、へたれっぷりがまた好きな「へたれ」に、「愛なんかいらねー」。全編どうやら私は好きなようです。しかもすごく好きです。異端ですか?!
| あ行(絲山秋子) | comments(7) | trackbacks(6) |
袋小路の男 [絲山秋子]
4062126184袋小路の男
絲山 秋子
講談社 2004-10-28

表題作の「袋小路の男」は高校時代に出会ったひとつ年上の「あなた」を、ずっと想い続ける「私」の物語です。ずっともずっと、12年間です。

この物語が「純愛物語」と言われるのは、指一本触れずに想い続けたからなのではなくて、こんなふうに、理由も(だって愛もなければ金もないんですよ!)、駆け引きもなくて、それでも相手を想うこと、それこそがまさに「純愛」(純愛という単語はキライなので他になにか思いつくといいのですが。)だからなんだなぁと感じました。なんだかうらやましい。私にはきっとできない…。

そして次に収録されているのが「小田切孝の言い分」。まったく別の短編かと思って読み始めたら、「袋小路の男」の「男」が小田切さんでした。最初は「袋小路の男」が完璧だったからこれはいらない…と思っていたのですが、読み終えてこれがあってよかった!と思いました。「袋小路の男」の「あなた」はなんだかあまり好きじゃなかったのですが、この物語で小田切さんを知ったらとても好きになれたからです。特に何がいい男というわけでもないのですが、いや、どちらかというとダメ男ですが、それでもなんだか…いいのです。

「袋小路の男」では、「私」こと大谷さんの一人称で物語が語られていきますが、「小田切孝の言い分」の方では、二人のそれぞれの視点から気持ちがつづられていきます。

あいつは当たり前だと思ってるんだろうけど、俺が待ち合わせのとき、時間通りに行くのは大谷の時だけだぜ。
なんだか胸がきゅんとしました。なんだ、幸せじゃん!大谷さん!「しっかり喧嘩して、ちゃんと仲直りして仲良くやろうな。」ですよ。最高じゃないですか。ほんとうに。二人はこれからもこのままずっと、このままでいてほしい。心からそう思いました。

こんな奇妙な関係だって、全然幸せ。「恋人未満家族以上」とか、そんなふうに定義する必要もきっとなくて。男と女って、いろいろだなぁ…。

一緒に収録されている「アーリオ オーリオ」も好きでした。だって星が好きだし…私。
| あ行(絲山秋子) | comments(11) | trackbacks(10) |
海の仙人 [絲山秋子]
4104669016海の仙人
絲山 秋子
新潮社 2004-08-28

「ファンタジーがやって来たのは春の終わりだった。」

お話は、こんな風に始まります。社会から隔絶して、海辺の町で仙人のように暮らす河野とファンタジーの、奇妙な共同生活の物語。

ちょうど海辺でこの本を読んだので、砂の感じとか、潮の匂いを感じながら、とても気持ちよく読めました。なんだか、登場人物の誰もが「ファンタジー」をすんなり受け入れているのが、読んでいてとてもうらやましく…。ファンタジーは誰なのか、何なのか、そういうことはどうでもよくて、当然のようにそこにいて、それでよいのです。なんか、いい…。

ただ、私はこの本を図書館で借りたので、帯がついていない状態でした。というわけで全く先入観なしで読んだのですが、あとで本の画像を見たら、帯には「孤独」という文字が。そうか、孤独を描いたお話だったのか…。読んでいる間、その文字は一度も浮かびませんでした。すいません。伝わってなくて。でも、登場人物みんなの「こういうふうにしか生きていけないんだ」というあの感じは、そうか、孤独というのかな…と後から思いました。

片桐さんのこんなセリフに、心がふっと軽くなる気持ちがしました。

「あのさ、偽善と同情は違うんだよ」片桐が言った。
「同情が嫌なのは、てめえの立っている場から一歩も動かないですることだからだろ。でも、偽善はさあ、動いた結果として偽善になっちゃんたんなら、いいんじゃないの?しょうがないよ。そのとばっちりは自分に来るわけだし」
「俺に救われるんじゃない、自らが自らを救うのだ。」というファンタジーの言葉もしかり、こんなふうに思って、私も生きていきたいなと思いました。

#芥川賞候補作だったわりには、結構好きでした。(ちょっとうれしい。)
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逃亡くそたわけ [絲山秋子]
4120036146逃亡くそたわけ
絲山秋子
中央公論新社 2005-02-26

躁病と鬱病で入院している「花ちゃん」と「なごやん」。これ以上ここにはいたくない!病院から脱走することに決めた花ちゃんと、ひきずられていっしょに脱走してしまったなごやん、二人のとんでも逃避行の行方は…。

「主人公二人が精神病で病院から脱走」という一見重めな設定なのにもかかわらず、文章は明るくおもしろく、当の主人公たちにも暗さは全然なく、すーっと読めました。つらい描写もでてくるには出てくるのですが、重くないのです。筆力でしょうか。すごいなぁと思いました。(博多弁のパワーかも?!とも思いました。)まぁ、え?ここで終わり?感はありましたが…。

私には精神病のつらさはよくわかりませんが、この二人にはこれからもっともっとぐんぐん生きていってほしい!と思いました。(でも、大変なんだろうなぁ…。他人事でなんだか申し訳ないです。)
| あ行(絲山秋子) | comments(9) | trackbacks(12) |