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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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DIVE!! (上)(下) (文庫版) [森絵都]
4043791038 4043791046DIVE!!(上)
DIVE!!(下)
森 絵都
角川書店 2006-06

再読です。過去に読んだときの感想はこちらに… ↓
DIVE!!(1)前宙返り3回半抱え型
DIVE!!(2)スワンダイブ
DIVE!!(3)SSスペシャル’99
DIVE!!(4)コンクリート・ドラゴン

あまりに好き過ぎる作品なので、単行本を持っているにもかかわらず、文庫も入手です。買わずにはいられないんです。えぇ、そうなんです。だって!『DIVE!!』ですよ?!

そして文庫の解説は、上巻があさのあつこさん、下巻が佐藤多佳子さん!おおお、なんてすごい面子なんでしょう!私の中での「児童文学三巨匠」です。これだけでも新たに買う価値があろうというものです。えぇ。

おりしも直木賞受賞とほぼ同じタイミングで、森さんの過去の作品がばんばん文庫化されています。これを機にたくさんの人が手にとってくれるとうれしいなぁと、心から思います。
| ま行(森絵都) | comments(3) | trackbacks(0) |
風に舞いあがるビニールシート [森絵都]
4163249206風に舞いあがるビニールシート
森 絵都
文藝春秋 2006/05

「器を探して」「犬の散歩」「守護神」「鐘の音」「ジェネレーションX」「風に舞いあがるビニールシート」の六篇が収録された短編集です。

直木賞候補になった…ということを知っての上で読みました。ふぅむ。これか…。

最初のうちはなんとなく、「あれ?森さんってこんな感じだったっけ?」という気持ちがしてしまいました。意気込んで読んでしまって、ちょっと心を上滑り…みたいな。上手いなぁとは思うんですけど、なんとなく。短編集ですが、結構それぞれにバラつきがあるなぁという印象だったので、個々に感想を書いてみようかと思います。

「器を探して」
美しく才能のある女性パティシエの元で秘書のような仕事をしている女性・弥生の物語。

これはですねぇ…「そんな男やめちゃえよ!」のひと言に尽きました。すいません。全然主題とずれてると思うんですが…。正直「こんな女の下で働くのもやめちゃえ!」って思ったんですけど、「スイーツの魅力」というのは私も重々承知しているので、どうしてもそれに惹きつけられるというのならば、それは仕方ないかと。でも!でもこの男は!迷う必要ないじゃないですか。やめましょう。えぇ。お土産にケーキ(ムースか)を持っていくならこんな男にでなく私に!と思ってしまいました。

「犬の散歩」
犬の里親探しというボランティア活動のため、水商売のバイトをはじめた主婦・恵利子の物語。

生活のお金の単位が「牛丼」という話に共感を覚えました。ちなみに私の生活の基本単位は「チョコレート」ですが。(100円なので計算しやすいですよ)。ボランティア活動というのはすばらしいことだと思うのですが、でもやっぱりやっている人にとっても「迷い」があるものなのだなぁと、そういう主人公の弱気な感じが、それでもやることはやる感じがちょっとよかったかなと思いました。ラストまでの持って行き方もよい感じでした。でもあんまりこの主人公が好きじゃないのですけれど…なぜかしら?

「守護神」
夜間の二部大学に通う祐介。「代筆名人」として有名な「ニシナミユキ」に自分もレポートの代筆を頼もうとする彼ですが…。

前半はあんまり好きじゃなかったのですが、後半が好きでした。ニシナさんがなんだか突拍子もなさすぎてすごく謎ですが、祐介がいいなぁと。地味、いいじゃないですか。ホテルのマネージャーさんもいいじゃないですか。そうか、後半がすきなのは、祐介が地を出しているからだ…(笑)。

「鐘の音」
仏像の修復師として働いていた潔。25年の月日を経てかつての同僚・吾郎に会いに行った彼は…。

えーと、すいません、私にはテーマがよくわからなかったのですが…。読み終わって、「で、なんだったんだろう?」と。仏様のご加護はほんとうになるねぇって話?(←どこか読み違えているような…)。仏像好きにはたまらないのでしょうか。私は不信心でいけません。でも「おぉ、こんなオチが!」というのはあったので、これは…ミステリー?(違う)。

「ジェネレーションX」
クレームへの謝罪に向かうサラリーマン・野田。取引先の若手社員・石津といっしょにクレーム先に向かう彼は…。

これがこの本の中で一番好きでした!(すいません、表題作じゃなくて…)。二人の会話がとてもいい!こういうふうに、人と人のコミュニケーションから広がっていくような物語、大好きです。ここへくるまで「暗いトーンの話が多いなぁ」とちょっと鬱々としていた感もあったので、これはとっても爽快でした。

「風に舞いあがるビニールシート」
難民を救うための国際機関で働いている里佳。同じ職場で働いていたエドと彼女の関係は…。

表題作にして、ラストを飾るにふさわしい重さを持った作品だったと思います。私は無知でお恥ずかしいかぎりですが、森さんがすごくいろいろなことを調べられて、その上で書かれたんだろうなぁと。読んでみるまで、「ビニールシート」に込められていた意味をまったく知らなかった私は、なんだか軽くショックを受けました。ラストはまぁ予想通りとはいえ、少しぐっときましたが、でも贅沢を言ってしまうと、森さんならもっと「ぐぐぐっ」とくるものが書けたのじゃないかなぁと…。男女の間の愛と、人間と人間の間にある愛と、どっちもがちょっと中途半端だったかな?と思ってしまいました。いや、ほんとに贅沢なんですけれど!

というわけで、なんだかまちまちな感想になってしまい、全体のトーンがつかめなかった私ですが…果たして直木賞受賞成るのでしょうか?!どきどき。でもこの上手さ。すごーく「これは…狙ってるのかなぁ?」って思っちゃいました(笑)。森さんの本領発揮!というよりは、「直木賞が獲れるように獲れるように…」という感が、やや。いや、でも必要ですからね!「直木賞の傾向と対策」。
| ま行(森絵都) | comments(10) | trackbacks(14) |
屋久島ジュウソウ [森絵都]
4087748022屋久島ジュウソウ
森 絵都
集英社 2006-02

皆で縄文杉を見に行こう、と楽しいグループ旅行のつもりで訪れた屋久島。そのハードさにはまだ気づかずに…。にぎやか取材旅行記と、忘れがたい旅の思い出を綴った14編を収録。著者初の旅エッセイ集。

森絵都さんのエッセイ初読みです。こういうエッセイを読むと、全然知らない人である作家さんを、なんとなく、身近に感じられてすごくうれしくなります。

前半に収録されているのが、屋久島の旅行記。編集の方と、デザイナーの池田進吾さんがメンバーです。個人的に池田さんのお仕事が大好きなのですが、初めて彼の人となりというか素顔に触れた気がして、それもまたうれしかったです。屋久島の魅力も満載…「大変だった」ってことも正直に伝わってくるのですが(笑)、私もここに行って見たいなぁと思わせる読み物でした。世界遺産だし…一生に一度くらいは…。うん。

後半は「slight sight-seeing」という、雑誌に連載されていた短い旅エッセイたちです。たしかにそれぞれのテーマは「旅」なんですが、なにかこうもっと大きな、「人生という旅」について読んでいるような、そんな気持ちになれる、はっとさせられる文章たちでした。

私の未来は確実に間口を広げ、良いことも悪いことも、美しいことも醜いことも、とりあえずすべてを呑みこんで消化不良を起こしたら吐きだせばいいかってくらいの「どんとこい力」を手に入れた気がした。それをずっと昔から求めていたような気が。
あぁ、だからこの人の書くものは、こんなにも自分にあうんだなと、素直に心にはいってくるんだなと、そう思いました。
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つきのふね [森絵都]
404379102Xつきのふね
森 絵都
角川書店 2005-11-25

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。進路や万引きグループとの確執に悩む孤独な日々で、唯一の心の拠り所だった智さんも、静かに精神を病んでいき―。近所を騒がせる放火事件と級友の売春疑惑。先の見えない青春の闇の中を、一筋の光を求めて疾走する少女を描く、奇跡のような傑作長編。

なんとなくこの本の単行本版の表紙が…うぅむ、とか思ってずっと読まずにいたのですが、(名作だとわかっているものをそんな理由で読まないというのも我ながら微妙です)、文庫化されたのでやっと読みました。そして、なんでもっと早く読まなかったんだろう!私のバカ!と思いました。(予想通りに…)。

児童書なのだと思いますが、大人が読んでも十分心に響く物語です。私の傾向として、こういう中学生ぐらいの女の子とか男の子が主人公のモノって、なんとなく読んでて違和感があるというか、しっくりこない感じがしてしまうのが常なのですが、森絵都さんの書かれる本にかぎっては、全然そんな感じがわいてこないのがいつも不思議です。なんで、こんなに素直に読めるんだろう、心に入ってくるんだろう。ほんとに不思議です。

そして時間配分を間違えて、ラストシーンをうっかり出勤途中の朝の電車の中で読んでしまった私。急に涙を流すヘンな女になってしまいました。せめて帰りの電車で読むべきでした…。

さくら、梨利、勝田君、智さん、へび店長。
どうかどうか、彼らがずっと幸せに生きてゆきますように。
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DIVE!! 4 コンクリート・ドラゴン [森絵都]
4062114143DIVE!!(4)コンクリート・ドラゴン
森 絵都
講談社 2002-08

ついにやってきた、オリンピック代表権を賭けた選考会。選手たち、コーチたち、そして応援の人々の、それぞれの長い一日が始まる―。

もう、最初から泣けて泣けて。なんか私おかしいんじゃないかしら?ってくらい、泣けて。ちょっと読むと喉の奥が詰まって、文字がにじむしまつ。早く読みたいのに、何度ページをめくる手を止めたことか。いや、泣いてる場合じゃない、彼らの戦いから目を背けてはいけない!と思うんですけど、また目頭が熱くなっちゃって。あぁ、もう。泣き笑いしながら読みました。子どもの卒業式にのぞむ親の気持ち??(いや、子どもいませんが。なんとなく想像で。)

この巻では、各章ごとに登場人物たちそれぞれが、入れ替わり立ち代りで物語を語り進めていきます。それがまたもう。いいんです。グッとくるんです。主役たちも、脇役たちも、みんなの声が、気持ちが、伝わってきて、胸がいっぱいになって、涙が!というわけです。

要一、飛沫、知季、レイジ、サッチン。みんな最高だ!大好きだ!バンザイ!

あぁ、スポ根とか青春とか、そんな一言では片付けられない本です。心わしづかみでした。とにかく読むべし!!(読むの遅いよ!>自分。)

前へ、先へ、まだ見ぬ明日へ―DIVE!!

DIVE!!(1)前宙返り3回半抱え型
DIVE!!(2)スワンダイブ
DIVE!!(3)SSスペシャル’99
DIVE!!(4)コンクリート・ドラゴン
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DIVE!! 3 SSスペシャル’99 [森絵都]
4062108577DIVE!!(3)SSスペシャル’99
森 絵都
講談社 2001-07

突然のオリンピック代表内定の発表。少年たちの心はおかまいなしに、大人の世界は動いていく。翻弄される彼ら。そして彼らの出した結論は…。

この巻の主人公は富士谷要一。飛込みでオリンピックに出場経験のある父と母を両親に持つ、「サラブレッド」の彼。オリンピック代表の内定を受けた要一ですが、それを喜びながらもどこかに釈然としない自分がいる…。勝つたびにひとりになっていく自分。そして自分とは関係のないところで何かがうごめいている。メダルにからむ様々な思惑。

そんな、得体の知れない何か巨大なものに立ち向かおうとする彼の姿が痛々しく、胸にせまりました。彼の出した答えに、心から拍手!かっこいい…!最高!いい男!!「僕らのオリンピック」のために、みんながんばれ!

そして「汚い大人」ですら…ちょっといいじゃないですか。森さん。うまいなぁ。これじゃ憎みきれない!ただでさえみんな大好きで困ってるのに。

そう、このシリーズ、巻ごとに主役が変わるのです。ストーリーはどんどん進んでいくのに、そのつど主役が変わる。そんなわけで、皆に感情移入をしてしまい、あぁ、誰を応援すればいいのか!この子もこの子も!!という葛藤に、悩まされました(笑)。困る…。でも読んじゃう。好き!

そして4巻に続く。いよいよ「選考会」です!

DIVE!!(1)前宙返り3回半抱え型
DIVE!!(2)スワンダイブ
DIVE!!(3)SSスペシャル’99
DIVE!!(4)コンクリート・ドラゴン
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DIVE!! 2 スワンダイブ [森絵都]
4062105209DIVE!!(2)スワンダイブ
森 絵都
講談社 2000-12

オリンピック出場への第一歩ともいえる「アジア共同強化合宿」への参加権をかけた試合にのぞむMDCの選手たち。試合の行方は?そしてオリンピック代表の選考は…。

この巻の主人公は沖津飛沫。伝説のダイバーと呼ばれた沖津白波を祖父に持つ彼。オリンピックに出場できず、故郷の村に帰ってきた祖父。祖父は負けた、負けたんだ…。そんな思いを捨てきれない彼。それでも自分に「飛込み」を叩き込んだ祖父の思いは??自分はなぜ飛込みをやっているのか??そんな彼の葛藤が描かれます。

海で育った彼は、プールという狭い世界に反発を覚えたりもします。それでも、彼は「飛込み」を知ってしまった。あの一瞬の快感を知ってしまったのです。そんな彼に襲い掛かる試練。彼はそれをどう乗り越えていくのか…。状況は深刻でも、それに負けないのびのびとした彼の「海の子」な感じがとてもいい!ほんとに森絵都さんは一人一人の書き分けがうまいというか、全員のキャラがたっているというか、すばらしいです。

そしてこの巻は、オリンピック代表の内定が、選考会を待たずに突如決定されるところで幕を閉じます。いったい何があったのか?選ばれたのは誰なのか?それは3巻に続く…。

DIVE!!(1)前宙返り3回半抱え型
DIVE!!(2)スワンダイブ
DIVE!!(3)SSスペシャル’99
DIVE!!(4)コンクリート・ドラゴン
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DIVE!! 1 前宙返り3回半抱え型 [森絵都]
4062101920DIVE!!(1)前宙返り3回半抱え型
森 絵都
講談社 2000-04

ダイビングクラブMDC。所属しているのは高校生や中学生のダイバーたち。いまいちマイナーな種目「飛込み」をこよなく愛するオーナによって設立されたものの、赤字を抱えるこのクラブ。クラブを存続させるための条件は、クラブの中から「誰か」がオリンピックに出場すること。そして新しくクラブにやってきた女性コーチ・夏陽子。彼らの何かが変り始める―。

あー、もうこの物語は解説など無用!とにかく読んでおもしろい!夢中になってしまいます。まさに一気読み。全4巻なのですが、図書館で借りるなら4冊いっぺんに借りることをお勧めします。

これぞスポ根、これぞ青春。1巻目の主人公は坂井知季。飛込みは好きだけれど、勝負への貪欲さにかけるというか、ちょっとぼんやりですらあった知季が、夏陽子との出会いをきっかけに何かをつかみ、そして成長していく姿が描かれています。オリンピック出場のための選考会に向けて、「前飛込み前宙返り3回半」に挑戦する知季。友情に揺れ、恋に悩み、壁にぶちあたり、もがき苦しむ彼の姿に、もう心締め付けられまくりです。ぐいぐい。

知季は選考会で勝つことができるのか?クラブの存亡は??
そして2巻に続く…。

DIVE!!(1)前宙返り3回半抱え型
DIVE!!(2)スワンダイブ
DIVE!!(3)SSスペシャル’99
DIVE!!(4)コンクリート・ドラゴン
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いつかパラソルの下で [森絵都]
4048735896いつかパラソルの下で
森 絵都
角川書店 2005-04-26

家族にも自分にも厳格だった父親。不慮の事故でなくなった彼の1周忌を前にして、明らかになった彼の「秘密」。何も知らなかった父の本当の姿を探そうとする、3人の兄妹たちの物語です。

初手から「きゃー!」と思い、「え〜。これのどこがハートウォーミングなの?」(←本の紹介のところにそう書いてあったんです。)と、最初のあたりは結構読むのしんどかったんですが、ラストまで読んだらやっぱりハートウォーミングでした。よかった…。さすが、裏切らないです!

家族というもの、夫婦というもの、兄弟というもの、そして恋人というもの。お互いをよく知っているようで、知らない。わかっているようで、全然わかってない。それぞれの間にある感情や確執。それでもいっしょにいるということ。自分の身を合わせみて、いろいろ考えさせられる物語でした。

自分の抱えるいろいろな問題を、「トラウマ」とか、そういうもののせいにして生きていくのは、やっぱり嫌だと私は思っていて。でも、そういうことって他人にいくら言われても、自分がそう思えなかったらどうしようもないことで。だから、このラストは、とてもよかったと思いました。

永遠に訪れることのなくなってしまった「いつか」が、ちょっと切ない、でもステキな物語です。大人向けも、子供向けも、やっぱり大好き!と思いました。

ちなみに、この物語の影の主役は…実はお兄さんの彼女さんだと思います!


【追記】
どこかのインタビューで、森さんが答えていたこんな言葉が心に残りました。

こんなに悩んでいる自分の滑稽さ、というものにどこかで気付いていて、その滑稽さに自覚的になればなるほど、悩みの大きさはかわらなくても人は楽になれる気がするんです。解決はしなくても。
これは、そういう物語でした。
| ま行(森絵都) | comments(16) | trackbacks(24) |
宇宙のみなしご [森絵都]
406207334X宇宙のみなしご
森 絵都
講談社 1994-11

中学二年生の陽子と一つ年下のリンは仲良し姉弟。子どものころからいろんな遊びを工夫してきた二人が、新しく考え出した遊びは「屋根のぼり」。夜中にいろんな家の屋根にこっそりのぼる。見つかったら大変!このスリル満点の秘密の遊び。二人の秘密だったはずのその遊びですが…?

切なくて、あったかくて、とてもステキな物語でした。「屋根のぼり」私もやったなぁ…でも小心者なので他人の家の屋根にはのぼりませんでしたが(笑)。それでも、あの夜の匂いや、透明な空気や、空が近くなった感じや、わくわくしてでも心細いようなあの気持ち、ちょっと思い出しました。

「いじめ」や「登校拒否」や、そんなこともこの物語にはでてきます。でも彼らは、そこから決して逃げようとしていません。あたりまえのように、ただ受け入れて、いや、受け入れるなんて考えずに、ただ自然に、精一杯生きているだけです。悩んで、でも自分で考えて、自分で決めて。自分の足でちゃんと立ってます。なんというか、大げさに深刻に考えてしまう自分が拍子抜けしていまうくらいまっすぐに向き合って生きていて、その様子は読んでいてすがすがしくさえもありました。この子たちの方がよっぽど大人です。自分がちょっと恥ずかしくなりました。

陽子とリンの仲良しの大人、さおりさんの、こんなセリフにずきっとしました。

友だちのことでなやんだりするのって、学生の特権みたいなとこあるもんね。社会に出るとさ、なやみごとっていうのも仕事のこととか、お金のこととか、まぁ恋愛問題とか、結婚したらしたで相手の身内のこととか…。あとは自分自身かな。ほとんど自分自身のことでなやんでるのかな。純粋に友だちのことでなやむなんてこと、めったになくなっていくもんだから。
あまりにもそのとおりで、ぐぅの音も出ません。

「大人も子どももだれだって、いちばんしんどいときは、ひとりで切りぬけるしかないんだ。」
「でも、ひとりでやっていかなきゃならないからこそ、ときどき手をつなぎあえる友だちを見つけなさい。」
どんな勉強よりも、大切なことを学んだ陽子たち。真夜中の屋根の上で、彼らがつないだ手のぬくもりは、きっと一生の宝物です。不屈の笑顔で、がんばれ宇宙のみなしごたち!
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