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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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薄闇シルエット [角田光代]
4048737384薄闇シルエット
角田 光代
角川書店 2006-12
livedoor BOOKSで購入
書評データ

下北沢で古着屋を友人と共同経営しているハナ。ある日、恋人から「結婚してやる」と言われ、小さな違和感を感じる。「どうして、この人は『私が結婚を喜んでいる』と思って疑わないんだろう…」―違和感は日に日に大きくなり、ハナは恋愛と仕事について模索していくことになるのだが…。

なんなんだ!と思いました。この主人公は三十七歳で、私とは歳も仕事も考え方も立場もやりたいことも、なにもかも違くて、でもそれなのに、彼女の言うことも考えることも恐ろしいくらいに「リアル」で、まるで自分が考えてることみたいに思えて、全然違うのにどうして、どうして、どうして!、読んでいて、あまりのことに気分が悪くなってくるくらいでした。泣くかと思いました。(これ、誉めてます、私)。

ほんとに、全然違うんです。今の私は「結婚しよう」って言われたらそりゃもう大喜びで天にも昇る気持ちになるに決まってるのに、でも、そうならない彼女のこの態度も気持ちもわかるんです。「なんかつまんねえや」ってなって、あれ?なんでわたしこんな気持ちになるんだろう?って、その気持ちが、ものすごくわかるんです。なんででしょう?なんでこんなにわかるんでしょう?いやになってきました。(くどいようですが、誉めてます、大絶賛です)。この「圧倒的」さは、まさに圧倒的です。

よくできたお話とかではありません。めでたしめでたしとか、そういうのでもありません。心にぐさぐさぐさぐさ、これでもかこれでもかってくらいに突き刺さる、そんなお話です。ラストのハナはよしがんばるぞ!って前向きだけど、きっとこの先また沈む日もきて、でも、また顔をあげてがんばろうって思うんだろうな。あぁ人生ってきっとこういうことの連続だって、そういうもんだーって、でもそうやって人は自分で自分の人生を生きていくんだなぁって、いやんなるけどそうしかできないんだなぁって、なんか心からそう思いました。ぐったりしてしまうくらいの、名作です。

今はまだ何も掴み取っていないけれど、いつか、それが60歳になってからでも、何か一つ手に残ればいいって、私はまだ思えないけれど、(60歳になってからじゃ手に入れられないものが欲しいから…)でも、このハナの気持ちを、大丈夫、まだまだがんばれるって思えたときの気持ちを、忘れたくはないなと思います。
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12星座の恋物語 [角田光代]
410434603912星座の恋物語
角田 光代 鏡 リュウジ
新潮社 2006-10-19

「カレと私の物語」角田光代×「ホロスコープからのガイド」鏡リュウジ、夢のコラボレーションから生まれた24篇の星座小説。12星座ごとの男性、女性を中心に描く24篇のラブストーリーに、ホロスコープを添えました。星が教えてくれる本当のあなたの姿と彼の気持ちとは…。

個人的に占いとか全然信じてない(というかそんなもの覚えていられない)タイプの人間なので、鏡リュウジさんはお名前は存じ上げておりますが、まぁぶっちゃけどうでもいいわけで…えーと、角田さんの書くものが読みたいので読みました。というかこれが「夢のコラボレーション」なのかどうか、ジャンルが違いすぎてわからん…。

各星座ごとに「その星座の彼について語る女の子」のお話と「その星座の自分について語る女の子」の話があって、それぞれに鏡さんのガイドが付いているという構成になっております。というわけで、お話それ自体は大変楽しく読みました。12星座×2で24個もお話があるんですよ!角田さんすごい。これだけの登場人物のキャラをかき分けることもすごいけど、名前を考えるのも大変だったのではないだろうか…と余計なことを思いました。

もちろん最初に自分の星座のところを読んだわけですが…ふぅんって思って、他の全星座のを読んでしまったら…さっそくもうどれが自分のだったか、何を書かれていたのか覚えていないわけで(汗)。やっぱり向いてないんだなぁ。この本は「占いの本」としてはもう100%女性向です。男性が読むことは全く考慮して書かれていない感じ。それが自分に向いていないということは…私はいったい…。

でもおもしろく読んだから、よしとします。ちなみにこんな私は山羊座です。
| か行(角田光代) | comments(13) | trackbacks(6) |
おやすみ、こわい夢を見ないように [角田光代]
4104346020おやすみ、こわい夢を見ないように
角田 光代
新潮社 2006-01-20

「このバスはどこへ」「スイート・チリソース」「おやすみ、こわい夢を見ないように」「うつくしい娘」「空をまわる観覧車」「晴れた日に犬を乗せて」「私たちの逃亡」7つの短編が収録された短編集です。

ぱっと見、あら、かわいいって思ったんですけど、この表紙、よく見ると…大変にこわいです。裏表紙から折り返しまで、くまなくこわいです。そしてこの表紙が象徴するように、この本もまた。

人間という生き物が、心のどこかに持っている「悪意」や「憎しみ」や。そういう感情をテーマに書かれた短編たちなのかな…という印象。それだけに読んでいると非常に座り心地が悪いというか、心穏やかではいられない感じになりました。

個人的には表題作の「おやすみ、こわい夢を見ないように」が一番好きかなと思いました。なんかこれが一番救いようがあったというだけかもしれませんが(笑)。「ラロリー」。なんかいいです。
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幸福な遊戯 [角田光代]
4043726015幸福な遊戯
角田 光代
角川書店 2003-11

ハルオと立人と私。恋人でもなく家族でもない三人が始めた共同生活。この生活の唯一の禁止事項は「同居人同士の不純異性行為」―本当の家族が壊れてしまった私にとって、ここでの生活は奇妙に温かくて幸せなものだった。いつまでも、この居心地いい空間に浸っていたかったのに…。表題作「幸福な遊戯」の他、「無愁天使」「銭湯」の2編を収録。

これが角田さんのデビュー作だったんですね…やっと読みました。しかも文庫ではなくて単行本で読んだので、表紙が宇野亜喜良さんです。なんかすごい…。

正直、好きか嫌いかといわれると、あまり好きではない感じ…でした。角田さんの本は、そういうこともあります。どちらかというと初期のころが苦手な感じなのかな??何が違うのかって言われちゃうとわからないのですが…。なんとなく、なんとなくですけど…私の中でのジャンル分けでいくと「芥川賞」チックな感じ…??いや、今は芥川賞もちゃんと読めるようになった…ハズ、なのですけれど。
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対岸の彼女 [角田光代]
4163235108対岸の彼女
角田 光代
文藝春秋 2004-11-09<

結婚し、小さな子どももいる、三十代の主婦・小夜子。仕事を始めようと決心した彼女が働くことになったのは、同じ歳の女社長・葵がしきっている小さな会社。そこで掃除の仕事をすることになった小夜子ですが…。

やっと、やっと、やっと読みました。予約待ち長かった…。

現在の三十代の小夜子と葵の物語と、並行して語られる、葵の中学生時代の物語。三十代も、十代も、どちらの物語も心に痛くて、響いて、苦しくて。

「私たちは何のために年を重ねるんだろう」
その問いかけにどきっとしました。

なぜ私たちは年齢を重ねるのか。生活に逃げ込んでドアを閉めるためじゃない、また出会うためだ。出会うことを選ぶためだ。選んだ場所に自分の足で歩いていくためだ。
涙が出そうでした。もう誰も教えてくれないこと。自分で考えて答えを出さなきゃいけないこと。こういう答えを出した主人公に、とても、とても胸を打たれました。そっか、そのために年を重ねていくんだ、って。

この読後感、この余韻。切ない…のとはまた違うような。でもちょっと泣きそうな。人と人が、誰かと誰かがいっしょにいることって、子どものころからずっと、大人になってからも、それこそおばあちゃんになってからも、ほんとうにずっとつきまとう「わずらわしさ」で、でも絶対に切り離せない大切なもので。やっかいだけれど、面倒だけれど、でもあきらめないで、毎回毎回悩みながら、でも毎回毎回何かの答えを出して、そうして生きていけたらいいなって、そう思いました。

装幀の絵がまた素晴らしい。この二人の少女は…。裏表紙の折り返しのところにいる二人を、読み終わった直後に見たとき、なんだかほんとに涙が出ました。池田進吾さん、さすがいいお仕事をされています…。

そしてこんな好きな素敵な本に…余談ですけどアマゾンにも載ってる紹介文。「30代、既婚、子持ちの「勝ち犬」小夜子と、独身、子なしの「負け犬」葵。性格も生活環境も全く違う二人の女性の友情は成立するのか!? 」ですって。「勝ち犬」?「負け犬」?そんな単語一度も浮かびませんでした。後でアマゾン見てびっくりしました。ちゃんと読んで書いてるの?!ぷんぷん!「女の友情」だなんて、ひと言でくくれる本じゃありません!
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恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。 [角田光代]
4789727068恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。
角田 光代
ソニーマガジンズ 2006-02

たのしいこと うれしいこと 悲しいこと 怒ったこと ささやかな日常こそがいとおしい??―「今日、今、この瞬間」を綴った日常エッセイ。

「飲み屋のちいさなテーブルで向き合って、ゆるく酒を飲みながら、あるいはお茶を飲みながら、だらだらと話をしているように読んでもらえたら、私はいちばんうれしい。」とは角田さんのお言葉ですが、まさにその通りの本でした。一冊読み終わった今、私は気分的には角田さんのお友達…。

私は読んでいるだけで、角田さんは書いているだけで、それはものすごい一方通行なようでいて、でもちゃんとキャッチボールができているような、そんな気持ちになれます。なかなかないですよね?そんなエッセイ集。そしていろんな言葉がすごくすごく胸に残るエッセイ集でもありました。あんまりにもたくさんあるので、すべてをここには書いていられませんが、(そしたらほぼ一冊丸写しになってしまう)すごくよかったです。ふぅ〜。(←幸せのため息)。

はたと気付いたことがあった。私はある時期を通り越していて、そこにはもう二度と、この先二度と戻れないのだということである。
年をとるって一方通行なんだなあ。
本気で私は角田さんとサシで恋バナしてみたいです。絶対意見も境遇も合うと思うんですけど…っ!いかがですか??(あ、きっと家も近いですよ!)
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だれかのことを強く思ってみたかった [角田光代・佐内正史]
4087478815だれかのことを強く思ってみたかった
角田 光代 佐内 正史
集英社 2005-11-18

角田さんの書くショートストーリーと、佐内さんの切り取った東京の風景写真で構成された本です。

読み終えて、なんかものすごい贅沢をした気持ち…。写真も文章も素晴らしくて、文章はそれぞれがとても短いながらもみっちりと濃くて。これを文庫でこんなに簡単に読んじゃっていいのかしら?ってくらいです。

「見なかった記憶」という物語が、心に残りました。初めて付き合った人とディズニーランドに行ったとき、入場制限で入れなかったなぁ。不機嫌になった私を、なだめるのが大変そうだったなぁ。あれから何度も行ったけど、一番思い出すのは、行けなかったあの日のことです。

あと好きだった物語は「光の柱に」です。

そうして、何か祈るような気持ちになっている。私とヤマノウチくんがずっといっしょにいられますように、とか、そんなことではないし、この不道徳さの罰があたりませんように、でもない。祈ることなんか何もないのに、そうして何かを信じているわけでもないのに、私たちはある一瞬、すがるような気持ちで、何ごとかを祈っている。雨の夜空を突き刺す、華奢で荘厳な光の柱に。
見覚えのある景色が、たくさん載っているのもうれしかったです。それぞれの景色から、人が思い起こす記憶も、またそれぞれなんだろうなぁ…。そんなことを思いました。
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東京ゲスト・ハウス [角田光代]
4309013139東京ゲスト・ハウス
角田 光代
河出書房新社 1999-10

6ヶ月間のアジア放浪の旅から帰ってきたアキオ。不在の間の恋人の心変わり。帰る場所のなくなった彼は、旅先で知り合った女性の一軒家に転がり込むが、そこは、行くあてのない人が一時的な共同生活をおくる、旅の途中のゲスト・ハウスのような場所だった…。

退屈で、自分がわからなくなって、逃げ出したくなって、旅に出る…という感覚がわからない(味わったことがない)わたしですが、でも、この作品で描かれている独特の世界というか、匂いというか、そういうものはわかるような気がしました。

自分の前にひっついている、よく似たもう一人の自分…。そんなふうにも思ったことがなかった自分は、お気楽幸せに生きているのかなぁ…。
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トリップ [角田光代]
4334924255トリップ
角田 光代
光文社 2004-02-20

女子高生、主婦、サラリーマン、小学生…。同じ町に暮らす人々の生活を描いた連作短編集です。収録作品は以下の通り。

「空の底」
「トリップ」
「橋の向こうの墓地」
「ビジョン」
「きみの名は」
「百合と探偵」
「秋のひまわり」
「カシミール工場」
「牛肉逃避行」
「サイガイホテル」

全ての物語が主人公の一人称で語られるのですが、ある物語で主役だった人が、次の物語では新しい主人公の視線の先にいる人物になる―といったふうに、カメラが切り替わるように、物語ごとに視点がパッパッと切り替わっていくので、一冊読んだだけで、すごくたくさんの人の人生を生きたような気持ちになりました。

どの物語もすごくリアルで(正直、最初のうちはどうもなぁ〜と思ったのですが、後半に行けば行くほどリアルに感じられました。なぜか…。)、自分とはまったく立場も性別も違う人の物語なのに、これはそのうち自分が体験することなんじゃないだろうか、過去に自分が体験したことなんじゃないだろうか、そんな気持ちがしてきてしまうくらいでした。

そのうちいいことあるよ、とか、元気だしていこうよ、とかとは違う、独特の後ろ向き感…。結構好きです。
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エコノミカル・パレス [角田光代]
4062114194エコノミカル・パレス
角田 光代
講談社 2002-10

主人公は三十四歳フリーター。仕事は雑文書きだけれど、それだけでは足りず、ときには飲食店でアルバイト。同棲している恋人がいますが、彼はある日仕事を辞めてしまい…。

『愛がなんだ』『太陽と毒ぐも』に引き続き…またタマシイにビシビシとしみるお話でした…。こういう、ドロドロとも違う、悲しいのとも切ないのとも違う、ほんとうになまなましい恋愛物語。角田さんもしかしてものすごくうまいんじゃ…?!

読んでいてあまりにも身につまされました。リアルなんてもんじゃありませんでした。はは…。なんか、なんでもない日常に潜むいらだちや、怒りや、不安や、そんなものがどんどん自分の周りに立ち上ってくるようでした。むわっとした熱気や、すえたような臭気すら、感じられそうでした。そういうことが直接書いてあるわけではないのですが、感じられるというか、にじみでてくるというか。

名前も知らないこの主人公が、現在形で淡々と語る物語。お金がなくて、住民税も健康保険も滞納して、10円でも安いものを探してスーパーをぐるぐる巡って、次の入金日までどうやって暮らすか計算して。クーラーが壊れても直すお金がなくて、汗をだらだら流しながら仕事して。結局消費者金融でお金借りて、でもそのお金で洋服買ってしまったりする。ばかばかしい、ほんとうにばかばかしいけれど、「こういう人間はダメだ」とか「私はこうはならない」とか、そういう言葉では片付けられない気持ちがひしひしとしました。

私はかつて、いったい何になりたかったのだったか、そんなことを思う。みずからにどのような希望を持ち、どのような期待を抱き、どのような目標のもとに日々をすごしてきたのだったか。
三十四歳になって、自分が手にしている現実。今の自分。子どものころに思い描いていた夢は、なんだったろう。こんな「大人」になるんだったんだろうか。どこへでも行けるはずだったのに、自分のいる今この場所はなんだろう?そう自問する主人公。それが「思い悩む」とか「激しく後悔する」とかいう深い重い感じではなく、たださらっと、ぼんやりとそんなことを思う。その「ただ思うだけ」ということに、心底ぞっとしました。あまりにも他人事じゃなくて、怖くなりました。

すごい本でした…。
| か行(角田光代) | comments(9) | trackbacks(11) |