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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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ハヅキさんのこと [川上弘美]
4062136287ハヅキさんのこと
川上 弘美
講談社 2006-09-30

虚と実のあわいを描く掌篇小説集。

私この表題作の「ハヅキさんのこと」って、前にどこかで絶対読んだことある!という確信がありました。だってこの本を最初に見たとき、「へぇ、あのハヅキさんの物語が長編になったのね!」って思ったんですもの(←間違い)。でもどこで読んだのか思い出せない…初出を見ても「星星峡」なんて絶対読んでないし…しかも1999年だし…と、かなり悩んだのですが、無事解決しました。幻冬舎から出てた『発見』で読んだんだ!!あぁ、すっきり。(感想を書いていなかったことが、こんなところでアダに)。

というわけで、気を取り直して、短編集です。共通するテーマは…「エッセイっぽい」ってことなのかな?と。読んでいて「これってフィクションだよね?エッセイじゃないよね?」って軽く混乱したりしていたのですが、あとがきを読んだら作者さんご本人もそう思っていらっしゃったとのことだったので(笑)、安心しました。文章の力って偉大ですね。なにはともあれ、川上さんの世界、堪能いたしました。
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ざらざら [川上弘美]
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川上 弘美
マガジンハウス 2006-07-20

マガジンハウスの雑誌「クウネル」などの連載をまとめた恋愛短編集。

なんでこう…居心地というか、読み心地というか、そういうのがこんなにいいんでしょうか。川上さんの書く世界は。浸りました。この不思議な雰囲気の中で切り取られる一瞬の世界がなんともリアルで、読んでいて何度もぞくっとしました。切なくもなりました。ここに出てくる女の子たちのような、突き放したような恋愛感を私は持つことができないタイプなのに、こんな静かな涙は流せないタイプなのに、それでもなぜか、その一瞬はリアルでした。

あいたいよ。あいたいよ。二回、言ってみる。それからもう一回。あいたいよ。
このフレーズに一番しびれました。
| か行(川上弘美) | comments(10) | trackbacks(3) |
夜の公園 [川上弘美]
4120037207夜の公園
川上 弘美
中央公論新社 2006-04-22

リリと幸夫の夫婦。リリの親友・春名。暁と悟の兄弟。彼らが築いた奇妙な人間関係とその結末は…。

リリ・幸夫・春名・暁の4人が、それぞれに語り手になって語る物語が交互に展開される、ゆるやかな愛の物語でした。(で、どうして悟のパートはないのかしら?とか思ったりしたり。仲間はずれ?)

なんというか静かに理解不能な人たち…。えええ!そ、そんな展開?!としょっぱなからかなりびっくりしてしまいました。リリさん、ちょっとぼーっとした普通の人かと思って読み始めたのに…いや、普通か。うん、普通かもしれない…けどびっくりしました。

一番印象に残ったシーンは、春名が「不倫なんてやめなよ」みたいなことを言われて、その言葉でくくると何が違うって自分では思って、でもその言葉であらわされるそれは、なんだか誰もがしていることのようで、結末が決まっていて簡単そうで、うらやましいなって思うシーン。なんか、その気持ちはわかります…。

私は基本的には、ここに登場するような誰にも似ておらず、思ったことは全部口に出てしまい、それが前に言ったことと違ってても「今はそうなの!」とか思いっきり前言を撤回してしまうような、とにかくやかましく、いけいけGOGOなタイプなので、同じ境遇に陥ったとしても、絶対にこういう結末にはならず、したがってこういった物語には全くそぐわないのですが…でもきらいじゃないです、こういうの。

ものすごくどろどろした設定なのに、全然どろどろ感じられないの、何ででしょうね。すごく不思議でした。
| か行(川上弘美) | comments(11) | trackbacks(11) |
古道具 中野商店 [川上弘美]
410441204X古道具 中野商店
川上 弘美
新潮社 2005-04-01

脱サラして二十五年、古道具屋を営む中野さんと、その店で働くヒトミとタケオ。ちょっと奇妙な彼らの日々を描いた物語です。

あいかわらず淡々とした描写。細かく細かく描写されているのに、音もなく静かな感じがするのはなぜだろう?と不思議になります。普通書き込むとにぎやかになるような気がするんですけど…。

物語の語り手はヒトミです。彼女をとりまくちょっと奇妙な人たち。彼らのペースに流されながらも静かな日々を過ごす彼女。最初のうちはそういうただ日々の物語かなぁと思っていたのですが、後半あれよあれよという間に恋愛小説になっていったのでびっくりしました。(あれ、そもそも恋愛小説でした??)

誰かを好きになって、その人のことばっかり考えて、しまいには頭にきたりしてしまう気持ち。ドラマチックな出来事が起こるわけでもなんでもなくて、なんとなく始まった恋。どうにも地味な恋愛ですが、ほんと、実際の恋ってこういうものですよね…。主人公も相手も淡々としてるだけに、せっぱつまった感じなわけではないんですけど、妙にうなずける感じでした。

なんでこんなしょうのない男のことでわたし、くよくよしてるわけ。自分にも腹がたってくる。もうタケオのことなんてきれいさっぱり忘れて、新しい男とどんどん恋をして、タケオとのこともいい思い出だったわ、なんてさらっと言えるようになって、野菜や海藻や豆類もまんべんなくとって、健康で元気な輝く毎日を過ごしてやるんだから。
あぁ、わかる!わかりますその気持ち!(笑)

最後まで読んですごくいいモノを読んだなぁと思わせてくれる一冊でした。
しみじみじんわり、あったかい気持ちになれました。よかったです!
| か行(川上弘美) | comments(13) | trackbacks(16) |
ニシノユキヒコの恋と冒険 [川上弘美]
4104412031ニシノユキヒコの恋と冒険
川上 弘美
新潮社 2003-11-26

「ニシノユキヒコ」を通り過ぎた、たくさんの女性たちが語る物語です。どうして彼と出会い、彼に惹かれ、彼と過ごし、そして離れたかを、彼女たちは語ります。

「ニシノさん」「西野君」「ユキヒコ」「幸彦」「西野くん」「ニシノ」「ニシノくん」「西野さん」。いろんな時代のニシノユキヒコを、彼女たちは様々に呼びます。そして、彼女たちの話の中で、彼は時に中学生であったり、時に五十歳を過ぎていたり、あるいはすでに死んでいたりします。

ニシノユキヒコはなんというか「旅人」です。愛の旅人…?彼を「なめらかにうわの空」と評した女性がでてきましたが、まさにそんな感じだと思いました。彼は旅人だけど、でも自分がどこにたどり着きたいのかもわからなかったんじゃないのかな…。

この前読んだ三浦しをんさんの「私が語りはじめた彼は」とちょっと構成は似ています。でも「私が…」の方は「事実はひとつだが、真実はそれを語る人の数だけある」ということを書いている(と私は思った)のに対して、こっちでは「これだけの真実から語られるニシノユキヒコ自身」を描こうとしている(と私は思った)のが違うところかなぁと。何人もの女性がニシノユキヒコのことを語りますが、その女性たちの違いとか個性みたいなものよりも、「彼女たちがとらえたニシノユキヒコ感」みたいのに重点が置かれている印象でした。(みなさん確かにタイプも年齢も違う方なんですけれどね。)ニシノユキヒコ自身が語る言葉もたくさん出てきますし。そこを書きたかったのかなと感じました。

しかし…ダメな男だ!ニシノユキヒコ!彼女たちがいかに強く、そして優しかったのかということを、彼はしっかり心に刻むべきだと思います。可哀相な人?(でも幼い頃に悲しいことがあって、それがトラウマだなんて、それは言い訳です!)なのかもしれないですけど…だからといって何をしてもいいというわけではありません!よ!そして、女ってバカだなぁ…。

これを読んだ男の人がどう思うのか、ぜひ聞いてみたい気がしました。
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パレード [川上弘美]
4582829961パレード
川上 弘美
平凡社 2002-04-25

「昔の話をしてください」とセンセイが言った。

そんな一言から始まる、ツキコさんとセンセイの過ごしたある日の物語です。

じんわりあったかい、やわらかい物語。心がほんわかしました。
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センセイの鞄 [川上弘美]
4582829619センセイの鞄
川上 弘美
平凡社 2001-06

ツキコと、高校時代の国語のセンセイの恋の物語。

ツキコさんは38歳、センセイはもうご老体。最初は全然「恋の物語」じゃなかったのですが、みるみるうちに恋の物語になりました。そうか、恋ってこういうものだよね…と思ってみたり。のんびりとしたセンセイとツキコさんの会話、とても独特で、とてもステキでした。万事騒がしい自分。こうはなれない…。ここでは、時間がとてもゆったりながれているみたいでした。

まだ二人が両思い(?)になる前、二人で島に行くシーンが一番好きです。部屋にはふたりきり。どうなるのかしら、どきどきの展開!…なのに、のんびり俳句の推敲などしているセンセイ。挙句に「ツキコさんもよかったら句をつくってごらんなさい。」などと勧められてしまいます。

それでしかたなくわたしもセンセイと並んで句をつくることになってしまった。何がなじょしてこうなった。時刻はすでに午前二時を過ぎている。指を折りながら「ゆうぐれの灯にくる大蛾さみしそう」などというヘボな句をつくっているこの状態は、いったい何だ。
ほほえましいというか…こういうの好きです。いいなぁ。

あわあわとしていて、静かで、切ない恋の物語でした。
| か行(川上弘美) | comments(2) | trackbacks(5) |