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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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コルセット [姫野カオルコ]
4104277029コルセット
姫野 カオルコ
新潮社 2006-09-21

美しく爛れた人生には、退屈しかない。建設的で生産的な人生をいかに歩むかと考えたり努力したり自己を鼓舞したりするようなことは、働かないと食べてゆけない人たちがすること。―官能から始まった純愛、倒錯した被虐趣味、すれ違った片思い、南の島での三日間の邪淫。それすらも退屈しのぎ。硬質な筆致で描く、スノビッシュな階級小説。

なんだか期待していたのとは少し違ったんですけど、でも読んでみたら不思議と…どっぷり。そう、自分とはまったく関係のない世界(しかもたぶん一生関係ない)なのに、なんでこんなに浸れるんでしょう。美しい熱帯魚の水槽を眺めているような…ほんとうになんだか不思議。すごく好き!ってわけじゃないのに、でも最後まで読んでしまって、むしろ読み終わったらもう一度最初から読みたいような気持ちにすらなりました。この本の構成がそうさせるのかな…。

ロンド形式、というのだそうです、こういうの。第一話のラストシーンが第二話の冒頭シーンにつながり、第二話のラストシーンが第三話の冒頭につながり…、第四話のラストシーンはまた第一話の冒頭につながる、という形。なんだか永遠に終わらない、この本にはぴったりの感じです。うまく言えませんが、この、終わらない感じが…。うん。

全編に渡って登場する「藤沢さん」。彼は、同じ人なのか、違う人なのか、どこにもいそうで、でもどこにもいなそうで、ぐるぐるぐるぐる…。私の頭の中に圧倒的存在感で藤沢さんが居座ります。でも、それが不快でない不思議…。姫野マジック?

読んでどうこう思うというよりは、読んでこの耽美な世界にまったりうっとり漂うというのが正しい読み方なのではないかと。惑溺?帰ってこられなくなったら困りますが(汗)。私はしっかり浸りました。そしてこれはとても「女性」向け。男性は〜…どうかなぁ〜。
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すべての女は痩せすぎである [姫野カオルコ]
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姫野 カオルコ
集英社 2004-06

「美人」って、何なの?痩せてること?
「美」にまつわる姫野さんのヒトコトががいっぱい詰まったエッセイ集です。

第1章 まぼろしの美人論
第2章 すべての女は痩せすぎである
第3章 ルックス&性格=見かけ&中身
第4章 すべての男はマザコンである
第5章 すべての人に好かれる方法
第6章 彼の声

姫野さんのエッセイを読んだのは初めてですが、「私はこう思う、こう考える」という姫野さんの意見が、こういうエッセイを読むよりも、その著作を読んだほうが、なんだかダイレクトに伝わってくるような気がするなぁと思いました。いや、エッセイだと伝わってこないとかそういうわけじゃなく、これはこれでいろいろ目からウロコだったりしたのですが、それでも彼女の「作品」が放つ声の方が私の耳には大きく聞こえるなぁって…。(それってすごいことだと思うんですけど。)

そしてあとがきを読んで驚いたのは、「姫野さんはこういうエッセイの文庫化に際して、ほとんど全部を書き直している」ということ。加筆訂正というよりは全面改稿だそうです。すごいなぁ…読者として、自分は幸せだなぁと思いました。
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受難 [姫野カオルコ]
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姫野 カオルコ
文藝春秋 1997-04

修道院育ちの処女フランチェス子の体の「あんなところ」にある日突然できた「人面疽」。古賀さんと名前を付け、「彼」と共棲をはじめた彼女ですが…。

正直、読み始めたときは「何だこれは〜!」と思いっきりひきました。どうしよっかな、リタイアしちゃおうっかな…とまで思っていました。ところが、読み進めてだんだん「彼」に馴染んでくるうちに、すっかりとりこになりました。最後には絶賛しました。さすが姫野さん、恐るべし…。

それにしてもこれだけの状況にほとんど動じない主人公・フランチェス子。(たまに失神とかしますけど)。クールとか冷静とかいうのとは違いますが、この揺るがなさ。落ち着き。かっこいい…。いい!姫野さんの書く女性はいつも堂々としていてステキです。フランチェス子と古賀さんの絶妙な会話に、笑い、どきりとさせられ、自分の「幸せ」というものについて、省みてみたいような敬謙な気持ちにもなりました。

そしてこのラストは…最高です!!!
こうくるとは…!まさかこの物語のラストで自分が胸キュンするとは!はぁ〜。
こんなに○○とか××とかの用語が飛び交う奇妙な設定の話じゃなかったら、小学生にも読ませたいくらいのものです。

ちなみに映像化は絶対無理だと思いますが、そこをなんとかうまく映像化できたらすごいことになるんじゃないかしら?!と思いました。
現在構想中です…(私が考えたってしょうがないですけど〜…。)
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桃 [姫野カオルコ]
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姫野 カオルコ
角川書店 2005-04-01

桐野と同級生だった安藤が語る初恋の記憶「卒業写真」。河村礼二郎が語る「高瀬舟、それから」。塔仁原と結婚した頼子が語る「汝、病めるときもすこやかなるときも」。田中帽子店の娘・景子が語る「青痣(しみ)」。数学教師・夏目雪乃丞が語る「世帯主がたばこを減らそうと考えた夜」。そして隼子自身が語る表題作の「桃」。『ツ、イ、ラ、ク』と対になっている短編(中編?)集です。

かつてあの街に住んでいた、または今も住んでいる人々の語る物語たちです。あの頃、彼らが見聞きした「事実」は一つであるのに、その事実は見る人が違うとこうまで印象が違うのかと、そういうことにも驚かされました。その理由を、姫野さんはあとがきで「六人は過去の同じできごとについて語っているのに、同じできごとではない雰囲気になる。六人それぞれ、通過した時間が違うのです。」と書かれています。なんかすごく納得してしまいました。そしてそんな解説なしでも、読めばそれが伝わってくるこれらの物語。この書き分け、みごと!です。

中でもやっぱり好きなのは、当事者たちが語る「高瀬舟、それから」と「桃」。「桃」は隼子が三十二歳の物語なので、あと二年!二年だから!がんばって!となんだか涙ぐんでしまいました…。あと「汝、病めるときもすこやかなるときも」も…この!この最後のひと言は!!これは、そういうことですか?そうですよね!重要です。あぁ、なんだかうれしい…嬉し涙が出そうです。

私はあの一冊で隼子と河村のことが大好きになったらしく、もうとにかく彼らが登場すればうれしい…という状態で読みましたが、姫野さんいわく「前作を読んでいなくても楽しめる」ように書かれているそうです。そっちの楽しみ方もしてみたかったような、今更できないような…複雑な気持ちです(笑)。
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ツ、イ、ラ、ク [姫野カオルコ]
4048734938ツ、イ、ラ、ク
姫野 カオルコ
角川書店 2003-10

森本隼子、十四歳。地方の小さな町で、彼に出逢った。ただ、出逢っただけだった。雨の日の、小さな事件が起きるまでは。苦しかった。切なかった。ほんとうに、ほんとうに、愛していた―。姫野カオルコの新境地、渾身の思いを込めて恋の極みを描ききった長編小説。

物語の始まり、登場人物たちは小学校二年生です。読み始める前の頭の中に「これは恋愛小説」というのがあったので、面食らいました。あぁ、私は固定概念にとられられていた!なんだかわからないけれど「やられた!」と思いました。これはすごいかもという予感がしました。

そして、小学校から中学校へ、だんだんに歳を経て成長していく彼ら。それにつれ変化する、体、自我、環境。彼らをとりまくそのときどきの「世界」が、この物語ではものすごくリアルに描かれています。見事です。うわー、そうそう、「女の子」の世界ってこうだった…。私はわりとそういう集団には属さずに生きてきたタイプですが、それでもここで描かれている世界はものすごくわかりました。実感できました。大人になって「繕う」ことを知る前の、このくらいの小さな人間たちの、あの傲慢さ、残酷さも。

そういうところだけでもこの本は私にとってすごい本だったのですが、話はそこからさらに十四歳の準子の恋の物語へと広がっていきます。彼女の年齢や立場。世間の目。そして彼女を取り巻く様々な人々の思惑。そんなものが複雑に絡み合う中での恋。美しい恋でも、清純な恋でもない。すごい生々しさ。こういう恋愛を、こういう物語を、たとえば私が中学生くらいのときに読んだら、私はこの本を嫌いになっていたかもしれません。でも今というこのときに読むと…ものすごく胸に迫ってくるものがありました。ラストは賛否両論なのかもしれません。でも私はこうじゃなきゃいやだった。だからこれですごくうれしかったです。

あのくらいの頃、誰かを好きだったみたいな気持ち。交換日記とか、学校の外で会うとか、そういうことがものすごくどきどきしたあの気持ち。手もつながない、キスもしない、そういう意味での「純粋」ではない「純粋」さ、温度が、密度がまったく違ったような気がします。もう戻れないんだな。失くしてしまったのではなく、通り過ぎてきてしまったんだな。それが悲しいのではなく…ただ、奇妙に懐かしく感じました。

大筋のところとは別に、印象に残る部分も多々ありました。

女のエロスのOSでは、強い感情であろうが淡い感情であろうが、過去の感情は「ごみ箱」に行き、「ごみ箱を空にする」がクリックされて削除され、その後は検索しても「検出できません」と表示されるのみである。
生きてゆく人間というものは二十三歳ののちに四十三歳になって知る。二十三歳の自分はなんと若く、熱を帯びていたのだろうかと。しかし、やがて五十三歳になって知る。もし自分が今、四十三歳ならなににでも新たな挑戦ができたのにと。そして六十三歳になり、さらに知る。五十三歳の自分は、三十三歳と変わらぬほどに、なんと若かったのだろうかと。
これは単純な「恋愛小説」ではなく、もっと大きな…。なんというんでしょう。もっと生々しい「人」の物語でした。青春の物語でした。官能的で、笑えて、泣けて、さわやかじゃない。すごかったです。
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ハルカ・エイティ [姫野カオルコ]
4163243402ハルカ・エイティ
姫野 カオルコ
文藝春秋 2005-10-14

戦前、戦中、戦後をごく平凡に、だが常に前向きに生きたひとりの女性の物語。

読み終わって…というか、読んでいる間からずっと、なんてすばらしいんだ!と思っていました。もういろんな人に読んで!って勧めてまわりたいくらい。

大正九年に生まれたハルカ。生まれて、育ち、学校に通い、結婚をして、戦争を体験し、子どもを生み育て…という彼女の半生が年代を追って丁寧に綴られていきます。読みながら自分の心も、ぴったりハルカの心に沿うようでした。

彼女が得にすばらしいことを成したとか、めちゃくちゃできた人間だったとか、そういうわけではありません。子どものころは親の名前の重さにプレッシャーを感じて苦しみ、女学生のころには淡い恋も体験し、結婚してからちょっと他の男の人と遊んだりし…ほんとうに市井のごくごく普通の人間です。でもそんな彼女の人生が、こんなに現在の私に響く、心を打つのです。なんと言ったらいいのか…うまく言えませんが。かっこいいのです。美しいのです。とても。

この物語にはもちろんハルカだけじゃなくて、彼女を取り巻く様々な人々がたくさん登場します。兄弟だったり舅姑だったり友達だったり…。みんな普通の人です。自分の人生を生きている普通の人です。でもみんなすごくかっこいいのです。普通に生きて、普通に暮らしている人々が、家族が、こんなにかっこいい。それはもう、うらやましくなってしまうくらいに。でも、私がかっこいいと思う彼らは、自分のことをかっこいいと思って生きているわけではないのです。それすら、私にはかっこよく思えました。きらきらして見えました。

便利なものなんて何もない時代。携帯電話も、洗濯機も、テレビだってそんなに普及しているわけではない時代。それどころか戦争まで体験したこの時代の人々が、平和で楽な現代に生きている私達より、よっぽど幸せそうに、楽しそうに見えるのはなぜでしょう。かっこよく見えるのはなぜでしょう。こんなふうに歳を重ねて生きていけたらなぁと、かけがえのない時間を積み重ねていければなぁと、素直にそう思えました。

ほんとうに、たくさんの人に読んでもらいたいなと思いました。読み終わって背筋がぴんと伸びました。すばらしい本でした。私はこの本図書館で借りましたが、買います。大好きな本になりました。絶賛!です。

【追記】
どうでもいいことですが…また「小鳥遊」が出てきたので(参照
ますます運命を感じました…!!!すごい!
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