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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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きみときみの自転車 [沢村凛]
4052023951きみときみの自転車
沢村 凛
学習研究社 2006-05

きみは青い自転車にまたがっていた。それが、ぼくがきみを見た最初だった。次の日、きみはぼくのところへやってきて、言った。「どろぼう!」って。それが、きみがぼくに向けて言った初めてのことばだった。違う!ぼくはきみの自転車を、盗んでなんかいない。「きみの自転車を捜し出して、ほんとうの犯人を見つけてやる」。

ぼくがぼくになるまで』の続編にあたる作品です。前作に登場した仲間たちが、今度はまた別の主人公の男の子の相手役として元気に登場します。私はうっかりこれが続編だと知らずに先に読んでしまい、後から『ぼくがぼくになるまで』を読んだのですが…。まぁ読んでいると明らかに「あれ?これ何かの続き?」って思うんですけどね(笑)。

続編といえば続編なのですが、これはまたガラっと違う作品になっています。メッセージも、きっと、違う。どちらかというと、こちらのほうが王道の「児童文学」っぽいかなぁと思いました。私の中では、ダメな大人が正直にたくさん出てくるところが、この作品の一番好きなところです。
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ぼくがぼくになるまで [沢村凛]
4052020782ぼくがぼくになるまで
沢村 凛
学習研究社 2005-01

気がついたら真っ暗な場所にいた「ぼく」。ここはどこなの?ぼくはいったい誰なの?不安に押しつぶされそうになった「ぼく」の目の前に開けた世界は…。

最初の文章が…なんというか圧巻でした。ぐぐっと来ました。子ども向けの本だと思います。でも…、その声のあまりの生々しさに大人の私でもぞくっときたというか、そこから目が離せなくなって、最後まで一気に読みました。

自分が何なのかわからない「ぼく」が、様々なナニカに姿を変えながら、人間の子供たちと知り合い、そしてある事件に巻き込まれていく…というお話なのですが、単純なようでいて、でも引き込まれました。語り口も、文字の大きさも、挿絵も、児童文学なのになぁ…。いや、もちろん児童書としてもすっと読めるのです。おもしろいです。でも…かなり意外な吸引力でした。

実はこの本は続編で『きみときみの自転車』という本が出ており、私はうっかりそれを先に読んでしまいました。なるほど、こっちが先ね…!というわけで、これから『きみときみの自転車』を再読します。
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リフレイン [沢村凜]
410384101Xリフレイン
沢村 凛
新潮社 1992-02

アンタミア標準暦4759年、一隻の星間連絡船が無人の惑星に漂着した。生き残った数百名は、母星からはるか彼方の惑星「メシア」で救助を待ちつつ生き延びていくことを余儀なくされる。「イフゲニア」という国家を作り、生活を始める彼らだが…。

第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作だったそうです。(その後に『ヤンのいた島』で第10回の優秀賞を受賞なさったわけですね)。 そして沢村さん、本名は浦栃朋江さんっておっしゃるんですね…(巻末の作者紹介より)。

舞台は壮大な宇宙空間。まさにファンタジーです。でも、その舞台で人間が繰り広げる物語は、そんなふわふわしたものじゃなくて、甘っちょろいものじゃなくて、手の爪の間にはさまった土のにおいさえしそうな、生々しいものでした。

極限状態で生きるということ。人間の醜い姿がそこではあらわになります。でも、そんな中でも、なくしてはいけないものをなくさないで生きようとする人がいて。それを貫き通そうとするかたくなさに、読みながら自分の心がぎゅっと締め付けられるようでした。なんでそんなに…バカだなぁ!もう楽になっちゃいなよ!って、何度思ったかしれません。でも、彼はそうしなかったし、そうしなかったからこそ、こんなふうに私の心を打つのです。もどかしいですけれど。

この物語が問いかけてくるのは、それだけではありません。「人の生死」、特に「死刑」というものについて、その倫理感というか、人が人の命を奪うということがどういうことなのか、ものすごく考えさせられました。答えがあるわけではありません。この本でそれが示されるわけでもありません。でも、だからと言って考えなくていい、見て見ぬふりをしていればいいと、そういうことではないんだなと思いました。正解とか不正解とかではなくて、「自分の考え」というものを持つということ。それだったら、できますよね。

この本が沢村さんのデビュー作。今までに読んできたほかの著作が、そうか、こういうところからスタートしてたんだなというのが、すごくうなずける本でした。沢村さんの描く不器用な人々が、そして物語が、とてもとても大好きです。そしてこの物語のラスト。あぁ、沢村さんだ!って思いました。ありがとうございました。
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ヤンのいた島 [沢村凜]
4103841036ヤンのいた島
沢村 凛
新潮社 1998-12

南洋の孤島・イシャナイに、Z国の生物調査団の一員として渡った瞳子。政府軍とゲリラが戦うこの島に、彼女が無理矢理やってきたその理由とは?そして、島で彼女が出会ったのは…。

第10回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作だそうです。

最後まで読むと…何気にわけがわからなくなりました。ええ?あれ??そういうことなの??なんかポンと宙に放り出されてしまったみたいな感じ…。悪い感じじゃないんですけど、びっくりしました。

そして確かに基本的には「ファンタジー」なんでしょうけど、実際読んでみた感触としては、そういうふわふわした感じというよりはむしろ泥臭いくらいの…なんというのでしょう。植民地とか、民族の誇りとか、貧困とか、政治とか、ゲリラとか、戦争とか、なんかキーワードがめためたですが、そういう考えていくとちょっと苦しくなってくるような、そんなことがしっかり書かれていて、なかなかどっしりと心に座る本でした。
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瞳の中の大河 [沢村凜]
4103841044瞳の中の大河
沢村 凛
新潮社 2003-07

貴族の血をひくものの、出生に複雑な事情をかかえるアマヨク・テミズは、軍学校を卒業し、西の駐屯地へ向かう小隊の隊長として赴任する。そこでアマヨクに下った命令は、王家の宝を盗んだ者たちの捜索だった。アマヨクは、野賊の6頭領のひとり、オーマの仕業であることを直感するも、逆に盗賊たちの策略にはまり、捕えられてしまう。伝説の野賊として名高いオーマとの出会いをきっかけに、アマヨクの波乱に満ちた運命が幕を開ける。

ひと言で言って、名作だと思います。心から。どうしてこの本、有名じゃないのでしょうか!!!こんな表紙だから??惜しいです。すごくいい本でした。

読み始めは、若干つらいものがありました。分厚いので「先が長いなぁ」というのと、登場人物の名前が覚えられないのと…(←これは完全に自分のせいですが)。でも、読み進めるにつれて、どんどんこの世界にはまり込んでいく自分がわかりました。アマヨクに魅入られていく自分がそこにいました。これぞまさに「大河ドラマ」。圧巻です。

アマヨクを襲う様々な試練。それでも、何があっても、自分の信じるもののため、愛するもののため、守りたいもののために、真っすぐに突き進んでいく彼の姿に、信念に、何度も目頭が熱くなりました。人の強さ、そして弱さ。そのどちらもが人であるということ。胸を打たれました。

しかし、さすが沢村さん。今までに読んできたような沢村さんの作品たちとは全く違うタイプの本ですが、でも、ほんとうにすばらしい本でした。読んでよかったです。手に取りづらい本だとは思いますが、ほんとうにほんとうにオススメです。
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さざなみ [沢村凜]
4062132362さざなみ
沢村 凜
講談社 2006-01

借金返済に困って、突如現れた男に仕事を紹介してもらった「執事」の仕事をすることになった「俺」の物語「銀杏屋敷」。ポケットの中の何かに振り回されている男の物語「奥山史嗣」。そして様々な人々の「親切」の物語「ケース」。別々に見える三つの物語の向かう先は…。

上手い!うまいなぁ。かなり感心してしまいました。読み終えて、心に浮かぶのは、まさにこの表紙のような同心円上に広がる「さざなみ」でした。

三つの物語が、それぞれ交互に語られていきます。それぞれが関係あるんだろうし、こういうことかな…というのも読んでいくとなんとなく想像できてくるのですが、それがわかった上で読んでも面白かったです。構成が上手いというのでしょうか。よくできた推理小説を読んだときのような、すべてが繋がったときの爽快感…とは少し違う、ちょっと居心地の悪いような、ざわざわするような、でも繋がった感じ。上手く言えませんが、こんなのもあるんだなぁと。アイディア勝ち!という感じがしました。

なんとなく、もう一波乱あってもよかったかな?とか、もうちょっとキャラがすっ飛んでてもいいかな?とか思ったりしましたが、でも面白かったです。
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あやまち [沢村凜]
4062123436あやまち
沢村 凜
講談社 2004-04-24

かつて二人で通った地下鉄の階段を、今、わたしは一人で上っている。そして、そのたびに思い出す。彼のあやまちと、わたしのあやまちを―。

美人でもなく、特技もなく、恋人もなく、誰にでもできそうな仕事を日々こなして、ぎりぎりの生活費を稼いでいる、三十代まぢかの一人暮らしの女。貯金もたいしてなく、誰の役にも立たず、まるで暮らすために暮らしているような毎日。もちろん子供もなく、後世に残るようなクリエイティブな活動をしているわけでもない。
私のことかと思いました…。でもこれは私じゃなくて、主人公の「のぞみ」の話。「一人でも、一人じゃなくても同じ。一人でいても生活を楽しむことをしっていればさびしくない。二人でいても心が離れていたらさびしい。だから、恋も結婚も、拒まないけど、探さない。」そんなふうに生きていた、のぞみの、話。

…でもどうしても自分のことのような気がしてしまうのですけれど…。そんなわけで、ものすごくのめりこんで読んでしまいました。彼女の心の空虚さも、おびえも、あきらめも、ごまかしも、自分のことのような気持ちで。心臓をぎゅっとつかまれたままみたいな気持ちで。

読み始めた最初から、どうしようもないくらいの哀しさがただよっていました。プロローグで、私たちはもう結末を知らされることになります。後に綴られるのは、そこに至るまでの物語。答えは、もう出ているのです。でも、どうなるかわかっているから読む価値がないとか、読んでもなんとも思わないなんてことは全然なくて、むしろ、わかっているからこそ、ものすごく深く、心に入り込んでくる、そんな物語でした。

でも、この結末は、どうしようもないですか?もうだめですか?何もできないですか?わたしは、まだあきらめてほしくない。このままでいてほしくない。まだ、どうにだってできる。とりかえしのつかないことじゃないよって、大きな声で言いたかったです。(←感情移入しすぎ…)。あきらめないで、よー。
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カタブツ [沢村凜]
4062124017カタブツ
沢村 凜
講談社 2004-07

出会ってはいけなかった二人が出会ってしまったら―「バクのみた夢」の他、「袋のカンガルー」「駅で待つ人」「とっさの場合」「マリッジブルー、マリングレー」「無言電話の向こう側」と、「カタブツ」達がおりなす様々な物語を収録した短編集です。

最後の恋』から気にはなっていた沢村さん。ゆうきさんざれこさんのオススメを受けて読んでみました。

…大お気に入りです。大好きです。特に最初の「バクのみた夢」で、すいません、ものすごくツボにはまって号泣しました。すごい、すごいいい本でした。これは買いです!

作者さんがあとがきで書いていらっしゃるように、そしてこのタイトルが示すように、「地味でまじめな人たち」が主人公のこの本。でも、各短編ごとに、手触りも、色も、読後感も違う。本当に全部同じ人が書いているの?「カタブツ」というテーマのアンソロジーだって言われても納得なくらいです。毎回毎回楽しめます(いや、楽しい!ってわけでもないんですけど…飽きさせないというか、意表をついてくるというか)。すごいなぁ。読んでから一日たちましたが、今各短編のタイトルみただけで、ちゃんと中身が浮かびますもん。(え?普通?私は普段だとできないんです、これが…)。

「バクのみた夢」
お互いに家庭を持っているのに、出会い、愛し合ってしまった道雄と沙緒里。誠実さゆえに配偶者をあざむきつづけることができなくなった二人が出した結論は…。

もう、ほんとに、ど真ん中ストライクだったのです。この物語。普通にど真ん中だったのに、さらにこのラストで駄目押しというか、満塁サヨナラホームランというか(比喩が変です)、この最後の一段落が…すばらしすぎます。脱帽、そして号泣。

「袋のカンガルー」
わがままで身勝手なのにほおっておけない亜子と、僕にとっての奇跡の女性・英恵。二人の間で僕は…。

これはまた、展開がすごくうまいなぁと。「亜子」この女性は誰だろう?何だろう?さんざんそう思わせておいて、気にさせておいて、いざ事実が明らかになったら急にぱったり彼女は物語の中に登場しなくなるのです。男女の駆け引きのように…やられました。この余韻をひきまくるラストにもうなりました。えぇ、どうなるの(泣)?私個人的には…彼は一生「彼のまま」だと思います…。

「駅で待つ人」
何であんなことをしたのかって?僕はただ見知らぬ駅に立っていただけですよ…。

がらっと変わって、これは主人公の一人語りで話しが進んで行きます。「あんなこと」が何なのか…それは最後の最後に明らかになります。びっくりしました。そして、ちょっとこわくなりました。

「とっさの場合」
大切な大切な自分の息子。その息子が死ぬ夢を見て目覚めた私。そして今日も彼女が私のところにやってくる…。

「強迫神経症」がテーマです。真面目で頑張る人ほどかかりやすいというあれですね。私はたぶんそういうタイプではないのですが、でもこの主人公の「私」の語り口がリアルで、体験したこともないのに我が事のように心がざわざわしました…。このラストには、なんとなく救われた気がします。

「マリッジブルー、マリングレー」
結婚を目前にし、婚約者とともに彼女の実家のある土地を訪れた昌樹。初めてみるはずのその景色に、なぜか見覚えがあることに気付いた彼は…。

なんというかもうタイトルからして上手いですが。こちらはまたがらっと意匠を変えて、ミステリィタッチです。記憶のない二日間、自分はいったいどこで何をしていたのか…。そして解決したかと思いきや、のこのラスト。ぞくっとするなんてものじゃぁ…。ひー。

「無言電話の向こう側」
いつでも自信満々の親友・樽見。彼と俺・須磨陸とが出会い、そして親しくなったきっかけは…。

いいですー。すごくいいですー。ラストにこの短編が来て、なんかもう気分は最高、ありがとう、という感じです。(頭悪そうですいません)。「思い知らせてやる。おまえが誰も頼ろうとしなくても、友人とは、勝手におせっかいをする存在なのだと」。泣けてしかたありませんでした。いいです。…ほんとうに!
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