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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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このベッドのうえ [野中柊]
4087748464このベッドのうえ
野中 柊
集英社 2007-02

波乱の予感をふくんだ風が、恋に酔った心を撫でていく…。甘くて苦く、晴れやかでいて後ろめたい、嬉しいようで怖くもある…恋がもたらすあらゆる感情をつぶさに描いた8つの物語。

「真夜中にそっと」「余音」「さざなみ」「このベッドのうえ」「マリーゴールド」「七面鳥を焼いて」「なんでもない感情」「春の嵐」が収録された短編集です。

案外さらりと読めて、なかなか好きな感じの物語たちでした。あっという間に読み終わりました。誰かを好きになって、好きでいる間の、ごく普通の気持ち。平穏なようでいて、でもそれだけではない、妙に不確かなあの気持ち。ドラマチックな出来事は特に起こりません。それだけに強い印象を残す!ということこそないですけれど、読み終えると目の前からすっと消えていくような、手のひらの上に落ちた雪がそのまま消えてしまうような、その感触は心地よいです。

ここに登場する人はみな、恋愛でそう悲しんだり苦労しているわけではなく、むしろ傍目にはどちらかというと幸せな部類に分類される人だちですが、でもそれだけじゃなくて…穏やかな日常の底に、どこかちょっとしんみりとした寂しさが漂っているような気がするのはなぜでしょうか。でも、そういうところも好きです。大好き!と声を大にしていうような気持ちとはちょっと違うけれど、好きです。

そしてこの短編たちは連作というわけではないのですが、この一冊を読むうちに、早春から春、夏、そしてぐるっと巡ってまた春へと、季節が移っていきます。そのあたりの描写なんかもとても鮮やかで、今は春だけれど、夏の日差しのまぶしさも、冬の冷たい空気の匂いも、今のことのように感じられる一冊でした。

あとがきにも書かれていますが、この物語の中には共通して「アルコールを口にする」シーンが登場します。私はそんなに飲めるほうではないけれども、こんな風にお酒を飲んでみたいな、とふと思ったりしました。そしてお酒に限らず、出てくる食べ物がみんなとってもおいしそうで、なんかいいなと思いました。誰かを好でいる気持ち、その幸せと、ご飯がお酒がおいしい気持ちは、そういえばちょっと似てるかな…。

個人的には「マリーゴールド」と「なんでもない感情」がお気に入りでした。
| な行(野中柊) | comments(4) | trackbacks(4) |
祝福 [野中柊]
404873721X祝福
野中 柊
角川書店 2006-09-26

「しゃぼん」「セカンドハウス」「銀の糸」「遊園地」「メトロノーム」「祝福」の六つの恋愛小説が収録されています。で、私はこれを書いている時点でもうそれぞれの内容をあまり覚えていないわけなのですが…(汗)。

ということからもわかるように(?)、私としては、うーん、まぁ、ごく普通のさらりと読める恋愛小説たちでした。可もなく不可もなくという感じでしょうか…。まぁまぁいいんだけど、ちょっといやなところもあって、手放しでは誉められないのだけれど、でもまぁいいか…という、私の中では非常に「野中さんらしい」お話たちでした。

あ、でも心がすさんでるときは「ケッ」って思うことが多いと思うので、あまりオススメしません(笑)。ちなみに、一番「ケッ」と思ってしまったのが(育ち悪し)「銀の糸」で(すいません、勝手にしてくれと思ってしまいました)、一番好きかもと思ったのが、うーん、うーん、強いて言えば「祝福」(こんな夜のピクニック、なんかいいです)か、「遊園地」(なんだかこれだけ異色?で印象が強かったという意味で)かなぁ…。

しかしこの人の書くものにはいい意味で「やらしさ」が全然ないですね。ナゼなのだろう…。何を書いてもやらしいような気がしてしまう作家さんもいるというのに(笑)。

そしてまた装幀が…うっとり。またまた松尾たいこさんのイラスト。いいなぁ。野中さんの本はいつもすてきで…。
| な行(野中柊) | comments(8) | trackbacks(5) |
きみの歌が聞きたい [野中柊]
4048736884きみの歌が聞きたい
野中 柊
角川書店 2006-04-22

美和と絵梨は三十年来の幼なじみ。「クレソプレーズ」という天然石のアクセサリー・ブランドを立ち上げた二人と、そんな二人の元に転がり込んだ少年・ミチル。三人の関係の行方は…。

とても静かな、静かな物語でした。三十代の美和と絵梨と、十代のミチル。「月の石」「アクアマリン」「赤瑪瑙」「クレソプレーズ」「真珠」という章立てになっているのですが、それぞれの章ごと語り手が変わります。でも主人公は…やっぱり美和なのかな。恋愛小説だけど…幸せとか希望だとかそういう面じゃなくて、側面に必ずある悲しみとか醜さとか、そういうものをテーマにしているのかな…と思いました。

ほんとうに、読んでいてとても静かなのです。深い水の底にいるような…そんな静かな感じ。三人が、それぞれに抱える心の空洞のようなもの、絶望や、孤独や、そんなものがそう感じさせるのかな。三人ともちょっと現実感が薄くて、はかない感じがするからかもしれません。

今まで読んできた野中さんの作品より、ぐっと大人になった感じです。その差は段違いかも。テーマも、そして文章も。難癖をつけたくなる部分が、正直ないわけではないですが…でもなかなかよかったなと思います。うん。よかったです。

「極端に言えば、人間には理性や知恵があるんだから、わざわざ道を誤るようなことをしなくてもいいのではないかと。でも、昨年『あなたのそばで』を書いたころから“恋愛小説”というものに正面から向き合うようになり、こと恋愛においては、ハッピーエンディングや正しいという枠組みからはみ出してしまうもののほうがむしろ豊かな場合もあるということを痛感したんですね。自分できちんと道を歩もうと思っていてもなかなかそうはいかないのが人生というものですけれども、恋愛においてはなおさらシンプルに幸せな1対1の関係になることはほとんど皆無です。たとえ三角関係でなくても、知らず知らずのうちにでも誰かをものすごく傷つけてしまうことのほうが多い。どんな恋愛もそういう可能性をはらんでいるものだと思うのです。でも、誰かを傷つけても、最後の最後ではきっと美しい身の処し方はあるはずだと私は思っていて、だから本書ではそれを大切に書きたかったんですね」
野中さんのインタビューの言葉です。最後の最後の、美しい身の施し方。このラストで、美和がくだした結論が、きっとそれだったのだと思います。こんなふうに、私も強くなりたい。私も、考えてみたいと思いました。
| な行(野中柊) | comments(11) | trackbacks(4) |
あなたのそばで [野中柊]
4163242600あなたのそばで
野中 柊
文藝春秋 2005-09-08

様々な恋の模様を描いた連作短編集です。

父親より年上の三十六歳の男性と結婚した、十六歳の女の子・菜名の物語
「オニオングラタンスープ」。自分の通う高校の教師・雪絵に恋する生徒会長の男の子の物語「光」。バーテンダーとして店を切り盛りする瞳子の物語「イノセンス」。大学の同級生、今は兄の妻になった女性・衿子に思いを寄せる勇輔の物語「片恋」。夫・俊と共同でデザインオフィスを営む恭子の物語「運命の人」。大好きな大好きな女の子・美也とつきあっている聡の物語「さくら咲く」。

一番最初の「オニオングラタンスープ」や、その次の「光」のなんとも甘…い感じ(主人公が高校生だから??)が、以前読んだ『ひな菊とペーパーミント』を彷彿とさせ、正直ひきぎみだったのですが、そこからつながる他の話をずっと読んでいって、読み終わった頃にはなんだか好きな感じかも…という結論になりました。最初に「ん?」って思っちゃうとそれを最後までひきずっちゃうことが多い私なのですが、これはちょっと意外でした。(うれしいことですが!)

大人から子どもまで、いろいろな人々のいろいろな、そして様々な季節の恋の形。一冊でこれだけ味わえるというのはなかなかステキな体験です。

特にラストの「さくら咲く」がとってもよかったです。前のお話に出てきた人々も再び登場したりして、ぐるっと輪がつながった感じがして、なんだかうれしかったです。

それにしても装幀がすてき…。
| な行(野中柊) | comments(9) | trackbacks(7) |
ひな菊とペパーミント [野中柊]
4062129523ひな菊とペパーミント
野中 柊
講談社 2005-06-21

十三歳の結花は両親が離婚してパパと二人暮し。友達づきあいや、恋の話に忙しい中学二年生。そんな彼女にびっくりするような出来事が起こり…。

これはいわゆる「児童文学」なのでしょうか。なんか前半が特に、ちょっとレベルが低すぎないかな?!という感想を持ってしまいました。いくら「キュートな少女の世界」(←帯にそう書いてある)とはいえ、やりすぎというか、幼稚すぎるというか。それっぽくしようとして逆に不自然かなぁと。(えらそうにすいません…。)いや、私がもうイマドキの子についていけていないだけの可能性も大ですが!!

彼女自身も、彼女を取り巻く人々も、あんまり現実感がなくて、ちょっとおままごとみたいな世界。こんなにかわいいだけのもんじゃないだろう、十三歳なんて!とか、こんな親いないって!とか思ってしまいました。お話の展開もとてもありきたりというか、最後まで読んで「で、何?」みたいな。むしろこの先の物語を読みたかったかなぁ。

「初恋は、人生で一度だけの、たいせつな宝もの。」っていうのも帯に書いてあるんですけど、初恋…どれ?みたいな。あ、でも「どれ?」って思っちゃうような心の動きって、このくらいの歳の子ならではかもしれませんね。あの子にどきどき、この子にもどきどき、みたいな感じの淡い恋心。

主題は彼女の成長なのでしょうが、その成長のきっかけになるものに説得力がなかったのがちょっと残念。

でも「音符」のエピソードはちょっと好きでした。「ソ」は水色、わたしもそう思ってたなぁ。(「ソは青い空〜♪」のイメージかと思われます。)
あと最後のキスシーンもちょっと好き…。
| な行(野中柊) | comments(0) | trackbacks(1) |