手を替え品を替え、毎夜届けられる不審な電報、花見の場所取りを命じられた孤独な新入社員を襲う数々の理不尽な試練…。年齢不詳、神出鬼没、掴みどころのないほのぼの系奇人探偵、猫丸先輩の鋭い推理が冴える、連作短編集。
「天然脳内麻薬分泌患者」猫丸先輩が大活躍するシリーズの一冊。
「夜届く」「桜の森の七分咲きの下」「失踪当時の肉球は」「たわしと真夏とスパイ」「カラスの動物園」「クリスマスの猫丸」が収録されています。
ちなみにこれらのタイトルには元ネタがあって、
「夜届く」 → J・D・カー『夜歩く』
「桜の森の七分咲きの下」 → 坂口安吾『桜の森の満開の下』
「失踪当時の肉球は」 → ヒラリー・ウォー『失踪当時の服装は』
「たわしと真夏とスパイ」 → 天藤真『あたしと真夏とスパイ』
「カラスの動物園」 → テネシー・ウィリアムズ『ガラスの動物園』
「クリスマスの猫丸」 → R・D・ウィングフィールド『クリスマスのフロスト』
だそうですが、いずれも「超有名な作品」だそうですが、すいません、一作も知りません。かろうじて坂口安吾だけ名前は聞いたことがあったくらいで、「ガラスの動物園」にいたっては、景山民夫さんを連想する始末(それは「ガラスの遊園地」。おしい!)。不勉強というか、なんというか…。
ちなみに今回一番気に入ったのは「失踪当時の肉球は」です。主人公はいなくなったペットを探す探偵・郷原。彼最高です…!一人ハードボイルド、いいです。「猫ちゃん」最高です。またぜひ登場してほしい。すっかりファンになりました!!
ところで「クリスマスの猫丸」の中で八木沢さんが言っている「先輩と共に地方に出張に言って、エラい目に遭って来た」っていうのは、どれのことだろう…。過去にそんな事件が?忘れてる?読んでない?なんだろう。気になります…。
何はともあれ、事件をすっぱり「解決」するのではなく「推測」するというこのジャンルは…新しい…新しいわっ!負けたわっ!(何に?)と思いました。
「猫丸先輩シリーズ」読了分リスト
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日曜の夜は出たくない
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過ぎ行く風はみどり色
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幻獣遁走曲―猫丸先輩のアルバイト探偵ノート
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大密室(アンソロジー)
・猫丸先輩の推測
未読分リスト
・猫丸先輩の空論