桑潟幸一は田舎の短大の国文科の助教授。特に大した業績もなかった彼ですが、新しい文学事典の執筆にかかわったことから、とある無名の童話作家の未発表原稿の発見者になってほしいと編集者から頼み込まれます。軽い気持ちで引き受け、紹介の記事を寄稿した桑潟ですが、それをきっかけに思わぬ事件に巻き込まれることになり…。
うーわ、すごいおもしろかった!です。初めて読んだ奥泉さんの作品だったのですが、すごい。どのページを読んでもくまなくおもしろい。ミステリィの設定がなくても、それだけでも読めるんじゃないかってくらいにおもしろかったです。「桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活」、なんかもうコレだけでも…ククク。
桑潟幸一助教授の視点からの物語と、北川アキと諸橋倫敦という元夫婦の素人探偵コンビが推理をくりひろげる物語。この小説はこの二つの物語がからみあう形で進んでいきます。
事件はややこしく、読めば読むほど謎は深まり、さらに「桑潟さん…もしかして時空を超えてる?」というような展開にもなり(SF?)、挙句のはてには「アトランティス」とかでてきちゃうし(オカルト??)、いったいぜんたいこの小説は何??とクラクラします。とにかくすごい厚さの本なんですけど、でもこの「とらえどころのなさ」にとらえられ、まったく飽きずに最後まで読みました。これが書き下ろしってところが…さらにすごいと思います。
ちなみに…告白します。「おくいずみひかる」さん、「おくせんこう」さんだと思っていました。(ナニ人だ!)すいませんでした…。