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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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学園のパーシモン [井上荒野]
4163252703学園のパーシモン
井上 荒野
文藝春秋 2007-01

裕福な家庭の子弟ばかりが通うT学園。カリスマ的人気を集める学園長の死期が囁かれだした頃、2通の手紙が2人の女生徒の靴箱に届く。赤い封筒――オレンジがかったパーシモン・レッド。学園には赤い手紙が届くと薔薇色の生活が待っているという伝説が実(まこと)しやかに言い習わされていた…。

うーん、これはまたなんと感想を書いていいのやら…。

語り手は四人います。学園のアイドル的美少女勝堂真衣、絵がうまいことを妬まれていじめられている迫木綿子、転校生の岩崎恭、そして美術教師の磯貝務。彼ら四人が順番に語っていくわけなのですが…。私ってこんな高校生じゃまったくなかったからかなぁ…なんか、よくわかりませんでした。へぇ、はぁ、そう、まぁ大変、みたいなちょっと他人事みたいな感じで…ごめんなさい。ただ読んでてつまらないわけじゃなくて、読んでる間はどんどん先へ読んでいけるんですけど、読み終わって、何だったんだろう?って思うと、ほんとに何だったのかなぁという。

つい、こういうのを書かせたら天下一品の恩田さんのことを思い出してしまったりしました。でも、なんか、こう、あれとはかもし出す雰囲気がそもそも違うんですよねぇ…。

表紙と挿画がすごく好きです。
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不恰好な朝の馬 [井上荒野]
4062134942不恰好な朝の馬
井上 荒野
講談社 2006-10-31

夫の恋をもう許さないことに決めた妻。その夫と恋人の奇妙な旅。教え子との関係に溺れる教師。その教師の妻のあたらしい習慣。決して帰ってこない男を待つ女。その女を忘れられない男。その女を「待たせる」原因を作った女。交わり、裏切り合ういくつもの恋と運命を描く、連作小説集。

「不恰好な朝の馬」「クリームソーダ」「額縁の犬」「鹿田温泉」「スケッチ」「虫」「初夏のペリメニ」が収録されています。それぞれの短編で主役となる人物が違うのですが、彼らは無関係なわけではなく…という連作短編。タイトルが印象的だったので読んでみました。

すーっと読んで、あまり後を引かない感じの物語たちでした。けっこうぐちゃぐちゃした人間関係(個々の登場人物たちは気づいていないにせよ)なのですが、そういう雰囲気は感じさせず、むしろもっとどよーんと温度低めというか、テンション低めというか。全体的にいうと、これってめでたしめでたしなのかなぁと思いつつ、でもなんとなく釈然としない感じがあったりもし…。いいんだろうか、いや、いいのか。なんか読むと寂しくなるばっかりです。まぁ、読み終わってどうこう思うというようなタイプの本じゃなくて、読んでる間のあの感覚を味わうための本なんだろうなぁ。

どうでもいいですけど、ロクな男が出てきません。ここに出てくるような男なんて大嫌いだ。「おまえらなんてみんな死ね((C)三浦しをん)」と思いました。まる。
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もう切るわ [井上荒野]
4770410557もう切るわ
井上 荒野
恒文社21 2001-10

一人の男と、二人の女。女の一人は男の妻であり、もう一人は愛人。ある日男は病におかされ、死期を宣告される。三人の関係は…。

読み始めて最初のうちは、二人の女が自分のことを交互に語っているのだということに気付かず、大変わけがわからなくなりました。時系列すら混乱するしまつで、え?なにかひっかけ?!とか思っちゃいました。(なんのひっかけでもありませんでした)。わかってからもなんだかもやもやした気持ちで読んで、なんだよーと思っていたのですが、読み終えてあとがきを読んだとき、自分が井上さんの仕組んだ通りにこの物語を読んでいたんだなぁということに気付きました。やられました…。

お話としてはそんなに好きな感じではないのですが、「やられた」感はたっぷりの本でした。

あとタイトルは印象的なんですけど、文中のその部分があんまり印象に残らなかったかな…とか思いました。ちょっと残念。

ただひとつ、「愛人」であった彼女の、こんな告白が心に残りました。

そうしてあたしが歳さんを覚え、歳さんがあたしを覚えていく過程を辿ることもできるけれど、でも、それがどこへ向かっているなんて考えたことはなかった。あたしは混乱する。歳さんがあたしを好きでいてくれる「今」だけが、あたしには重要だったのだ。それだけがいつまでも続けばいいと思っていた。1に何回1をかけてもずっと1のままのように。そんなふうに隔離された時間の中に生きてじゅうぶん幸福だったのに、ふいに1が2になって、2が3になる時間が侵食してきたのだ。そして3の次は4、そうやってあたしを連れて行くにもかかわらず、その時間には未来がない。
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しかたのない水 [井上荒野]
4104731013しかたのない水
井上 荒野
新潮社 2005-01-26

雨の日に読んだのですが…なんだかぴったりの本でした。読んで元気が出るとか、励まされるとか、そういうたぐいの本ではありません。むしろ読むと気だるい気持ちに…。熱くも寒くもなく、ぬるい感じ。「人生」とか「生きる」とか、そういう大きなことの重さでなく、「日常生活」の重さというもの、そして本当はそっちのほうがよっぽど重いんじゃないか…と、その重みをどっしり感じました。

フィットネスクラブに通う人、そこで働く人というリンクでの連作短編。設定は全然奇抜でもなんでもないですが、その人間模様の生々しさたるや、恐ろしいものがあります。主人公たちの人生も様々。その書き分けもみごとでした。個人的には後半に収録されていた短編たちのほうが意外性があって好きでした。「クラプトンと骨壷」の衝撃とか…。

ちなみに、全然関係ないですが、私の中で「進藤コーチ」のイメージは小日向文世さんです。
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ヌルイコイ [井上荒野]
4334739504ヌルイコイ
井上 荒野
光文社 2005-10-12

夫とのすれ違いの生活。妻子ある冷たい先輩童話作家との不倫。マンションの給湯設備が壊れ、銭湯に通うようになったなつ恵は、そこで謎めいた青年と出会います。彼を「鳩」と名づけたなつ恵。死に至る病の宣告を受けた彼女は…。

まぁ…なんというか…ふぅーむ。私にはちょっと微妙な感じでした。なんか、いくらなんでもこんなにダラダラされてもねぇ。夫とすれ違いとかいうからひどい夫なのかと思ったら、全然ひどくないし…むしろ自分のせいじゃん…。登場人物の誰一人として理解できず、わけがわからず、好きになれないパターンでした。でもこの居心地の悪さというか不安感というか、そういうのが味なのかな…。

しかしこの本、解説がよく書けていて、いわく「主人公を読者として「眺める」のでなく、自分を同化させ、物語に身を委ねて読んでみて欲しい。共感できる、できないという見方ではなく、立ち位置をちょっとずらして主人公の人生を歩いてみて欲しい」と。なるほど。まさに「共感できないわ」とか思っていた私。そういう読み方をすればよかったのね…と思いましたが、アトノマツリというか、もう一度読む気にはちょっと…(汗)。
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