吹けば飛ぶよな二万五千石の小藩風見藩に五十万石の姫君が異例のお輿入れ。そのうえこの姫君、美貌ながら生来のいたずら好きときています。退屈しのぎに屋敷を抜け出し、江戸城下を探検、藩の六不思議の謎解きに血道を上げる日々。ところが、田沼意次も絡んだ陰謀まで探り当てたから、さあ大変。幕府隠密、くノ一、長屋の町人も巻き込み、姫の貞操と藩の命運を賭けた大勝負の始まり始まり。
お正月の休みとかにのんびり読むのを楽しみにしていたのに…待ちきれずに読んでしまいました。いいんだ、お正月休みあるかどうかまだわかんないし…!
というわけで、面白いです!あぁ!面白い!楽しすぎる!
もうとにかくこのお姫様「めだか姫」がかわいいです。最高です。憎めなすぎです。おきゃんっていうのかしら、こういう子…。とにかくいい!めだか姫のお父上もなかなか…。というか、とにかく登場人物たちの生き生きとしたキャラがいちいちいいです。
これ一作でもものすごく面白いんですけど、ちゃんと前作である『
風流冷飯伝』からのつながりもばっちりあります。何よりまずこのお姫様「めだか姫」がお嫁に行った先が風見藩だし、くノ一のお仙は一八の妹だし、ちょっと抜けてる幕府隠密の倉知も登場してるし(前作読んだ限りではあの脇役中の脇役の彼がまさかこんな風に出てくるとは思わなかったですけど!)、将棋の話もちゃんと出てくるし、そもそもこの本の中で『風流冷飯伝』の宣伝が立派にされてるし(笑)。というわけで、前作を読んでいるとよりいっそう楽しめます。
今回は姫が主役だし、前作のような「男性サービス」チックなお色気部分はなくなったかなぁと思っていたら、やっぱりちゃんとあるのでした…。そういう味?!なんかこう、「ヤングジャンプ」とか「スペリオール」とか「スピリッツ」とか、そういうのを読んでる気分に(偏見?)なりますねぇ。いいんですけど。それでも面白いから!!
そしてこの作者さんのお名前「米村圭伍」さんって、佳作に入選したことが五回あるからそれをもじって、佳作の「佳」から人偏を「五」に移して筆名にしたんだそうです。うーん、名前までおちゃめさん。
ちなみに『
風流冷飯伝』と、この『退屈姫君伝』と、まだ未読なのですが『面影小町伝』を含めた三作で、大江戸三部作というのだそうです。で、この『退屈姫君伝』はさらに続編として『
退屈姫君 海を渡る』『
退屈姫君 恋に燃える』が文庫書下ろしで出ているわけで。どうしよう、手元にないけど続きが読みたい…。今日は休日。布団干しちゃったけど…駅前の本屋なら歩いて10分…うーむ…買いに行っちゃおうかな…っ。