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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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赤朽葉家の伝説 [桜庭一樹]
4488023932赤朽葉家の伝説
桜庭 一樹
東京創元社 2006-12-28

「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。

ものすごく読み応えのある一冊でした。上下二段組みで、これだけの長さがあるのに、途中で全然だれないで最後まで一気に読めてしまいました。ほんとに、細部まで手抜きがない感じ。だって私この本で、この物語で…途中で声を出して笑ったりもしたんですよ!(ちなみにどこで笑ったかは、ぜひ読んだ方と語り合いたい…)。

三世代、一人一人の女性の生き様を描きながら、同時に「製鉄」という産業の衰退と、世の中の流れまでが同時に浮き上がってくる、これは、すごい、すごい!と思いながら読みました。細かいところをあれこれ「ここが好き」だの「あれがよい」だの言っていたらきりがないってくらいの本です。三世代の女、それぞれのまったく違った生き方に、それぞれ感じるところがあって、その感じるところもそれぞれに全然違くて、うまく言葉にできません。「渾身の」「描き上げた」、そういう言葉が、ぴったりの一冊でした。

地球が丸いなら、上へ、上へ、上へと目指しても、どんなに上っても、結局は元のところに戻ってきてしまうんじゃないの?―初めて「地球」というものを知ったときに、おどろきながら万葉の考えたことが、ものすごく鋭くて、なんだかどきっとしました。たった三世代、それだけで、こんなにも世界が変わる。絶対だったものが、揺らぐ。目指していたはずの頂上が、いつの間にか一番底辺になっている。ここに描かれている活気あふれる世界が、それはほんの数十年前の世界のはずなのに、今の私たちにはもう遠い歴史の中の出来事のようで。確かなものなどなにもない、その儚さと、歴史の波に翻弄されながらも自分の「生」を生きていこうとする主人公たちの姿に、いろんな意味で心打たれる読書でした。
| さ行(桜庭一樹) | comments(7) | trackbacks(10) |
ブルースカイ [桜庭一樹]
4150308209ブルースカイ
桜庭 一樹
早川書房 2005-10-07

西暦1627年、ドイツ―魔女狩りの苛烈な嵐が吹き荒れるレンスの町で、10歳の少女マリーは“アンチ・キリスト”に出会った…。西暦2022年、シンガポール―3Dアーティストの青年ディッキーは、ゴシックワールドの昏い眠りの中、絶滅したはずの“少女”というクリーチャーに出会う…。そして、西暦2007年4月の日本。死にたくなるほどきれいな空の下で…。3つの箱庭と3つの青空、そして少女についての物語。

うーん、最後まで読んだら印象がよくわからなくなってしまいましたが…。

第一部、第二部、第三部、という風になっていて、それぞれに話が流れていくわけなのですが、第一部の圧倒的な世界観にくらべて、第二部はあれ?という感じがしてしまい、第三部にいたっては「ここがメインだろうにこれだけ?!」という感が…。いや、第三部はその性質上これでいいのかもしれませんが、だとしても第一部と第二部の差がありすぎないかなぁ…なんて。どうなんでしょうか、こういうものなんでしょうか。あんまり普段読んでいるようなジャンルの本じゃなかったので、なんとも…むにゃむにゃ。

とりあえず、第一部。ここは私にとってはすごく面白かったです。西暦1627年のドイツという舞台も、そこで繰り広げられる人間の歴史も、そこで何が起こっているのかわからないどきどき感も、すごく面白かった。

で、話が急展開して、第二部。今度の舞台は西暦2022年のシンガポール。この世界が…なんだかうまく想像できなかったのです。だって2022年てわりともうすぐだし…あんまり突飛な想像ができなくて、でもこう、確実に「今」とは違う世界なんですよね。そこの折り合いが自分の中で上手くつかず、ちょっとつまずきました。

そして第三部。西暦2007年4月の日本。ここでお話にオチ…ということなんでしょうけど、あっさりと終わってしまって、ちょっと自分が取り残されてしまった感じが。でもこの本の肝心どころはここなんだろうな…。この、声。少女の、声。

って、なんかあんまり誉めてませんけど、読んでいる間は読書としては楽しかったです。一気に読みましたし。でも、読んで私に分かったのかな?って言われると、えーと、何を分かるべきだったのかもよく分かってないかも…みたいなところがちょっとあるわけで。「少女についての物語」…もう少女じゃないからかしら…。
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少女七竈と七人の可愛そうな大人 [桜庭一樹]
4048737007少女七竈と七人の可愛そうな大人
桜庭 一樹
角川書店 2006-07

「いんらん」な母から生まれた、美しい少女・川村七竈。親友の雪風との静かで完成された世界で、鉄道を愛し、孤高に生きる七竈だが、その恐ろしいまでの美貌を当然周囲は放っておかず…。

この本はなんというか、実は私にとっては「この装幀が全て!」と言っても過言ではない(いや過言か?)本でした。読んでいても読んでいてもこの絵が浮かぶ…読書全体を支配されてしまいました。すごいなぁ。

いや、もちろん文章もすごく好きです。北海道の小さな町という舞台が、すごくこの「閉鎖的な世界」にマッチしていたし、この古風な語り口調のせいで物語全体に漂う雰囲気とかもすごく。七回燃やしてやっと燃え尽きる七竈のエピソードとか、そういうのも好き。(個人的には途中で視点が犬になるのがまたなんとも…!いいです。)

こういうラストなのか、ふぅむ(あまりにも想像通りだったので)、とか、結局のところ「七人の可愛そうな大人」は誰と誰のことだったのかな…とか、ちょっと思ったりもしたのですが、でも好きな本でした。ちなみに私はこの本を「恋愛小説」として読むのなら、二人の美少年・美少女の切ない初恋物語ではなく、誰よりも、七竈の母の恋の物語として読みたいと思います。っていうか、そう読みました。作者さんの意図とは違うのかもしれないですけれど…。

それにしても、このくらいの歳のころって、こんなに不自由でしたっけ、親とのしがらみってこんなに面倒でしたっけ(すっかり忘れている情緒のない私)。切なさのあまり、もういいからいっちゃえ!いけいけ!と、ハッパをかけたくなり、すっかり無粋な女に成り果てている自分をちょっと感じました。わかってるんです、それじゃこの美しい悲しい「世界」がダイナシだってこと。でもこう、つい…。基本的に性格がこういう張り詰めたストイックな世界にあわないんだろうなと思います。シーンとした静かなところにいると大声を出したくなるタイプの私。でもあわないからこそあこがれるのでしょうか…(それってちょっとさみしい)。

そして読んだあとは自分もなんとなく寡黙にして孤高の美少女になったような気持ちが…いや、気持ちだけですけど、無理ですけど。
| さ行(桜庭一樹) | comments(10) | trackbacks(6) |
少女には向かない職業 [桜庭一樹]
4488017193少女には向かない職業
桜庭 一樹
東京創元社 2005-09-22

大西葵、十三歳。中学二年生の一年間で、私は人を二人殺した―。

「ミステリ・フロンティア」第19回配本です。

面白かった!一気読みしました。でもなんとなく、なんとなくですけれどこのラストには若干不満が…。ここまできたら、行ってしまえばよかったのに!(どこへ?)と。

この本が初桜庭さんです。ほんとにすごく読みやすかったし、親と子の関係、友達との関係、異性との関係みたいないろんな細かいエピソードとか、章タイトルの付け方とかも、なんかこう、よかったりして、好きでした。「ミステリ・フロンティア」の一冊ですけど、私は全然ミステリィという意識なしで読んで、それでおもしろかったです。っていうか、最初の一行でぐっとつかまれて、そんなこと意識することすら忘れてしまいましたよ。ミステリィというよりは、なんというかもっと…、なんでしょうね。

あぁ、でもおもしろかったのです。それは確か!もっと他も読んでみたいんですけど、ライトノベルだともうちょっと感じが違うのかな…。

そして作中にでてきた「原始人の話」。私も、なんか、きっと一生忘れないと思います。
| さ行(桜庭一樹) | comments(9) | trackbacks(6) |