| モドキ ほしお さなえ 角川書店 2006-04 |
楓ケ丘ニュータウン。都心から三十分のこの町で暮らす主婦、フリーター、学生。そしてこの町にある大学に勤める男。彼らに起こった出来事とは…。
これはまた不思議な…ファンタジー?SF?ホラー?ジャンルがよくわかりません。読み始めたときの感触と、読み終わったときの感触が全然違いました。いい意味で、裏切られました。びっくりした…。あらすじなんか、書けません。何をどう、書いていいものやら。でもすごく読み応えのある読書でした。
唐突に始まるこの物語。最初は手探りで読み始めました。語り手がころころ変わっているのだということに気付くのにまずしばらくかかり、そしてそれがそれぞれ誰なのかということを飲み込めるようになるまで、何度も行きつ戻りつしました。そして読み終わって…もう一度冒頭からちらっとあらためて読んでみたら、なんだかくらっとしました。何が、いつなのか、どれが、いつだったのか。時系列すらわからなくなりました。煙にまかれたような…何かの渦に巻き込まれてぐるぐる回っているような…、すごく、心もとない、そんな気持ちになりました。
そして非常にくだらないことですが、一つミスを発見…「桐林」さんが途中で一度だけ「桐原」さんになってます(P129)。櫟原教授と混ざったのかしら…。