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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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失はれる物語 [乙一]
4048735004失はれる物語
乙一
角川書店 2003-12

過去に「ライトノベル」として出版された短編小説に、書き下ろし一つを加えた、六つの短編からなる短編集です。

この物語の中で、繰り返して語られる寂しさのようなもの。疎外感、違和感、喪失感、そして絶対的な孤独。他者からみたら「甘え」とか「被害妄想」とか「自意識過剰」と思われてしまうような感情。でも、当人にとってはとてつもなく重い、そんな感情。苦しいなぁ…。読んでいて、とても苦しかったです。自分が結局「他者」であることも含めて、苦しかったです。まさに「切なさ全開」。でも、そのままでもいいと思うんだけどなぁ…。そういう自分を許してあげれば楽になるのになぁ…悪いことじゃないし、とか、テーマと違うことを思ったりもしちゃいました。(だいなし?)

とにかく全編、心が痛い(そして、物理的に体も痛い)お話たちでした。

乙一さんのすごいところは「物語の発想力」だと思います。とにかく、着想がすごい。ただ、その「物語」を「書ききれているか」というと、あとちょっと…という感じがしてしまうのです。(えらそうにすいません…。)「この人は苦しんでいるんだな」「つらいんだな」というのは読んでいてわかります、でも「解る」けれど伝わってこないというか。頭で理解はできるけれど、感覚に訴えてくる部分がないというか、実感できないというか。(ほんとすいません。)まぁ読者を一歩物語の外に置くために、あえてそういう風に書いているのかなぁとも思ったり。(ライトノベル特有のあの「挿絵」がないからかも、とも思ったり。あぁ、それ私の場合は絶対ある…。そういう意味では元のライトノベルの方も読みたいかも。)でもこれから先が楽しみです。きっとどんどんうまくなると思います。期待してます…ってあれ?これもしかして初期の短編集ですか?新作を読まねば!

ちなみに、一番好きだったのは「しあわせは子猫のカタチ」です。白い子ネコ…かわいい…。でも「殺人」のエピソード、あれは…必要?そこが若干中途半端かなと。でもこの人の頭の中には壮大な物語が詰まっていて、それを作品でちょろっと見せてくれていて、そうするとこんな風な見え方になっちゃうのかもしれないなぁ、と好意的に解釈。いや、全部書いてくれて全然いいんですけどね。

一番印象に残ったのはタイトルにもなっている「失はれる物語」。私だったら…想像したくないです。ぶるぶる。止め。このタイトルが「失はれた」じゃなくて「失はれる」と現在形であるところがすでに怖いです。

そして「マリアの指」。血から湯気!?ひぇぇぇ…。この作品だけ他の短編とはちょっと異色な感じでした。ちょっとミステリー…?でも一番のミステリーはお姉さんの持っていた「しゃもじ」が何故か途中で「おたま」に変わっていたこと…。

そして、装幀が凝った本でもあります。装幀も、本の中表紙も、全体も含めてすごい凝ってます。気合いが感じられました。あの楽譜は…何の曲でしょう。ほんとに弾けるのかな??
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コメント
伝わってこないという部分、読みが深いですねー。私は、淡々とした書き方が持ち味と思ってしまっていました(あとは読者が補足する?)。
「Colling You」「しあわせは子猫のかたち」の次にある三部作目の「暗いところで待ち合わせ」や「しにぞこないの青」などはまだ未読なので楽しみです(あ、「さみしさの周波数」の一部も)。
「失はれる物語」の「マリアの指」を確認(210ページ)。そういえば、初読の時に違和感を感じた憶えが。やっぱりいつのまにか「しゃもじ」と「おたま」が変わってます!取り替えている描写もないしすごいミステリー(笑)。乙一さんも読者にツッコんでほしかったのでしょうか(笑)?。たぶん乙一さん何かの用でこの間で席を外したのでしょうね。校正(写植?)の人、しっかり!。
「失はれる物語」は「CALLING YOU」と「傷」を収録し、レビュー本文で「失はれる物語」について言及もしているのでトラバさせてください(ああ、またオキテ破りをしてしまうことになるのかも・・・)。
| 藍色 | 2006/05/10 11:58 AM |
とくにたいしたオキテなぞないのでお気になさらず!(笑)

しゃもじとおたまの謎…。誰か解いてください(笑)。
| chiekoa | 2006/05/10 6:28 PM |
こんばんは、chiekoaさん!
先程、大変間違った情報を自分の記事に書いてしまったので、
急いで、訂正のお知らせかねて、また再度やって来ました。
沢村さん、やっぱり女性でした!!本当にすいません。
お騒がせしました。私が何か勘違いしたようです。

ところで、この作品、かなりインパクトがありました。
まだ乙一さんは、これと、「暗いところで待ちあわせ」の
2つしか読んでいないので、他も(黒っぽいのも)読んでみようと
思っています。

>「しゃもじ」が何故か途中で「おたま」に変わっていたこと
これ、全然気がついていませんでした!すごく細かい処まで
しっかり読まれていて、すごいですー。
| latifa | 2006/12/19 10:33 PM |
latifaさん、えーと、性格が細かいみたいで…(汗)。そんなとこ読んでる場合じゃないだろう!ってよく自分で自分に突っ込むんですけど。私は黒乙一が怖くてあまり手を出せていない人間です。うーむ…。だって具合悪くなったら困るし…(笑)。
| chiekoa | 2006/12/21 6:37 PM |
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きみにしか聞こえないCALLING YOU、乙一
イラスト:羽住都(はすみみやこ)。角川スニーカー文庫。Colling You、傷−KIZ/KIDS−、華歌を収録。「失はれる物語」も「GOTH」も「ZOO」も読んでいますが、ライトノ
| 粋な提案 | 2006/05/10 12:00 PM |
失はれる物語、暗いところで待ち合わせ (乙一)感想
孤独な若者を描くのが非常に上手い乙一さんの「暗いところで待ち合わせ」を読み、面白かったので、次に「失はれる物語」を読みました。「失はれる物語」に含まれている短編、「Calling You 」と「しあわせは子猫のかたち」が、後の「暗いところで待ち会わせ」に繋がって
| ポコアポコヤ | 2006/12/19 10:34 PM |
失はれる物語 - 乙 一
乙一著「失はれる物語」。なんというか切なく苦しくなるのです。
| 脳内TraP | 2007/01/02 12:41 AM |
失はれる物語 乙一
失はれる物語 この本は「コンパスローズ」の雪芽さん、「まんだの読書日記」のまんださん、「活字中毒」のみわさんにオススメいただきました。ありがとうございました。 ■やぎっちょ書評 大きな印象を感じたのは「この本なんだか江戸川乱歩みたい」ということ。
| "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!! | 2007/01/04 8:14 PM |
失はれる物語
久々にショックを受けました。 「失はれる物語」これは凄い。小説はこういうものだと感動しました。 たった一本の腕を題材に、これまで話を膨らませられる作者の腕に驚きました。 稀に見る才能というんでしょうね。 胸が苦しくなる程感動しました。毎月20冊以
| 本を読もう | 2007/05/08 8:52 AM |
乙一の作品を
小説「失はれる物語」を読みました。 著者は 乙一 ミステリ系 短編6作品 どの作品も哀しさ、優しさが残りますね そこまで ミステリ ミステリしていなくて 嫌いじゃなかったです ちょっと不思議な世界観があって なかなか面白かった 読みやすさもあって 私的には
| 笑う学生の生活 | 2011/11/14 11:15 PM |