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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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天使の代理人 [山田宗樹]
4344006194天使の代理人
山田 宗樹
幻冬舎 2004-05

  「Yに いつか君が読んでくれることを願って」

そんな言葉が添えられたこの本のテーマは「妊娠中絶」です。暗いテーマです。重いテーマです。でも、逃げてはいけない、大切なテーマです。

そしてこの本は、中絶はいいとか悪いとか、そういうことを書いているのではありません。結論を出しているのではありません。小説という形をとって、様々な立場の人の思いや考え方、そして日本の現状を、私たちに示してくれています。ただ、示すだけです。何を肯定しているのでも否定しているのでもありません。どちらにも拠らず、結論に突っ走らないで、こういう書き方ができるなんて、すごい!と私は思いました。

望まれない命はありますか?
子供の命は誰のものですか?
中絶は殺人ではないですか?
登場人物たちは自分に、そして中絶をしようとする女性にこう問いかけ続けます。そして同時にその問いは、読んでいる私にも常にささやかれています。「あなたはどう思いますか?あなたならどうしますか?」と。

この物語の中には様々な女性が登場します。過去に自分の意思で中絶をした者、医療ミスで望んでいない中絶をさせられてしまった者、そしてこれから中絶をしようとする者。誰もが苦しんで苦しんで、悩んで悩んで悩んで、それでも自分なりに出した答えの中で精一杯生きています。私は妊娠も中絶もしたことないですが、読んでいて何度も涙が出そうになりました。

助産婦として何度も中絶手術に手を染め、その罪悪感から「一人でも多くの赤ちゃんを救おう」と実際に行動を起こした女性、桐山冬子の生き様には、ほんとうに心打たれました。自分を正当化することは決してせず、重い過去を背負いながらも、それを捨てるのではなく、ごまかすのでなく、その重さごと生きようとする姿には、ほんとうに頭が下がりました。

このお話は、うまくまとまりすぎているかもしれません。都合よく物事がはこびすぎているかもしれません。でも、そういう小説としての作りがどうこうではなくて(私は小説としても大変に好きですが…)、本の終わりに掲載されている「参考文献」の数を見たら、山田さんがどれだけ本気でこのテーマに取り組んだかがきっとわかると思います。私は、読んでよかったです。山田さんのこのメッセージを受け取ることができて、よかったです。私も逃げずに考えたい。そう思いました。
| や行(山田宗樹) | comments(2) | trackbacks(3) |
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コメント
タイトルを見て、瀬尾まいこチックなほのぼのしたお話を想像してしまったんだけれど
180度違う話でした。胸にずしんと響きました。
| ふらっと | 2005/11/28 5:49 PM |
瀬尾さんを想像していると…!えらいこっちゃですね!(笑)
対極でしたね…。でもいいですよね。ほんと響きました。
| chiekoa | 2005/11/29 12:18 PM |
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天使の代理人*山田宗樹
☆☆☆☆・  望まれない命はありますか?  子供の命は誰のものですか?  中絶は殺人ではないですか?  『嫌われ松子の一生』の著者が再び生命の尊さを描いた  深く胸に響
| +++ こんな一冊 +++ | 2005/11/28 5:50 PM |
天使の代理人
37 ★★★★☆ 【天使の代理人】 山田宗樹 著  幻冬舎 《中絶は殺人ではないですか?私にとっては衝撃的な話だ。》  望まれない命はありますか?  子供の命は誰のものですか?  中絶は殺人ではないですか?  【嫌われ松子の一生】を読んで、気になっ
| モンガの独り言 読書日記通信 | 2006/02/20 6:35 PM |
堕胎がテーマ「天使の代理人」
「天使の代理人」を読んだ。著者は「嫌われ松子の一生」で有名になった山田宗樹。  この小説のテーマは人工妊娠中絶。あまりに暗くて重い。内容を知らないで読み始めた読者はその暗さに引いてしまうだろう。私は人工妊娠中絶については否定的な考え方をしている。つい
| りゅうちゃんミストラル | 2006/07/22 1:15 PM |