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イッツ・オンリー・トーク [絲山秋子]
4163226303イッツ・オンリー・トーク
絲山 秋子
文藝春秋 2004-02-10

表題作の「イッツ・オンリー・トーク」と「第七障害」という二つの短編が収録されています。

「イッツ・オンリー・トーク」はデビュー作だったんですね。
主人公は蒲田で一人暮らしをしている女性、橘優子。躁鬱病持ちの彼女の日々をつづった物語です。なんだか予想と違ってびっくり!なんというか、大人味というか(笑)。帯に「夢で出会ったみたいな、妙に懐かしい人々の、東京・蒲田のひと夏、心に刻まれた物語」って書いてあったから、そういうノスタルジック系(?)を想像していたのです…が!違いました。いやぁ、びっくりしました。そう、うん、大人…。(ちょっとごまかし。)
そして、彼女の日常になじんできたところで、このラスト。取り残されてしまったような、置いてけぼりをくらったような、ぷっつり断ち切られてしまったような…。

物語の中に薬の名前とかがたくさん出てきて、そういう描写がなんだか妙にリアルで、『逃亡くそたわけ』もそうだったなぁなどと思い出し、いらん想像までしてしまいました。病気の人の気持ちが、きっと私には本当にわからないから、どう思っていいのかわからなくて、でも私がどう思ってもその人にはイヤなんだろうと思って、そしてそんなこと考えている自分は相手に対して優越感を持っているんじゃないかって思って、自己嫌悪でぐるぐるして辛くなります。どうしてあげたらいいんだろうって考えちゃって、この「してあげる」がすでにダメです。優劣なんて絶対ないし、対等でありたいのに、うまくできない。人間として修行が足らないですね…。

あれ、なんか本題からずれちゃいました。

ちなみに、主人公が「蒲田は小さい頃にスカートの生地を買いに来たっきりだ」というところで、「あぁ、ユザワヤね!」と、なんだかうれしくなりました。家庭科の材料買いに行ったなぁ、そういえば。

「第七障害」は、乗馬中の事故で愛馬を「殺し」てしまった女性の話。
読んでいて苦しかった…。そんなに心をぎゅうぎゅう締め付けないで!と思ってしまいました。動物は…やっぱりつらいです。でもこのラストに向かっていく感じは大好き。ぐんぐん光が差してくるみたいな。
登場人物もなんかいい感じで、(美緒ちゃん、最高!)、表題作よりこっちの方が断然好きだった私でした(笑)。

一番心に残ったのは、主人公の順子と、彼女に思いを寄せる(?)篤くんのドライブシーン。「これって誘拐になる?」とか「駆け落ち?」とか「心中?」とか、名前をつけたがる篤くんと、それに答えるクールな順子の会話。

「名前なんかつけなくていいの。物事に名前をつけるからすべての間違いがはじまるんです。」
「俺は嬉しくて名前が欲しいんだ」
うーん、男の人のこういうところが私は好きです!(笑)

そして、ちょっと思ったこと。絲山さんの書く物語には「音楽」がすごく自然に、でも重要なモチーフとして出てくるんだなぁと。具体的な歌手名と曲名。「イッツ・オンリー・トーク」にも「第七障害」にも、そう、『逃亡くそたわけ』にも登場する様々な「音楽」。その歌手も曲も知らなくても、なんだか「ほぉ」と思わせるというか。ステキな使い方だなと思いました。
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コメント
表題作でのクリムゾンの使われ方なんて「クリムゾンがわからん人はわからんでいいよ」というちょっと突き放した使われ方だったところがすごく好感持てました。

ちなみに、『この「してあげる」がすでにダメです』ということに気づいていればそれでいいのですよ、たぶん。ぼくはそう思ってます。

こちらからもTBさせていただきます。

| おおき | 2005/06/24 3:50 PM |
juneさんの「本のある生活」のところのおおきさんとjuneさんのコメント読んで、なんだかあらためていろんなこと思いました。あの「突き放した感じ」が、なるほど、深いですね。
| chiekoa | 2005/06/24 4:01 PM |
私もこれ、蒲田を舞台にしたノスタルジックな話かと思ってました。だから思っていもみなかった世界が展開されていてかなりびっくりしました。
そしてChiekoaさんと同じように、私も自己嫌悪を感じて辛くなりました。でも不思議と主人公の日常には、嫌悪感を感じなかったんですよね。こういう日常もあるんだとすんなり受け止めさせるのが、絲山さんのすごいところでしょうか。
| june | 2005/06/25 12:17 AM |
はてなのときのデザインをうまく引き継いでますねぇ。左右のメニューの配置が自分のところとちょっと似ているせいかすごく使いやすく感じます。TBもやりやすくなったし(笑
| ひねもじら 乃太朗 | 2005/06/25 12:05 PM |
juneさんのところの読んだとき、あぁ同じこと思ってるなぁと思いました!確かに私は基本的には「あぁいう」タイプの女性は苦手なはずなのに、読んでて全然そんなこと思わなかったです。おそるべし筆力!
しかし、あの帯は反則ですよねぇ(笑)。
| chiekoa | 2005/06/25 1:26 PM |
おぉ、ほんとだ!乃太朗さんのところとレイアウト似てる…というかいっしょじゃないですか!(笑)。
いろいろやってみて、左側に固定メニュー、右側に変動メニューを置くのがわかりやすいかなと思った結果こうなりました。意識してなかったですけど乃太朗さんのところが頭にあったのかも…。(スイマセン。)
そして「はてな」を愛していたのでこんなデザインになりました!環境が違うので結構苦労しましたですよ…。乃太朗さんに気づいていただけてうれしいです!
| chiekoa | 2005/06/25 1:32 PM |
音楽と車が文章の中に普通に出てきますよね。
糸山さんの音楽、私は聴いたことがないものばかりです。
| なな | 2005/08/10 10:26 PM |
ななさん、私もそうです〜。
わからない音楽ばかり。(知ってたのは「ピーズ」くらい。)
ジェネレーションギャップということでごまかしてます…。
(あれ?そんなはずは…?)
| chiekoa | 2005/08/10 11:54 PM |
初めまして、モンガと申します。

chiekoaさんのブログは、お気に入りにして拝見していましたが、今回リンクしました。挨拶ぬきですみません。
糸山さんの小説は不思議な魅力がありますね。糸山さんのHPを見ると憂鬱症の薬の効能が満載されています。ウーン、どんな人だろうか。

これからもよろしくお願いします。
| モンガ | 2005/09/29 12:33 AM |
モンガさん、はじめまして!
おぉ、光栄です!ありがとうございます!
こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。

絲山さんの小説の題材は、やっぱり実際のご本人と
深くリンクしているのでしょうか…。
魂をけずって書いているのですね。
| chiekoa | 2005/09/29 2:34 PM |
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