プロフィール
chiekoa

呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
カレンダー
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2018 >>
カテゴリー(作家さん別)
過去の読書日記
このサイト内を検索
OTHERS
  管理者ページ
  RSS1.0
  Atom0.3
<< アンハッピードッグズ [近藤史恵] | Top | 四季 秋 [森博嗣] >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - | - |
ツ、イ、ラ、ク [姫野カオルコ]
4048734938ツ、イ、ラ、ク
姫野 カオルコ
角川書店 2003-10

森本隼子、十四歳。地方の小さな町で、彼に出逢った。ただ、出逢っただけだった。雨の日の、小さな事件が起きるまでは。苦しかった。切なかった。ほんとうに、ほんとうに、愛していた―。姫野カオルコの新境地、渾身の思いを込めて恋の極みを描ききった長編小説。

物語の始まり、登場人物たちは小学校二年生です。読み始める前の頭の中に「これは恋愛小説」というのがあったので、面食らいました。あぁ、私は固定概念にとられられていた!なんだかわからないけれど「やられた!」と思いました。これはすごいかもという予感がしました。

そして、小学校から中学校へ、だんだんに歳を経て成長していく彼ら。それにつれ変化する、体、自我、環境。彼らをとりまくそのときどきの「世界」が、この物語ではものすごくリアルに描かれています。見事です。うわー、そうそう、「女の子」の世界ってこうだった…。私はわりとそういう集団には属さずに生きてきたタイプですが、それでもここで描かれている世界はものすごくわかりました。実感できました。大人になって「繕う」ことを知る前の、このくらいの小さな人間たちの、あの傲慢さ、残酷さも。

そういうところだけでもこの本は私にとってすごい本だったのですが、話はそこからさらに十四歳の準子の恋の物語へと広がっていきます。彼女の年齢や立場。世間の目。そして彼女を取り巻く様々な人々の思惑。そんなものが複雑に絡み合う中での恋。美しい恋でも、清純な恋でもない。すごい生々しさ。こういう恋愛を、こういう物語を、たとえば私が中学生くらいのときに読んだら、私はこの本を嫌いになっていたかもしれません。でも今というこのときに読むと…ものすごく胸に迫ってくるものがありました。ラストは賛否両論なのかもしれません。でも私はこうじゃなきゃいやだった。だからこれですごくうれしかったです。

あのくらいの頃、誰かを好きだったみたいな気持ち。交換日記とか、学校の外で会うとか、そういうことがものすごくどきどきしたあの気持ち。手もつながない、キスもしない、そういう意味での「純粋」ではない「純粋」さ、温度が、密度がまったく違ったような気がします。もう戻れないんだな。失くしてしまったのではなく、通り過ぎてきてしまったんだな。それが悲しいのではなく…ただ、奇妙に懐かしく感じました。

大筋のところとは別に、印象に残る部分も多々ありました。

女のエロスのOSでは、強い感情であろうが淡い感情であろうが、過去の感情は「ごみ箱」に行き、「ごみ箱を空にする」がクリックされて削除され、その後は検索しても「検出できません」と表示されるのみである。
生きてゆく人間というものは二十三歳ののちに四十三歳になって知る。二十三歳の自分はなんと若く、熱を帯びていたのだろうかと。しかし、やがて五十三歳になって知る。もし自分が今、四十三歳ならなににでも新たな挑戦ができたのにと。そして六十三歳になり、さらに知る。五十三歳の自分は、三十三歳と変わらぬほどに、なんと若かったのだろうかと。
これは単純な「恋愛小説」ではなく、もっと大きな…。なんというんでしょう。もっと生々しい「人」の物語でした。青春の物語でした。官能的で、笑えて、泣けて、さわやかじゃない。すごかったです。
| は行(姫野カオルコ) | comments(11) | trackbacks(7) |
スポンサーサイト
| - | - | - |
コメント
こんにちは。

>生々しい「人」の物語

というのはなかなかうまい言い方ですね、うん。
恋愛小説とも断言できないし、この表現はなんかすんなり納得できます。

しかしすごい小説でしたね……。

| おおき | 2005/11/22 4:14 PM |
ほんと、すごかったです…。衝撃的に!
なんでこの本直木賞とれなかったんでしょう。
あぁ、相変わらず納得がいかないわ!直木賞…!
そのときの受賞が江國さんと京極さん。うーむ…。
| chiekoa | 2005/11/22 5:09 PM |
こんばんは。
本当にすごい小説でしたよね、これは。
久しぶりに衝撃的な本を読むことができました。
これは衝撃的すぎて直木賞は無理だったんですよ。
>生々しい「人」の物語
うまい、わたし、こういう風に書きたかったんですよ。
しかし、一気に15年(?)も飛んでゆくともおもいませんでしたよね。


| よし | 2005/11/22 7:36 PM |
小学校2年生からはじめたところも上手かったけれど、
ラストでお互いがこの年齢になっているところも、
うまいなぁと思いました。
でも中学時代がこんなふうに生々しく描かれると
読んでいて痛くなります。
直木賞がだめだったのは、準子が若すぎたからでしょうか!?
| june | 2005/11/23 12:17 AM |
直木賞候補だったのですか?
知らなかった…

それにしても、他の方のレビューを見ると又自分が「ツ、イ、ラ、ク」を読んだ時に感じたあの世界に戻っていってしまう。この本ってすごいですよね。
| なな | 2005/11/23 12:28 AM |
いやあ、すごかったですね。姫野さんは凄い作家になったなあ。
確かにななさんのおっしゃるように、私もこの本や「桃」の
皆さんの感想を読むだけで、その世界に戻ることができます。
不思議なもんですねえ。
自らの痛々しい中学時代をも生々しくよみがえらせてくれて、
ほんま悶絶しました。誰もが中学時代はあるわけだから、
誰もが自分の思い出と重ねて揺さぶられるんじゃないかなあ。
| ざれこ | 2005/11/23 11:34 PM |
よしさん、ほんと、どこまで行くんだろうと思ったら三十四歳ですからね…。
でもそれだけの年月の重みがあって、それがまた泣けました!

juneさんもそう思われます??
やっぱり審査員のお歴々には十四歳はきつかったのかと…。
あぁ、でもこんなにすごい作品なのになぁ!

ななさん、そう言ってもらえると書いたかいもありました(笑)。
難しかったんですもん!この衝撃を文章にするのは…。

ざれこさん、私もそう語れるくらいもっと姫野さんを読みたいです!
まだちょっぴり…ざれこさんのレビューを参考に読んでみますね!
| chiekoa | 2005/11/24 12:55 PM |
読みましたー。
時々 ついていけなくなるくらいの強烈さと滑稽さに閉口.....^^
読んでて楽しかった
....っていうか、恥ずかしくなる。
自分の中学時代が まざまざと蘇ってくるからw

直木賞候補とびっくりです!
TBさせてください。

| bion | 2006/06/13 12:19 AM |
bionさん、こんにちわ!
ほんとすごいですよね…なんで直木賞とれなかったんだ!
おじいちゃんたちには強烈すぎましたでしょうか…ちっ!
(↑あ、つい育ちの悪さが…)

| chiekoa | 2006/06/13 2:02 PM |
chiekoaさん
こんにちは〜。chiekoaさんに勧めてもらった姫野さん、初読本は「終業式」で手紙のやりとりだったので、小説という意味での小説は今回初めてでした。
大作ですね。それに女流作家のよさが全面に出ているという気がしました。
そして、
>単純な「恋愛小説」ではなく、もっと大きな…もっと生々しい「人」の物語でした。
なるほど!
人としてもそうだけど、個人的には「女」という印象が強かったですねー。
「桃」も購入していますので、読み終わったらまた伺いますね!
| やぎっちょ | 2006/08/07 5:13 PM |
小学二年生から彼女を知っている(つもり)なのに、ほんとに「女」でしたね…。いや、女は生まれたときから女だって言いますしね!なるほど。
『桃』も私は大好きです。感想楽しみにしてます!
| chiekoa | 2006/08/08 2:53 PM |
コメントする








on
ご利用のブラウザ、設定ではご利用になれません。
この記事のトラックバックURL
 
トラックバック
ツ、イ、ラ、ク
ツ、イ、ラ、ク/姫野カオルコ発売元: 角川書店価格: ¥ 1,890発売日: 2003/10売上ランキング: 39,455posted with Socialtunes at 2005/11/13 一人の女の子が官能に目覚め、女性へと変貌を遂げる過程を、細かな描写で描いた作品。と一言で言えばそんな感じなのだが、
| 雑食レビュー | 2005/11/22 4:16 PM |
ツ、イ、ラ、ク 姫野カオルコ
またしても初めての作家さんです。しかし、この作風は一体なんなのでしょうか。様々なものが、まざってはいますがちゃんとした恋愛小説です。そして、泣きます。この人の才能もまた凄い。本当に力のある作家さんです。
| *Happy Light* | 2005/11/22 7:41 PM |
ツ、イ、ラ、ク
ツ、イ、ラ、ク 姫野カオルコ 姫野カオルコさんの「ツ、イ、ラ、ク」よかったです!でも人にお勧めするのは恥ずかしいというか、ちょっと複雑です。「昔のことだから忘れた」と思い込むことによって封印しておいたものを白日のもとに晒してしまう感じなのです。田舎
| 本のある生活 | 2005/11/23 12:10 AM |
「ツ、イ、ラ、ク」姫野カオルコ
ツ、イ、ラ、ク姫野 カオルコ 沢山の人が出てくるし、視点がちょこちょこかわるので慣れるまで読みにくかったが、夜読み終えて寝たら夢に見ました。そこで成長していく森田準子を中心とした子供達、先生の視点で小学校2年生から中学3年生までの出来事が語られ、そして
| ナナメモ | 2005/11/23 12:32 AM |
「ツ、イ、ラ、ク」姫野カオルコ
ツ、イ、ラ、クposted with 簡単リンクくん at 2005. 6. 9姫野 カオルコ / 姫野 カオルコ〔著〕 / 姫野 カオルコ〔著〕角川書店 (2003.10)通常2〜3日以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る 準子を中心としたクラスメイト達の、小学校中学校時代
| 本を読む女。改訂版 | 2005/11/23 11:31 PM |
ツ、イ、ラ、ク/姫野カオルコ
懐かしい極上の時間 小学生、中学生時代。 誰がああ言ったこう言ったと 些細なことを気に病んだ。 誰かがしたこと、 みんなの間で流行っていたこと、 どうでもいいことに躍起になった。 キスすることよりも 抱き合うことよりも熱かった時間。 あんなにも必死で
| 心理学とタイとDOCO | 2006/06/13 12:18 AM |
ツ、イ、ラ、ク 姫野カオルコ
ツ、イ、ラ、ク ■やぎっちょコメント まずですね。表紙。表紙、美しくないですか? こんなにキレイな表紙、他の小説で見たことありません。個人差はあると思うけど。姫野カオルコさんの「桃」という小説も実は買っているのですが↓こちら 桃 これもキレイなんです
| "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!! | 2006/08/07 4:51 PM |