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黒と茶の幻想 [恩田陸]
4062110970黒と茶の幻想
恩田 陸
講談社 2001-12

学生時代の同級生だった利枝子、彰彦、蒔生、節子。友人の送別会をきっかけに集まった四人は、卒業から十数年を経て、Y島への旅を企画しますが…。

三月は深き紅の淵を』の第一章「待っている人々」の中で語られた「三月は暗き紅の淵を」(ややこしい!)の第一部、「黒と茶の幻想」そのものの物語です。
(このややこし過ぎる三月シリーズについてのすばらしい相関図。)
そう、その中で語られた「黒と茶の幻想」とは、このような物語でした。

四人の老人の―老人というには気の毒かな、四人の壮年の男女が旅をする話でね。ほんと、これだけなんですよ。場所は、恐らく屋久島だと思うんだけど、はっきり言及はされてません。ちんたら、だらだら旅をする。彼らの人間関係はよく分からないんだけど、とにかくこの連中がよく喋る。それも変な事件の話ばっかり。四人のそれぞれが安楽椅子探偵の役割を果たすわけですね。でもすぱっと真相が明かされるものもあれば、侃々諤々勝手なことを論じてそれで終わってしまうものもあるし、話を匂わせただけでそのまま通り過ぎちゃう事件もある。そのあたりが全くゆきあたりばったりというか、もしくは恐ろしく計算されているのかは分からないけれど、それぞれの断片が実に魅力的でね。
もう、まさにこれそのもの!こんな体験したの初めてです。

そしてこの物語自体が、なんというか、壮絶すぎて、ちょっと感想を書こうにもどこから手をつけていいのかわかりません。

第一章・利枝子、第二章・彰彦、第三章・蒔生、そして第四章・節子。それぞれの章をそれぞれの人物の視点で書きながら、しかし時間軸は交錯せずに、旅の流れをそのまま追っていくという仕掛けになっています。つまり全体としては三泊四日の小旅行の物語なのですが、たったそれだけの期間の出来事に、これだけ四人それぞれの心の奥底までを掘り下げ、愛も憎しみも、過去も未来も、全て、濃密に映し出して描かれた物語っていうのは、そうそうないんじゃないかと思います。

この四人の語り順もみごとだったと思います。私は読んでいて絶対「蒔生」が最後なんだろうと思っていました。だから三章で出てきちゃったときにはびっくりして。「節子」でラストってどうするのかなぁと思っていたのですが、読み終えてみれば「節子」意外にラストはありえない!という。すばらしい構成でした。

人知を超えた太古の森を舞台に繰り広げられる、人と人の関係の物語。これを読んだら自分の人生なんて1mmくらいの薄っぺらいものに思えてきました…。読んで何かを考えるというよりは、読むだけで何かを感じさせるというか、もう、それをただ感じるだけでせいいっぱいというか。圧倒的でした。はぁ〜…。

そして今『麦の海に沈む果実』を再読したくてたまりません…。
| あ行(恩田陸) | comments(9) | trackbacks(12) |
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コメント
すっごくおもしろそう!
私こういう本と本の繋がりが大好きなんです〜。
「三月〜」「黒と茶〜」「麦の〜」という
順序で読んでみたらよいんでしょうか??
とにかく読んでみますね!!
| そらねこ。 | 2005/12/09 5:42 PM |
そうです!その順番です!
ちなみに『黒と茶』と『麦』の順番は逆でもOKです。
刊行順だと『麦』の方が先なんですよね。
| chiekoa | 2005/12/09 6:26 PM |
chiekoaさん初めまして。
僕も、つい最近「三月は深き紅の淵を」を読んで、
あのパラレルワールドが気になっていたんですが、
関連作品(?)が色々出てるんですね。
「三月〜」の中では第一章が一番好きな作品なので
chiekoaさんの感想を読んでたら「黒と〜」読みたくなっちゃいました。今読んでる本が終わったら、これを読まねば!(^^)
| かず | 2005/12/09 8:42 PM |
かずさんはじめまして!
『三月』から詠み始めるなんて、ついてらっしゃいますね!
私はおかしな順番で読んでしまってえらいこっちゃでした。
これから正しい順番で再読予定です。ふふふ。楽しみです。
かずさんも読まれたら感想聞かせてくださいね〜!
| chiekoa | 2005/12/10 12:42 AM |
chiekoaさん、こんばんは。
私の「My blog list」のchiekoaさんは12月27日で更新が止まってます。なぜ?「エンドゲーム」読んだのですね。羨ましいです。
憂理は「麦」の憂理なんですか?たしかchiekoaさんはこの本の後「麦」を再読したんですよね?この本の梶原憂理がした一人芝居は「麦」の物語なのかどうなのか…もう!恩田さんてばこっちを読めばこっちと色んな本を何度も読み返したくなりますね。

今年もどうぞよろしくお願いします。
| なな | 2006/01/05 11:15 PM |
読みました・・・。すごかったです。もう夢中でした。三月シリーズとか関係なく、必死に読みました。こりゃ幻の「三月は深き紅の淵を」もさぞかし面白かろう、って気はしますよね。
私も蒔生が最後じゃないのかよーーともだえた一人でしたが、読み終えると節子の締めはむちゃくちゃ納得です。蒔生が最後だったらえらい後味悪いでしょうしね・・(笑)
| ざれこ | 2006/04/23 2:46 AM |
すごいですよね。なんかもう、それしか言えないですよね!
ざれこさんがここのところずっと読んでいらっしゃるのがうらやましく、また再読欲に火が付きそうなのですが…どうしてくれますか!責任を取ってください(笑)。
| chiekoa | 2006/04/24 2:54 PM |
やっと読みました!楽しみました!
TBさせていただきました。
私も蒔生が第三章で出てきてしまったのには、
「あれぇ?最後じゃないの?」と思いましたが、
読み終えてみれば、物語を締めくくれるのは、
節子以外にいませんでした。

ところで『三月』で老人が語っていた「黒茶」のストーリーは、
2度目のY島だと思いません?
| こばけん | 2006/06/22 8:43 PM |
こばけんさん、私はもう頭が大パニックなので…難しいことを聞いてはいけません。脳死…。相関図、模造紙に書いて部屋に貼りたい!
| chiekoa | 2006/06/23 5:37 PM |
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