| 上と外 恩田 陸 幻冬舎 2003-02 |
両親の離婚で、別れて暮らす元家族が年に一度、集う夏休み。中学生の楢崎練は、離れて暮らしている小学生の妹・千華子と母・千鶴子とともに、考古学者の父がいる中央アメリカのG国までやってきた。ジャングルと遺跡と軍事政権の国。そこで四人を待っていたのは…。
恩田さんの既刊の本は全部読んだと思っていたのですが…なぜかこんな大作が抜けていました。どうして?どうして今まで気付かなかったのかしら…。アマゾンに画像がないから?!(わりと正解のような気がしているわたくし)。
もともとは文庫書き下ろしで、隔月連続刊行で六冊に渡って刊行されてたんだそうです。その六冊を集めて一冊の単行本にしたのがこれ、と。六冊!なぜ書店で見かけてもいなかったのかしら、わたくし。謎が謎を呼びますが、でもそのとき気付いてなくてよかったかも…。この物語を隔月で断片的に読ませられるなんて!そんな!先が気になって気になって気になって、夜も眠れません。というわけで当然一気読みでした。
以下、感想は若干ネタバレありです…ご注意を!
えーと、とりあえず一気読み!!はしたのですが、読み終わってみると…なんだかちょっと胸にもやっとした気持ちが残りました。原因はわかっているのです。この冒険の最後、最後の最後。今まで手に手をとって助け合ってきた二人がお互いを…というのがひっかかっちゃってるんです。そりゃ結果オーライでよかったですけど、でも…えーん。そりゃないでしょうと思ってしまいました。いや、妙にリアルなんですけれどね。よく考えたら彼ら中学生と小学生だし!(なんて立派なお子様たちなのかしら…)。
あと、なんだかこの物語は、確かにハラハラドキドキしたのですが、「主役は絶対無事なんだろうな」というのがわかりながら読んでしまうというか、いや、普通どんな物語だって主役はだいたい無事なんですが、それでも「あぁ、もうだめかも!」って思うことがあるじゃないですか。それがなかったかなぁと…ハラハラしつつもどこかで安心して読んでしまったというか。っていうかそもそも「成人式」を何が何でもここでやらねばいけない!という逼迫感があまり感じられずわからず。え?なんでさ?と。その設定に入り込めなかった部分もちょっとあったりします。
そんなわけで冒険シーンが個人的にはちょっとおしい感じだったのですが、全てが終わってからのエピローグの部分がとってもよかったです。全編を通じてここが一番好きかも(笑)。こういうのすごく好きです。もんじゃ焼き!…。
そしてこの物語でとにかくかっこいい!!と私が惚れてしまったのは、彼らのおじいさんです。か、かっこよすぎる…。最初から最後まで、とにかくこのおじいさんがかっこよくてしびれました。(職人に弱いわたし)。ラストの空港での再会シーン。はい、泣きました。(なぜここで泣く!と自分つっこみ)。
ハラハラドキドキ楽しくて、でもそれだけじゃなくて、大人と子ども、親と子、そんなものについてもなんだかいろいろ考えさせられる物語でした。深いです。