小さな頃からちょっと人とは変わった特殊な子供だった光瑠。天才と呼ばれてきた彼が、高校生になって始めたのは「光」を演奏することでメッセージを発信するという全く新しい「芸術」だった。音楽ならぬ「光楽」に、感応し集う若者たち。しかし、その力の大きさを知った大人たちの魔の手が忍び寄り…。
ゆうきさんのところで見かけて気になっていたので読みました。なんだか久しぶりにこういう本を読んだ気がします。自分の読書時代の古きよき時代に読んでいた感じというのでしょうか…。いや、今だってよき時代なのですけど、あの頃はあの頃で楽しかったなぁという時代の。(なんのこっちゃい)。
何もかもを見通し、達観したかのような少年、光瑠。何か大きなことを成し遂げようとする人は、こんなふうなのかもしれません。エンタテインメントとしても十分にはらはらどきどきさせてくれるこの本、そのもうちょっと先にあるものについても、考えさせてくれました。
それにしてもこの悲壮感のなさは、どうしてだろう…?結構テーマは暗いし、主人公たちに降りかかる出来事も明るいものじゃないのですが、この本はなんだか暗くないのです。不思議と安心して読める感じなのです。なぜ?うーん、「光」が重要なモチーフだからだろうか…(違う)。
この本を、同じテーマで、今の東野さんが書いたらどうなるのかな?ってちょっと思ったりしました。読んでみたいような、見たくないような。文章とかそういうののすごさはぐっと増すんでしょうけど、このラストにはならないような気がするので…。