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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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名もなき毒 [宮部みゆき]
4344012143名もなき毒
宮部 みゆき
幻冬舎 2006-08

義父が会長を務める財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。期せずして二つの事件に巻き込まれていった彼は…。

皆さんそうかと思いますが…この本を読んで一番強烈な印象を残したのは、「毒殺事件」ではなく「原田いずみ」でした。青酸カリや、砒素や、そういった名前の付いた「毒」だけじゃない、シックハウスや土壌汚染のような現代社会が抱える「毒」だけじゃない、人の心に潜む「名もなき毒」が人を蝕むこともある。本人にすら、どうしようもできないことがある。そしてそれは他人事じゃない。そのことが怖くて、悲しくて、読みながら鳥肌が立ちました。

個人的には、正直読後感はあまりよくありませんでした。あまりにも重くて、そして、これが一番大きいのですが、私はあんまりこの「杉村」が好きじゃないのです。なんか、どちらかというと今の時点では嫌いなのです。シリーズ化していくとのことですし、これからも読んでいけばだんだんその感情は薄れるような予感(たぶん当たる)はしているのですが、でも、少なくとも今は好きじゃないのです。彼自身の、あの性格というか、あの弱さというか、そしてそれでいて傍目には恵まれているのだというその環境だとか、そういうものが全部ひっかかるんです。もちろん読んでいて彼がそのことを全く気にしていないわけじゃないこともわかっているのですが、でも、なんか…。私もこの物語の中で彼の周囲にいる人間と同じなんだなぁとしみじみ思いました。そして、架空の人物である彼に対してそんなふうにまで感じさせてしまう宮部さんって、やっぱりすごいなぁと思いました。

「人は誰でも心のなかに暗い部分を持つものですし、それは恐ろしいことでも、悪いことでもありません。ただ、暗い部分を制御できなくなると、時として自分にも周りにもつらいことが起こります。理屈はわかっているのに、身体の内の"毒"にあたってしまう−現代人の分身を描いてみたい。」
宮部さんの言葉です。宮部さんのこの世界を見つめる目に、そこに宿る優しさに、この本を読むことで触れることができたのかな…。今は、そのどうしようもなさが、まだ、すごく苦しいですけれど。

【追記】
『誰か』で活躍した杉村さんのシリーズ第二作目であるこの本。『誰か』を読んだのはもうだいぶ前なので記憶がおぼろ…ですが、こっちを読んでたらなんとなく思い出しました。後でちゃんと再読しよう…と思いますが、あの作品も読んでよかったんですけどすごく痛かったので、ちょっと再読するのが怖いんです…。あの痛みを、もう一度味あわないといけないのかと思うと。心がひるむのです。宮部さんのこういう本を読むことは、もう単なる「読書」の枠を大きく超えているなぁと思う一瞬です。
| ま行(宮部みゆき) | comments(10) | trackbacks(13) |
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コメント
原田いづみ、お腹の中のどす黒いものが移ってきそうでぞっとしましたね。
彼女は彼女で哀しい人なのだとは思うけれど、それでもそばに来てもらいたくはないです。

杉村も、カラッとさっぱりしたキャラクターではないですものね。
妙に自分に自信がなくて鬱屈しているところが いままでの主人公とは違っているかもしれません。
でも、どうにもならないことと腹をくくって突き抜けてしまえないところが杉村らしいと言えば言えるような気もします。
もしも探偵が本業になったらキャラも少しは変わるのかしら。
| ふらっと | 2006/12/18 5:05 PM |
こんばんわ^^
私も印象に残っているのは原田いずみですね。
恐ろしかったです。
私はさっさと解決するのかと思ってたので。
「誰か」は私は再読したいとは思えないですね^^;
ラストがいただけなくって。
この作品は、なんだかいろいろ考えさせられました。
| 苗坊 | 2006/12/18 6:14 PM |
原田いづみの心の奥底に潜む毒は、強烈でしたね。
どんな被害を及ばすかわからない怖さ。すごいインパクトでした。
それが誰の心にも、潜んでいそうなことも。

杉村のキャラクター、抵抗があるのですね。
キャラ重視のchiekoaさんには、つらいことでしょうね。
次回作まで時間があるので、距離を置いてみるのもいいかも、です。

些細な登場人物やエピソードにまで現実味を感じさせる
宮部さんのすごさ、改めて感心しました。
| 藍色 | 2006/12/19 2:19 AM |
ふらっとさん、そう、そういう彼の彼らしいところが…近親憎悪なのかもしれませんが。特にあのラストが私にはきつかったです…。

苗坊さん、そう、再読…したいような、したくないような。あの気持ちをもう一度味わうのか。うーむ。今手元にあるんですけど、どうしようか迷い中です…。

藍色さん、怖かったですね…。思わす読んでいて「ひっ」って声が漏れそうになりました。杉村さんは…ごめんなさいで。あの猫背な感じが…。何かこう、私の心をささくれさせるのです…。でも次回作も絶対読みます。うん。
| chiekoa | 2006/12/19 3:21 PM |
最新の「このミス」を読むと、宮部さんは、この作品にぼくが最近騒いでいる。ネオ・ハードボイルドの代表作、マイクル・Z・リューインのアルバート・サムスンを意識しているとか。「誰か」って、実はそれほど評価してなく、それゆえに本作も遠ざけていたのですが、一度その視点で読もうかと思っています。
つまり、「ボトルネック」の世界なわけですね。
と解析してみたら、どうなりますか?
| すの | 2006/12/21 1:30 PM |
ボ、ボトルネックの?!いや、あれとはまた違うような…。
ああいう意味の「後味の悪さ」とはちょっと違います。
人間の黒いところにあたったというか。まさに「毒」。
『誰か』も『名もなき毒』も、どちらも…。
| chiekoa | 2006/12/21 6:43 PM |
こちらでchiekoaさんが「誰か」が痛いと書いてらしたのでちょっと読むのを躊躇してます。心が弱くなっているせいもあるんでしょうが……やっぱりハッピーエンドが大好きです!
| まみみ | 2007/02/17 7:14 PM |
まみみさん、そうですね〜…弱ってるときには、あんまり。というわけで今は私はまだ読めません…。胸キュンで気持ちを紛らわせる日々です(笑)
| chiekoa | 2007/02/19 1:25 PM |
TBさせていただきました。

久々の宮部ワールド。
ちょっと長かったですけど、堪能致しました。
杉村が嫌い・・・なんか分かる気がします。
| タウム | 2007/03/17 2:02 PM |
タウムさん、確かに言われてみると長かったような…。
そっか、新聞連載だったんですね、知識なかったです。ありがとうございます。しかし私はこういう重いのをこれだけの長さで読まされるともうぐったり…知力体力ともに衰えが…あわわ。
| chiekoa | 2007/03/19 12:39 PM |
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