汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう―中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児は、占い師の予言を通じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀に従って都へ上った。都で袂を分かち、それぞれの志を胸に歩み始めた二人を待ち受ける宿命の覇道は…。
酒見さんの『
泣き虫弱虫諸葛孔明』を読んで以来、にわか中国歴史モノブームがやってきているわたくし。というわけで勢いに乗って、ずっと読もうと思って読めずにいたこの作品を読み始めることにしました。読み始めたときは人の名前の読み方が日本語読みでなく中国語読みなことにとまどい、最後まで大丈夫か?!と心配になったのですが、きちんと各ページごとにフリガナをふってくれているので、問題ありませんでした。よかった…。
文庫版では全四巻。この第一巻でメインになっているのは、街の老婆に「宰相か大臣になり天子を助ける」と予言された文秀(ウェンシウ)と、「この世のお宝を全て手にする」と予言された春児(チュンル)の物語です。
いいとこのボンボンで、次男ゆえに全く期待されておらず、それどころか奇人変人扱いされていたのに、その兄を差し置いて科挙の試験に受かってしまった文秀。貧乏暮らしを抜け出すために、なんとか予言どおりにお宝を手に入れたい春児。春児の亡き兄が文秀と義兄弟の間柄だったということで仲がよかったこの二人の関係が、文秀が試験に受かったことで今後どうなっていくのか。果たして予言は的中するのか。彼らの運命は。先が気にかかるところです。
それにしても、私の中ではこれも三国志も「中国の昔の話」でひとくくりのイメージだったんですけど、三国志はこの『蒼穹の昴』の作中においてをや「古典」なんですね!さすが中国…歴史が長いです。
『蒼穹の昴』
・蒼穹の昴(1)
・
蒼穹の昴(2)
・
蒼穹の昴(3)
・
蒼穹の昴(4)