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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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後宮小説 [酒見賢一]
4101281114後宮小説
酒見 賢一
新潮社 1993-04

時は槐暦元年、腹上死した先帝の後を継いで素乾国の帝王となった槐宗の後宮に田舎娘の銀河が入宮することにあいなった。物おじしないこの銀河、女大学での奇抜な講義を修めるや、みごと正妃の座を射止めた。ところが折り悪しく、反乱軍の蜂起が勃発し、銀河は後宮軍隊を組織して反乱軍に立ち向かうはめに…。

個人的にはハズレが大変に少なく、とても信頼している「ファンタジーノベル大賞」。その記念すべき第一回受賞作が『後宮小説』という作品だということは知っていましたが、それが(最近マイブームの)酒見賢一さんの作品だということを知ったのがつい最近で、それは読まないわけにはいかないわ!ということで、慌てて読みました。つながってなかったわ…不覚。

しかしすごいですね、これがデビュー作とは…。第一声が「腹上死であった、と記載されている」ですよ。いきなりですよ。人を食ったというかなんというか…すごい。度肝を抜かれてしまいました。あとはもう夢中で一気読みです。私の大好きな、こう、「途中で著者がちゃちゃを入れる形式」はデビュー作からだったんだなぁ!と感慨もひとしお。

泣き虫弱虫諸葛孔明』は、実際の「三国志」を元に書かれているわけですが、この作品は違います(ですよね?)。さも『泣き虫…』と同じように、「きちんとした過去の資料・文献があって、史実に基いて書いています」ふうですが、違います(ですよね?)。これだけの世界を、頭の中だけで構築できちゃうって…ほんとすごい。すごいです。

なお、これも不勉強で知りませんでしたが、この作品はアニメ「雲のように風のように」の原作だったのですね。見たことはないですが、タイトルは知ってました。でも…こっちを先に読んじゃうと、「え?これを?アニメに??(お、大人向け?!)」って思っちゃうんですけど…、いったいどんなことになっているのでしょうか…。見たい。ものすごく見たいです。(逆にアニメから入って原作を読んだ人はどう思うのかしらなんて余計な心配をしてみたり…)。
文庫版のあとがきで酒見さんがアニメについて書いていらっしゃるのですが、いわく、

「たのむわ…菊凶」
と一言言っておきたい。それから、
「王斉美をだせ」
とも付け加えたい。もう一つ、
「双槐樹と王遥樹のインセストタブーな関係が変更されたのは仕方がありません。でも、幻影達たちが遊郭で遊びまくるところは入れて欲しかった」
と小声で言いたい。
気になるコメントじゃないですか。こんなこと言われたらますます…見たくなってまいりました。DVDが出てるみたいだから、探しに行っちゃおうかな〜。

そして、この作品がファンタジーノベル大賞を受賞したときの選考委員・高橋源一郎さんの選評が、あまりにもすばらしく感動してしまいました。うん、素晴らしい…。

『後宮小説』にあって『宇宙のみなもとの滝』にないもの、それは淡い哀しみを帯びた「軽さ」である。この小説の「軽さ」は軽薄短小の「軽さ」ではなく、重力から逃れてあることの「軽さ」だ。『後宮小説』の世界では、登場人物もそこで起る重要なあるいはどうでもいいような事件の数々もそれらを包み込んで流れる歴史もそしてそのすべてを語る作者の声もその一切が重力の軛を逃れて浮遊している。この「軽さ」は内閉的な夢を語ることによってではなく、ついに重力から逃れることのできない我々というやっかいな存在の運命を直視することによってしか得られることのできない宝庫なのだ。われわれはこの稀な宝物のことを「ファンタジー」と呼んできたのである。
あと、解説で書かれている「ファンタジーとは」も、読んでいてすごく目からうろこというか、間違ってましたごめんなさいと思ったのでここに書いておきます。

ファンタジーとは本来、人間の頭の中にしか成立しない代物であり、可視の現実以外の世界を思い描く能力であって、それ以外のいかなる規制も存在しません。とすれば、各人の個性がそれぞれ異なるように、人間の個体の数だけ異なるファンタジーが当然あってよいはずなのに、なぜか我国ではファンタジーといえばともすれば妖精とか魔女とかいった外国種のキャラクターが出没する領分や、もしくは現実逃避のための便法などと誤解されて、安易な類型的作品があとを絶ちません。
…おっしゃるとおりです。自分の偏ったイメージを反省、そして修正。今まで「日本ファンタジーノベル大賞」は懐が深いなぁと思っていたのですが、そうじゃなくて、「ファンタジー」というものの懐が深いのですね。私が浅かったのです。「ファンタジーノベル大賞」これからもついて行きます!
| さ行(酒見賢一) | comments(7) | trackbacks(2) |
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コメント
こんばちわ。
酒見作品を読んだことがないですが、是非読みたいと思います。
今日、図書館に行ったばかりだから、今度行ったら、チェックですね。
| 可憐 | 2007/03/28 12:28 PM |
娘たちが小学3、4年生の頃に、「雲のように風のように」をビデオレンタルしました。安心して見せられるような内容だったと思います。
ビデオを見た後に原作も読みたいと言った娘たちですが、流石に漢字が多くてその時はあきらめました。(冒頭から腹上死ですからねぇ。小学生の読み物ではないでしょう。中学時代に読んだようです)

文庫の解説、とても良かったです。「ファンタジー」について目から鱗でした。
| 小葉 | 2007/03/28 3:25 PM |
このアニメはたしか休日の午後に放映されたんですよね。こんな内容をこんな時間に、しかもアニメ放映していいのかぁ!と思いながら見た記憶があります。存外、できのよいアニメでした。
しかし、この小説が「ファンタジー」大賞に選ばれたときは、ぼくもびっくり!でした。いまはもう「日本ファンタジー大賞」なんでも来い!ですがね・・。
| すの | 2007/03/28 8:15 PM |
可憐さん、酒見作品の第一弾としてふさわしいのかどうだかわかりませんが…(笑)ぜひ読んでみてください!そしてダメじゃなかったら『泣き虫弱虫諸葛孔明』も…。長いですけどね(汗)。

小葉さん、中学時代だったら…大丈夫ですかね?!途中にもかなり大人なシーンがあったような、なかったような…ほほほ。そう、文庫の解説がすばらしかったのですよ!図書館で借りるときに迷ったのですが、単行本で読まずにこっちで読んでよかったなぁと思いました。

すのさん、あ、テレビアニメだったんですね?でもアニメの内容は違うんですよね?あれ?びっくりしたということはすのさんは受賞される前に読まれてたんですか。すごいアンテナですねぇ。受賞してからこれだけ経って読んでるわたし…。
| chiekoa | 2007/03/29 11:24 AM |
図書館本に追われていたら、先によまれた(笑)。
相変わらず、ちえこあさんは素早いですね!
4月には読めるかな。たぶん。
| しんちゃん | 2007/03/29 6:04 PM |
しんちゃんさん、この本文庫だとすごく薄いし、すぐに読めますよ〜。あとがきも解説もすばらしいので、最後までみっちり楽しんで読んでくださいね!
| chiekoa | 2007/03/30 1:21 PM |
初めまして。
ずいぶん遅れてのコメントになってしまいますが・・・
森博嗣さんから始まって、いろいろな感想を拝見しました!

この後宮小説は私も大好きです。
アニメの「雲のように風のように」から入りました。
実家にボロボロのビデオテープがあるはず(笑

またお邪魔しますね^^
| turq | 2007/06/28 1:26 AM |
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「後宮小説」酒見賢一
再読です。前に読んだのは多分十数年前。 とても印象的だった冒頭部。これは覚えていました。 中国っぽい国が舞台。あたかも史料を読み解くような体裁の大法螺話。好奇心いっぱいの14歳の銀河、コリューン、同室の3人、角先生、行き当たりばったりの渾沌と幻影達
| 宙の本棚 | 2007/03/28 3:09 PM |
「後宮小説」酒見賢一
「後宮小説」酒見賢一(1989)☆☆☆☆★ ※[913]、国内、小説、ファンタジー、第一回日本ファンタジーノベル大賞 「腹上死であった、と記載されている。」 この一文から始まるこの作品が「愛すべき不遇の文学賞」と、今やぼくが何度でも語ってきた「日本ファンタジ
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