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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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青空の卵 [坂木司]
4488457010青空の卵
坂木 司
東京創元社 2006-02-23

僕、坂木司には一風変わった友人がいる。自称ひきこもりの鳥井真一だ。複雑な生い立ちから心を閉ざしがちな彼を外の世界に連れ出そうと、僕は日夜頑張っている。料理が趣味の鳥井の食卓で、僕は身近に起こった様々な謎を問いかける。鋭い観察眼を持つ鳥井は、どんな真実を描き出すのか…。

「夏の終わりの三重奏」「秋の足音」「冬の贈りもの」「春の子供」「初夏のひよこ」の五編が収録されています。めぐる季節とともに、人も少しずつ変わっていく、そんな物語たちです。でもこの物語は…、なんか、単純じゃなかったです。面白いとか、楽しいとか、感動したとか、そういう、ひと言でくくれるような感情じゃなくて。一見優しそうで、でも、どこかすごく残酷で。ステキであったかいだけじゃない感じ。うまく言えないですけど。基本的には、すごく苦しかったです。読んでる間、すごく苦しかった。読み終わった今もなんだか苦しいです。切ないが高じて苦しいというか、なんかヒリヒリして痛くて…もやもや。居心地が悪いです。なんなんでしょう、この感覚は。

この感じを「ダメだ」って言う人もたくさんいるんじゃないかなと思います。特にこの坂木のキャラと、「二人の関係」が。でも私はそこが切なくて切なくてたまらなかったです。坂木が泣くたびに、すぐめそめそすんな!と思う心がある一方で、ここで泣ける彼がうらやましかった。全編が彼のモノローグでつづられるこの物語で、彼が美しいこと、きれいなことを言うたびに、またそんな奇麗事を!って思う一方で、その言葉が妙に胸に突き刺さって、棘みたいに抜けなくて、そんなふうに本気で言える彼がやっぱりうらやましかった。

そして、そんな彼がそばにいる鳥井と、そんな彼のそばにいる鳥井と。そう、彼らはおたがいに「そばにいる」んです。そこが…なんか、なんかですね、すごく切なかったんです。この二人の関係に名前をつける必要はないと思います。でも、この二人の関係が、それがたぶんこの物語の一番根底にあるテーマで…。すぐそこにものすごく暗くて深い井戸があって、その底を覗き込もうとしているみたいな気持ち。見てはいけない、見なくてもいいなら見たくない、でもそれをずっと避けていてはいけない、いられない…、そういう暗い怖い感じ。うまく言えないですけど。(こればっかりだ)。

生きていくうえでの幸福は、誰かとわかちあう記憶の豊かさにあると僕は思う。
軽い読み物のつもりで読んで、かなりどっしりずっしりきてしまいました。何度も泣きそうになって、泣いてたまるか!って思って。私は何をむきになっているのでしょうか。この本は…ここに表向き書かれていることだけじゃなくて、もっとその奥の、生きていく人間の、人の心の深い深いところが、書かれていないそれが、読んでいると伝わってくるから、だからこんなに苦しいんでしょうか。心がざわざわするんでしょうか。

この作品はシリーズ化されていて、この『青空の卵』に続く『仔羊の巣』『動物園の鳥』の全三巻で完結しているそうです。続きを必ず読みたいと思います。でも、とりあえず今は心に重過ぎて、苦しすぎて、すぐに次には行けなそうです。そんな読書でした。

あと、これはけっしておちゃらけて書いているのではないのですが、私はこの本を、三浦しをんさんが読んだらどう思うのか、それを聞いてみたいなぁと本気で思いました。
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コメント
おっしゃるとおり
ライトに見えてけっこうへビィな物語かもしれませんね。

>おたがいに「そばにいる」
このときのふたりにはこれが必要不可欠なことだったのだと思います。
おたがいに必要とし、されるときに手を差し伸べあえることが。

痛くて切ない、という感じ ものすごくよくわかります。
| ふらっと | 2007/04/12 5:04 PM |
ふらっとさん、なんだか私にはとってもヘビィだったのです。
この二人の関係が今後どんな風にかわっていくのか、
心痛めつつ、先もちゃんと読もうと思います!
(いつになるかわかりませんが…(汗))。
| chiekoa | 2007/04/12 6:30 PM |
これを読んですごく、居心地が悪かったこと。
でも嫌ではなくて、むしろ次がどうにも気になること。
何でこんな気持ちになるのか、うまく言えないどころか、
よくわからなかったんですけど、chiekoaさんのレビューを読んで、
そう!それ!って思いました。
メソメソすんなって私も思いました。でも反面まぶしかったんです。
一見優しくて残酷ってのも、そのとおりだと思います。

ところで、しおんさんに聞いてみたいって、同感です。
| june | 2007/04/12 11:04 PM |
juneさん、いや、私もうまく言えないんですよ〜。この感じ。
だからしをんさんだったら「バシッ」と言ってくれそうな気がして。ぜひ読んで欲しい…いや、もう読まれているかもしれないから、どこかに感想を書いて欲しい…びしっと!やっぱり「言葉」を職業にしてる人は、そういうところもすばらしく上手いなぁと思うわけなので。
| chiekoa | 2007/04/13 12:33 PM |
読んでるのに、感想を書いてないことを自分のブログ検索してて気づきました。どうやら書きにくかったので放置した模様です(笑)。
わたしもメソメソすんな!と思ってました(←男気あり)。でもそういうマイナス要素もひっくるめて、なんだか気になるそんな作品なんですよね。この3部作、最後まで読んで結構気に入った記憶があるので…chiekoaさんもそのうちまた、ぜひ続きを読んでみてくださいね。
| まみみ | 2007/04/13 4:08 PM |
まみみさんにそうおっしゃっていただけると…
続きをびびらずに読めそうです。ありがとうございます!
春の間には読もう…うん。
| chiekoa | 2007/04/13 4:58 PM |
坂木司さんの本、読まれたんですね。いつか読んでレビューを書いてもらえるかなと楽しみに待っていました。
はっきりいって結構重たいと思います。僕はほとんど間を空けずに3部作読みましたが、ずしんと響きます。ただ、僕にはかなり共感できる部分も多くかったです。特に、支えあう・・・というよりお互いに寄りかかる感じというんでしょうか、そういうものが必要なときもあると思います。きれいな話ではないかもしれませんが(苦笑)
| ツヨシ | 2007/04/13 6:43 PM |
ツヨシさん、そう、ツヨシさんにオススメいただいたので読んでみたのです。かなり揺さぶられていてよろよろした感想ですいません(汗)。三部作、ちゃんと読みますので!!
こういう関係を、共依存というのでしょうか。詳しくはわからないですけど、でも、否定したくはないです。人間は生き物ですから。
| chiekoa | 2007/04/13 6:54 PM |
いやもう、読んでいただけて嬉しいです。ありがとうございます。
三部作全部を一気に読むのは大変でしょうから、ゆっくり間を空けて読んでください。
人間、そんなに強くないですから、こういうこともありますよね。
でも、三浦しをんさんの感想ですか・・・さすがフィアンセなだけあって、一番に名前が出てきましたね(笑)
| ツヨシ | 2007/04/14 7:06 PM |
初めてコメントさせていただきます。
僕はこのシリーズわりと好きなんです。
初めは主役2人の共依存的関係に引きながら読みました。
でも、決して弱いだけの2人ではなく、真っ直ぐな強さも感じさせてくれます。何よりも、たとえ共依存でも世界にたった1人絶対的な味方がいるというのは素晴らしいことです。
そして、シリーズが進むに連れて、2人だけの閉じた世界が外に開かれていく様は、なかなか感動的ですよ。
文庫版の最後には、素敵なオマケもついてます。
| ふくちゃん | 2007/04/17 11:59 PM |
ごぶさたしてます。ゆうきです。
わたしも、しをんさんの感想が聞いてみたいと思ってたんです。
本気で(笑)
| ゆうき | 2007/04/20 10:38 PM |
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