高校二年生のチャコ。親友のトキコの「大学を受験しない」宣言。休日の公園で出会った名前も知らない男性。揺れ動くチャコの気持ちは…。
予備知識はゼロの状態から読み始めたんですが…読みながら「なんか高校生が書いたお話みたいだなぁ」と思っていたら、そのものズバリ、作者さんは現役高校生だそうで…。あら、そうでしたか。
悪くはなかったです。なかったんですけど、でも、よくもわるくも「そのまま」というか「普通」というか。高校生が高校生のことを書けば、そりゃリアルにもなるだろうなぁという感想を持ってしまいました。内容的にも、特に奇抜なこともなく、ものすごく主観的に、ただ高校生が考えていることが語られていくわけで。私もそういうこと思ったなぁ、というのはあるんですけど、それが胸に響くのかというとそういうわけでもなく。というか、高校生にしては子どもっぽすぎないかしら…とも思ったり。いや、悪くないんですよ。これだけ書けるってすごいと思います。私は「みずみずしい感受性」というのをどこかにおいてきてしまったようで…。
あと、文章は上手だと思うんですけど、物語の書き方のほうが少し…。例えば一番気になってしまったのが、(ネタバレですけど)、ラスト近くの「弁護士」がどうこうというシーン。彼女が将来弁護士になりたいって言ったとかって…そんなの前に出てきた?って。(出てきてたらごめんなさい。思わず読み直したんですけど見つけられなかったです…。)そういう伏線があったら「あぁ!」って思えたところが「??」になっちゃって。そりゃ君は知ってるかもしれんが、私は知らんよ、と思ってしまったわけです。ものすごーくプライベートな、私的なものを読まされている気持ちになっちゃった…。いや、そういうお話なんですけどね。
ちなみに、この物語の舞台はうちの実家の隣町です(笑)。出てくるとこがどこだかわかるわかる…。菊名のジョナサン。はいはい、行ったなぁってなもんで、ちょっとうれしかったです。しかし!その菊名に向かう途中の描写、「電車の窓からは、全体的になにもない田舎の風景と、それに不釣合いな大きいスタジアムが見え」って…あの、その「なにもない田舎」のところにうちの実家はあるんですけど…ムカ、と思ったりもしました。その通りなんですけどね!何もないんですけどね!でもなんか、なんか〜…。
って、なんか全然ほめてない感想ですけど、あとがきで作者さんが書いていらっしゃったように「自分が思い出を忘れないために書きました」という点では大成功だと思うし、すごく上手だと思うし、書けるものなら自分も書いておけばよかったなぁと思いました。
…人様に読ませる気は毛頭ありませんがっ!!!(恥ずかしくて無理。)
ちなみに、一番好きなシーンは、ギバちゃんが階段を登ってきて主人公を踏みつけながら通り過ぎるところと、鼻をピスピス鳴らすところです。