まずこの本を読み始める前の私の状態を説明すると、
・「三国志」って…昔の中国でいろんな国が入れ替わったり戦ったりしてたときの物語…だっけ?違ったっけ?三国って言うのはやっぱあれでしょ、魏・呉・蜀(そのくらいは歴史の時間に覚えた)でしょ。でもそれぞれがなんだったっけ。結局どこが勝つんだっけ。あれ、そもそも三国志はそういう話じゃない?
・ゲームにもなってたりしてるんだから、マニアックに好きな人がたくさんいて、そういう人たちは「オレは○○が好きだな!」「いや、やっぱり△△最高だよ。」みたいなキャラ愛トークを繰り広げるに違いない…。
・諸葛孔明は、えーと、名前は知ってる。あれ、でも諸葛亮孔明じゃなかったっけ。一文字足りない?あ、字みたいな?ところで何をした人だっけ?でもパソコンで漢字変換すると一発で出てくる!…やっぱ有名なんだわ。(ちなみに「劉備」も出たので結構感動しました。おぉぉ〜、すごい!!(普通?))
・中国の地理はまったくわかりません。
というまぁ、ひどいにもほどがあるというか。そういう状態で読み始めました。で、どうだったかというと…これがびっくり!おもしろかったのです!あれまぁ。
どういう小説かというと…「三国志」(「三國志」?違うものらしいけれど違いがわからん)を題材に、そのストーリーを展開しながら(推測。だってもとを知らないから)、作者である酒見さんがそれにちゃちゃを入れる、というお話です(たぶん)。私の理解によると、諸葛孔明っていう人がいて、その人はものすごーく変な人で、びっくりするほど奇人変人で、彼がどうやって劉備に仕えるようになるのか?ってとこまでのお話です。
もともとのいわゆる「三国志」を知ってたら、「それがこうくるか!」みたいな面白さもきっとあるのでしょう。なんも知らないのでそういう楽しみ方はまったくできなかったのですが(悔しい)、それでもこの本、読むだけでものすごーーーく面白いです。電車の中で読んじゃだめくらいのもんです。ちなみに私は電車の中でも読んでしまいましたが…たびたび吹き出して怪しいことこの上なかったと思います。(クスっなんてかわいいレベルじゃなく、笑える。ぐはっ!とか、うはははは!ってくらいに)。そもそも、ストーリーの展開を楽しむ本ではないんだろうなぁ…「後にこうなる」とかいうネタバレを普通にしてるし。とにかく面白く読む本です。うん。だいたいもう本の紹介から笑えます。曰く「ほんとうの孔明は、こんな人じゃなかったと思う」(作者談)。
読んでる最中はとにかく人の名前に苦労しました。ひたすら漢字が読めないのです。先にこの本を読んでいたざれこさんから「漢字は雰囲気で!」というアドバイスをいただいていたので、その勢いで読んでいたら「袁」という文字のつく人の区別が一人もつかなくなりました。(でもほんとに問題なかった)。あと「劉備」=「劉皇叔」で、「劉表」=「劉景升」だってことに半分を過ぎてから気づきました。ちなみにそれまで「劉皇叔」と「劉景升」は「劉」の字が付く三文字の人というジャンルでひとくくりでした。
…すいません。でもそれでもおもしろかったんです!この本!!酒見さんはこの本を書くのにどれだけ「三国志」のことを勉強したんだろう…。すごくよくわかってなきゃ、逆にここまで書けないんじゃないか?!と思ってしまいます。すごいなぁ。
ちなみに、この本自体は劉備が諸葛孔明に会いに行く「三顧の礼」(それも名前くらいは知ってた)のシーン(それが「三国志」中でどのあたりの話なのかはやはり知らない)で終わっているのですが、それで「もっと読ませて!!」と思ってしまうわけなのですが、本日(2007年2月23日)まさにその続編、『
泣き虫弱虫諸葛孔明 第弐部』が発売だそうです。おぉ、運命…。読みますよ、読みますとも!!
【追記】
ちなみにどこもかしこもおもしろかったこの本の中で、一番ツボにはまってしまい笑いが止まらなくなったのは「Romance of the Three Kingdoms」のくだりでした。どのくらいおかしかったかというと、こらえきれず吹きだしたら、それまで口を閉じて笑いをがまんしていたせいで鼻水が(すいません、乙女なのに…)出そうになってしまい、慌てて花粉症のふりをしたくらいにおもしろかったです。くくくくく…(思い出し笑い)。