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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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海神(ネプチューン)の晩餐 [若竹七海]
4062083388海神(ネプチューン)の晩餐
若竹 七海
講談社 1997-01

1912年に起こったタイタニック号事件。まさに沈もうとしている船の上で、乗客として乗り込んでいたある探偵作家は、その未発表原稿を瓶に入れ封印し、海にそれをゆだねます。
そして二十年後の1932年、横浜を出港した大型客船「氷川丸」に乗り込んだ本山の手元には、その小説の原稿がありました。この原稿に隠された秘密とは?そして船上で次々と起こる奇妙な出来事の謎は??

物語の舞台が、満州事変の直後、日本が中国を侵略し始めたその頃で、まさにその事件の余波が取りざたされている現在、なんだか途切れることなく連綿と続く歴史の不思議というものをすごく感じてしまいました。

登場人物たちは皆とても好感が持て、ストーリーもおもしろく、ぐいぐい読ませるのに、その中にそこはかとなく漂う暗い感じ…。見え隠れしていたその暗さが、深刻な影を落とすラストには、とても重い宿題をもらったような気持ちになりました。この後の日本がどういう道を突き進んでしまうかを知っている私たちとしては…。なんというか、どうしようもできないやるせなさというか。時代の波に翻弄された彼らの人生が、何とも胸に苦く、苦しかったです。

でも、ほんとに全体のトーンは決して暗くないですし、おもしろかった、読んでよかったです。

そしてこの本の中にはいろいろ「本当にあったこと」や「実在した人物」が盛り込まれているらしいのですが、一番びっくりしたのが「日本人でタイタニックに乗船していて助かった人がいて、その人は細野晴臣さんのお祖父さん」ということです。知らなかった!
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ぼくのミステリな日常 [若竹七海]
4488417019ぼくのミステリな日常
若竹 七海
東京創元社 1996-12

社内報の編集をまかされた若竹七海。「小説をのせろ」という難題を与えられた彼女は、大学時代に小説を書いていた先輩に連絡を取ります。彼が紹介してくれたのは「匿名氏」。身分、名前はいっさい明かさないことを条件に、彼が毎月書きつづけた短編小説は「ぼく」の身の回りに起こる不思議な出来事たち。そして1年が過ぎ…。

若竹七海さんのデビュー作だそうです。最初から自分がいきなり登場人物ってすごいなぁ。この物語は、その「社内報」の目次部分と小説部分が1年分掲載されている、というおもしろい構成になっています。

「ミステリィ短編の新しい形だわ」とか思ってそれぞれの短編を読んでいたのですが…、最後にあっ!という仕掛けになっていました。それぞれの短編がそれだけで立派にミステリィとして成り立っているのに、さらに全体で一つのミステリィになっているのです。えー!と思って、おぉ!と思って、さらにえぇぇぇ!という感じ…。

しかし、後味が…「えぇぇぇぇ!」のままなんですけど(笑)。
背筋、ぞくり、です。
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心のなかの冷たい何か [若竹七海]
心のなかの冷たい何か
若竹 七海
東京創元社 1991-10

会社を辞め、ふらっと一人旅に出たわたしこと「若竹七海」は、その途中で一ノ瀬妙子という女性と知り合います。そのときはしばらくいっしょに過ごしただけで、そのまま別れた二人でしたが、その年のクリスマス直前、七海はふいに妙子から電話で「クリスマスを一緒に過ごさないか」と誘われます。ところが約束の日を待たずして、妙子は自殺未遂をし、植物人間に。そしてその妙子から七海のもとへ送られてきた不気味な「手記」。妙子の「友人」として、彼女の自殺がどうしても信じられない七海は調査を開始しますが…。

これだけ読んでもよくわからないところが…と思っていたら、この本は「ぼくのミステリな日常」の続編だったんですね。そっちを先に読むべきでした。でももう読んじゃったし!

ミステリィを読んでいて、最後のタネあかしで「あれ?そうだったの!」と思って最初の方を読み返すということはよくあるのですが、この本は途中でもう「あれ?」となってしまい、戻るハメになりました。こういう引っ掛け方ってすごいなぁ。しかも何度も戻りました。だってややこしいんですもの!!

そして、おもしろいはおもしろかったのですが、読み終わっても、イマイチすっきりしない私…。頭悪いかも!主人公の七海が探偵役で、捜査をしていくわけですが、何がどこでどうして「わかった」のやら、真相に近づいたのやらがわからず、いつの間にそんなことに?みたいな。で、えーと、結局どうなったんでしょう。そもそもなんでこんなに一生懸命捜査をするのかしら…。なんか、どんどん七海が自分で自分を追い詰めていくようで、苦しくて、読んでいて痛々しい感じすらしました。この辺も、一作目を読まないとよくわからないのかなぁ。しかし、このタイトルは秀逸だと思います…。
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サンタクロースのせいにしよう [若竹七海]
4087741621サンタクロースのせいにしよう
若竹 七海
集英社 1995-08

どうも最近悪いことが重なる…アパートにもガタが来ているし、この際引越しでもしようと考えていた柊子。そんなところに、友人の彦坂夏見から「友だちが同居人を探してる」と電話があります。友人の友人というだけでよく知りもしない相手との同居を決めた柊子を、その家で待ちうけていたものは…。ちょっと風変わりな同居人、銀子さんとの共同生活を軸に、柊子が経験する様々な出来事を、オムニバス形式で綴ったミステリィ短編集です。

なによりも登場人物たちのキャラがユニーク!みな愛すべき人たちです。「ミステリィ」と言っても日常のちょっとした謎解きくらいな「ご近所ミステリィ」です。えー?これはちょっとこじつけかも?と思ってしまうくらい…。私自身、まったくミステリィを意識しないで読みました。しかし、ミステリィでなくても、彼女たちの「日常ドタバタ生活記」としてだけでも十分おもしろいお話たちでした。

ものすごくうまいなぁと思ったのは、こういう連作の短編にかならず出てくる「状況設定の説明」。またその説明?とうんざりしてしまうような本も過去に読んだとがあるのですが、この本ではそれをまったく感じさせませんでした。毎回すごーくうまく、まったくわざとらしくなく、その説明がされているのです。すばらしい!

ところでこの柊子に銀子さんを紹介した友人「彦坂夏見」は…。もしかして「スクランブル」に出てきた夏見ですか?!おぉ。
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スクランブル [若竹七海]
4087743055スクランブル
若竹 七海
集英社 1997-12

今日は高校時代の文芸部の仲間の結婚式。久しぶりに顔をそろえた彼女たちが思い出すのは、十七歳だったころの自分、そしてあの事件。十五年前、彼女たちの通っていた名門女子校で発生した殺人事件で、殺されたのは同じ十七歳の女の子。犯人は結局捕まらなかった。彼女の命を絶ったのは誰なのか?十五年の歳月を経て明かされる事件の真相は…。

このお話はミステリーですが、その要素よりもむしろ「青春小説」みたいな要素の方が私には印象に残りました。今思い返せはちょっと恥ずかしいようなあの頃の記憶、そして胸の奥の痛み。これを読んだらみんなきっと自分の十七歳のころとダブるはず…。やさしくなったり、残酷になったり、反発したり。生意気で自意識過剰で偏屈でどうしようもなくて、でも笑っちゃうくらい一生懸命生きている十七歳の姿が、鮮やかに描かれています。このほろ苦さ…うまい!見事!制服の重さまでよみがえってきそうでした。

傷つけられることにも、一つだけ利点がある。それは、傷ついたひとの気持ちがわかるようになるということだ。
でもさ、どんなに傷ついても、知っているってことは、無知に対する武器になるんだ。
物語の中の各章のタイトルになっているのは、こんな単語たちです。「スクランブル」「ボイルド」「サニーサイドアップ」「ココット」「フライド」「オムレット」。全部卵料理の名前です。十七歳は本当にたくさんの可能性を秘めています。それはまさに「卵」。強くて、でも脆くて、どんなふうにでもなれる「卵」です。将来どんな料理になるのか、それは自分しだい。読み終わって、ステキなタイトルだなぁとしみじみ思いました。
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製造迷夢 [若竹七海]
製造迷夢
若竹 七海
徳間書店 2000-11

「若竹七海」さんという作家さんの本を始めて読みました。

奇抜なトリックを描くというよりは、もっと、人間の心や、感情や、そういうものが素敵に描かれているミステリーです。読んでいて、謎解きよりも登場人物の心のほうが気になってしまう、そんな本でした。

警察官・一条風太と、不思議な能力をもった女性・井伏美潮の物語。短編の連作集ですが、最後にとても素敵なプレゼントが待っています。イイ!
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