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呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
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青に捧げる悪夢
4048735934青に捧げる悪夢
恩田 陸 近藤 史恵 若竹 七海
角川書店 2005-03

豪華著者によるミステリーアンソロジーです。

・恩田陸 『水晶の夜、翡翠の朝』
閉鎖された学園に広がった「笑いカワセミ」の奇妙な噂。そしてその噂が引き起こした数々の事件の真相は…。

この本を手に取った一番の目的がこれでした。『麦の海に沈む果実』の学園の、その後のショートストーリーです。主人公はヨハン。理瀬が去った後の学園が舞台です。短いお話ですが、これから先に広がっていくであろう世界の恐ろしさまでを予見させる、そんな物語でした。ヨハン…。美しさと恐ろしさとたくましさに磨きがかかって…でも私はそんなあなたがとても心配です。


・若竹七海 『みたびのサマータイム』
十七歳の誕生日の夜、渚は海辺の「幽霊屋敷」のそばである青年と出会います。屋敷で起こった過去の事件とは?そして彼との関係は…。

先日読んだばかりの(というか、このために急いで読んだ)『クール・キャンデー』で主人公だった渚がここでも主人公。前作では相当ぎゃふんと言わされたので、結構用心しながら読みました。あの後どうなったか、これでわかるかしら…とも思いながら読んだのですが、その辺はぼやかされていて明言はされず。う〜、心にくい感じ…。とはいえあの頃十四歳だった渚ちゃんも、もう十七歳。大きくなって…とかしみじみしていたら、また驚愕の事実が。え!そんなこともあったの〜?!もうあの人ってばどうなってんのかしら…。でもこのラストは大好きです!


・近藤史恵 『水仙の季節』
双子の美少女姉妹の写真集の撮影を頼まれた駆け出しのカメラマン。彼が巻き込まれた事件とは…。

双子の姉妹…というのでマナカナを想像しながら読んでしまった私ですが。シンプルなショートミステリーでした。この後どうなるのかしら。彼はどうするのかしら。やっぱりかわいい子はオトク…。


・小林泰三 『攫われて』
「わたしたち、誘拐されたの。小学校から帰る途中、公園で道草してた時に」。散らかった部屋の中、彼女が唐突に語り始めた事件の真相は…。

途中で本気で貧血を起こしそうになりました。最後まで読んで倒れそうになりました。いやーっ!!やめてー!痛いー!よ、読まなきゃよかった…。


・乙一 『階段』
小学一年生のころ階段を下りられなかった妹。恐ろしかった父、父を止められなかった母。今振り返る家族の記憶は…。

小林さんの前作があまりに恐ろしかったので、もう読むの止めようかとおもったんですけど、がんばって読みました。でも相当びくびくしながら読みました。小林さんの衝撃がすごすぎて、こっちは結構あっさり読んでしまったかも。予想通りの展開でしたし。あぁ、でも怖くなくてよかった…。(何か感想として間違っている気もしますが。)


・篠田真由美 『ふたり遊び』
父も母も死んで幽霊になった。弟は行方不明になった。古い大きい「お城」で一人生活を楽しむ少女は…。

ちょっぴり怖いけれどきれいな、狂気の世界のお話。こういうのは苦手じゃない…むしろ好きかも。「うふふふふ…」「あはははは…」っていう声が闇に消えていくような…昔読んだことのある少女漫画のような絵が浮かびました。


・新津きよみ 『還って来た少女』
友人から自分にそっくりな少女を別の街で見かけたと聞かされた七穂。その少女の正体は…。

(ネタバレですけど)また双子かぁ、と(笑)。特に怖くもなく、普通に読んで普通に読了。ふーんという感じ…。


・岡本賢一 『闇の羽音』
行方不明の友人アカネを探して廃墟にもぐりこんだユリカとナオト。彼らがそこで出会ったものとは…。

普段私はこういう「異形モノ」をまったく読まないので、ある意味新鮮でした。特に好きじゃありませんが…。映像がリアルに想像できそうで、したら怖いのであんまりしないように読みました。でもイメージはマンガの「ハンガー×ハンター」…ぶるぶる。


・瀬川ことび 『ラベンダー・サマー』
避暑地での映画撮影をもくろんでやってきた三人の少年。ラベンダー畑で彼らが出会った可憐な少女の正体は…。

これは怖くないホラーでした。真相とかそういうのは何もわからずじまいですが、ほほえましくてよいではないですか。うん。


・はやみねかおる 『天狗と宿題、幼なじみ』
小学六年生の快人と春奈。夏休みの自由研究で聞いた長老の話の真相を確かめるべく、天狗山に上った二人は…。

この二人はかわいいなぁ。文章とか構成とか、物語的にはそんなに高評価ではなかったのですが、この二人のキャラがとてもよかったのでOKということで。大学生になった二人の物語っていうのも出ているそうなので、読んでみようかなと思います。『攫われて』以降、ものすごくびくびくしながら全部読んでいたので、ラストの作品がこれでよかったぁ〜…と心から思いました。
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I LOVE YOU
4396632517I love you
伊坂 幸太郎 石田 衣良 市川 拓司
祥伝社 2005-07

六人の人気作家が「恋愛」というテーマで書き下ろした豪華な短編集です。
男性作家のみのこういう本ってめずらしいんじゃないかしら…。

・伊坂幸太郎 『透明ポーラーベア』
動物園で僕が偶然出会った姉の恋人だった人。五年ぶりに再会したその人と、思い出す姉の思い出は―。

独特の文章でした。()がすごく多い…でもきらいな感じではなかったです。人と人の繋がりというもの。はかないようでいて、でもそれでいいのかもしれない。ラストのシーンはなんだか夢の中のような、魔法のような、なんともファンタスティックな感じでした。しかしこの主人公の彼女、なぜか全く好きになれないのですが…!


・石田衣良 『魔法のボタン』
失恋したてで落ち込む隆介と、そんな彼の愚痴につきあう、幼馴染でちょっと男っぽい女の子・萌枝。週末ごとに会ううちに二人は―。

話しかけるような隆介の一人語りがなんだかくすぐったかったのですが、さすが「上手い」なぁ。女の子もかわいかったし、意外性はなかったけど、でもなんだか全てのシーンがほほえましくて好きでした。男性の書く恋愛小説の王道??女性作家さんは絶対書かないと思います(笑)。


・市川拓司 『卒業写真』
「わたし」が偶然街中で出会った中学時代の同級生。なかなか思い出せなかった彼と、話がはずむうちに…?

ほほえましいです。いいですねぇ。すっかり歳をとってしまったので、私はもうこんなふうに素直に人と出会って話ができないような気がします。しかしそんな、ほんの数年前のこともすっかり忘れちゃうものなのかしら??大丈夫?ひさしぶりに自分の卒業アルバムを引っ張り出してみたくなりました。


・中田永一 『百瀬、こっちを向いて』
尊敬する先輩に頼まれ、彼の恋人と「つきあってるふり」をしなくてはならなくなったノボルですが…。

ストーリーとしては非常にわかりやすく、ありがちなのですが、とにかく構成が上手だなぁ!と思いました。今現在と、あの頃という過去と。行ったりきたりしながら、ちょっとずつちょっとずついろいろなことが見えてくる感じ。おもしろかったです。この二股男が憎めないのはなぜだろう…。キャラクターの魅力??


・中村航 『突き抜けろ』
電話する日も会う日も、きっちり決めたおつきあいをしている僕と彼女。そんな僕がある日友達に連れられて行った先で出会ったちょっと変った男性は…。

ラブストーリーという枠よりも、もうちょっと大きなことが書かれているみたいな物語でした。「突然降りてくる実感」。なんだかすごくわかるような気がしました。伝えたくていっぱいになる気持ちも。男の人の中では、友達と恋人と、こういう位置関係なのかなって思いました。やっぱり女とは違うなぁ。主人公の彼以外の登場人物のサイドストーリーとかも読んでみたくなります。


・本多孝好  『Sidewalk Talk』
別れを決めた男女の、最後の食事。これでもう会うこともないのだと思いながらも僕は―。

ぐっと大人の小説。(やっぱりタイトルは英語なのねと思ってみたり。)男と女の、なんというか寂しさみたいのがずっと漂って…そしてラスト。うわぁ、ぐっときました。これから彼らがどうなるのか、それが明確に書かれているわけではないですが、幸せになるなじゃないかな。二人の関係がどんな形であれ…。これがラストに収録されているのはやっぱりすごくいいと思います。
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恋愛小説
4104412511恋愛小説
川上 弘美 篠田 節子 よしもとばなな 他
新潮社 2005-01-26

サントリーの対象製品のウイスキー・ブランデー1本に、有名女流作家のオリジナル恋愛小説が1冊もれなくついてくる!、という「ハーフロック&ハーフブックキャンペーン」の作品たちを一冊にまとめた本です。

読みたいなぁとは思っていたのですが、ウイスキーとか飲まないのであきらめてました。一冊になってくれてうれしいです。装幀もステキ…。

・川上弘美 『天頂より少し下って』
靴屋の店員と客として出会った、涼と真琴の恋物語。

読み始めて、真琴の年齢がわかったところで「おぉっ」と思いました。いくつになっても、恋をすると女性は女の子だなぁ。恋をしてぐるぐる思う女。年齢を重ねてこういう女性になれたらうれしいかも、と思いました。


・小池真理子 『夏の吐息』
昌之、あなたがいなくなって六度目の夏が巡ってきました―そんな書き出しから始まる、思いを綴った一通の手紙。

この物語は全体が一通の手紙になっています。目の前にいない誰かに、語りかけるように綴られる手紙。なんだか切ないです…。こんなのは私はつらくて無理かも…。バカ男!くぅ!


・篠田節子 『夜のジンファンデル』
親友の夫・隆と過ごした、外国でのあの「一夜」。そして今また外国に旅立とうとする彼は―。

これぞ大人の恋…。ラストには泣きそうになりました。読み始め、乾いた感じの物語かと思ったのですが、どんどん引き込まれてこのラスト。こんなに短くても、すごく心に残る物語でした。こういう秘めた思い。苦しいけれど、ちょっとうらやましくもなってしまいました。あ、でもこれも絶対無理だ…。


・乃南アサ 『アンバランス』
同棲生活をしている瞳子と直也。すれ違う二人ですが…?

女の視点と男の視点と、途中で切り替わって描かれるので、どちらの気持ちもわかるだけに「あぁ!もう!」とじれったくなりました(笑)。アンバランス、だけど、それがバランス。読み終わってほんわかした気持ちになりました。ふぅ!よかったよかった!


・よしもとばなな 『アーティチョーク』
NYに赴任することになった恋人と、別れようと揺れる女性の物語。

やっぱりばななさんの書く物語は大好き…。こんなに短いのに大切なことがぎっしりつまっていました。物語自体も大好きです。この本に収録されている物語は、当然どれも「お酒」がちょっとずつ登場する物語なのですが、ばななさんのこれが一番「お酒」が前面に出てて、きっちり主役で、それにまた意味があって、そこもよかったなぁと思いました。


というわけで、さすがのラインナップ。全部はずれなし!でした。
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あなたと、どこかへ。
4163239502あなたと、どこかへ。 eight short stories
片岡 義男 甘糟 りり子 林 望
文藝春秋 2005-05-26

日産の『ティアナ』のサイトで公開されていた短編をまとめた本だそうです。
収録作品は以下の通り。

吉田修一  『乙女座の夫、蠍座の妻。』
角田光代  『時速四十キロで未来へ向かう』
石田衣良  『本を読む旅』
甘糟りり子 『慣れることと失うこと』
林望     『この山道を…』
谷村志穂  『娘の誕生日』
片岡義男  『遠い雷、赤い靴』
川上弘美  『夜のドライブ』

それぞれ「車」というものをモチーフに描かれた物語です。いろんな作家さんのいろんな味が楽しめて、とてもお得な本でした。

どうして車に乗るのかも、誰と車に乗るのかも、さまざまです。一人で乗ったり、大切な誰か(それは恋人だったり、家族だったり、懐かしい人だったり…)と乗ったり。笑ったり、泣いたり。どれも短いお話ですが、ささやかで暖かい光のような、そんなお話たちでした。

運転席でも助手席でも、「車に乗る」ということが、なんだかとてもうれしいことのような、幸せなことのような気がしてきました。ドライブに行きたいな…!
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秘密。―私と私のあいだの十二話
4840112347秘密。―私と私のあいだの十二話
吉田 修一他
メディアファクトリー 2005-03

レコードのA面・B面のように、ひとつのストーリーを二人の別主人公の視点で綴った短編十二編です。

何しろ執筆陣が豪勢です。
吉田修一、森絵都、佐藤正午、有栖川有栖、小川洋子、篠田節子、唯川 恵、堀江敏幸、北村薫、伊坂幸太郎、三浦しをん、阿部和重。
おぉぉ。ほとんどが一度くらいは著作を読んだことのある作家さんです。

・吉田修一 『ご不在票−OUTSIDE−』『ご不在票−INSIDE−』
荷物を届けに来た宅配便ドライバーと、その荷物を受け取る男との、
ドア一枚を隔てた悲喜こもごも。

これは全作品の中で一番ショッキングだったかも…。
このラストには救いがあるのか、ないのか。


・森絵都 『彼女の彼の特別な日』『彼の彼女の特別な日』
お互いに一つずつ願いを叶えあいませんか?―バーで出会った男女の、
それぞれの抱える気持ちを描いた物語。

おぉ、森さんの大人の小説がここにも…。
この先の物語が明るい感じがするところが好きです。


・佐藤正午 『ニラタマA』『ニラタマB』
電話でニラタマの出前を頼む男と注文を受ける女の、
携帯のアラームにまつわる物語。

片方が想像する物語と、もう片方のその現実と。
ほほぅ、こんなもんだよなぁという…。


・有栖川有栖 『震度四の秘密−男』『震度四の秘密−女』
結婚を控えたある夜、距離を隔てた男女をつなぐ、一本の電話の物語。

男ってバカだなぁ(笑)。やっぱり女の方が一枚上手…。
でもこの二人はきっとよい組み合わせだと思いました。


・小川洋子 『電話アーティストの甥』『電話アーティストの恋人』
電話アーティストだった叔母の死。遺品を整理するその甥と、
彼がかけた電話の相手の物語。

電話アーティストさんの作品の名前は全部電話番号…と。
個人情報保護法案がっ、とか全然関係ないことを思ってしまいました。
この「電話アーティスト」って発想がなんか小川さんらしいなぁと思いました。


・篠田節子 『別荘地の犬 A-side』『別荘地の犬 B-side』
ある別荘地で犬を拾った女性と、その犬を引き取りに行く女性の物語。

Aの物語がただBの準備編みたくなってしまったのがもったいなかったかな…。でもよかったよかった。


・唯川恵 『<ユキ>』『<ヒロコ>』
美しい女性であるユキと、まったく対称である女性「ヒロコ」の、
それぞれの幸せをめぐる物語。

これはどっちが幸せなのかなぁ…。十二時間眠れば現実は半分か。なるほど。でも『<ユキ>』を読むと『<ヒロコ>』の方は読まなくてもわかりました(笑)。


・堀江敏幸 『黒電話−A』『黒電話−B』
黒電話を欲しがる孫のためにそれを探す男と、その子の母親の物語。

これが一番好きだったかも!短い物語ならではのよさにあふれていたと思います。黒電話、私もまた使ってみたいなぁ…。


・北村薫 『百合子姫』『怪奇毒吐き女』
美しい学校の先輩に思いを寄せる男の子と、
その友達にして相手の女性の弟である男の子の物語。

まぁ、現実なんてこういうものです!(笑)。がんばれ、少年!


・伊坂幸太郎
『ライフ システムエンジニア編』『ライフ ミッドフィルダー編』

小学校の頃からの友人である、エンジニアとサッカー選手の物語。

こういう伊坂さんもいいなぁ…。すがすがしい感じがしました。
なんだか明日もがんばるぞ!というキモチになれます。


・三浦しをん 『お江戸に咲いた灼熱の花』『ダーリンは演技派』
時代劇ドラマに出演中の人気俳優とその恋人のくりひろげる、
ちょっとおかしな物語。

いいなぁ!これも好きです。いいなぁ、うん、いい!
この短さでこれだけまとまってるなんて、すばらしい!
この作品がこの中では二番目に好き…かも。


・阿部和重 『監視者/私』『被監視者/僕』
監視するものとされるものとのささやかな物語。

すごく短いのに、秘密めいていて奥が深そうでどきどきしました。
なんかもっと壮大な物語にもふくらみそう。


というわけで、こんな十二編。どれもほんとうに短いですが(むしろこれだけ短く書くというほうが大変なのでは…と思いました。)、楽しめました!
文庫本ですし、気楽に読めてオススメです。(図書館で借りたのですが、手に取るまで単行本だと信じてうたがわなかったわたし。びっくりしました…(笑)。)
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エソラ vol.2
4061795740エソラvol.2
講談社 2005-06-26

呼吸』以外にもいろいろおもしろい作品があったので、今回は全部の小説作品を読んでみました。(vol.1の時は伊坂さんのしか読まなかったので…。)

・柴崎友香 『夢見がち』
何気ない電車の中の会話…というのでしょうか。ラストまでよくわかりませんでした…象徴的な感じ?でもこの終わり方の印象に残り方というのはすごいと思いました。


・渡辺球 『翼よ、あれが』
もうずっと前から決めていた。ぼくはパパとママといっしょに空を飛ぶ。狂った歯車を元に戻すために。

これはよかったです。初めて読んだ作家さんでした。男の子ががんばるお話。このままマンガにして少年誌とかに掲載できそうな感じです。うまくいきすぎなのかもしれないですけれど、読んでいて心地よかったです。


・宮下奈都 『新しい星』
救いを求めて逃げてきた私に、村の老人は言った。「私たちの配置を換えてくれる人がほしいのです」

そういえば以前他のアンソロジーものの本でも宮下さんの作品を読んで、ちょっといいかも…と思ったのでした。これも好きです。ファンタジーのようで、でもよく読んでみれば何も不思議なことはなくて、普通の現実のような、そうじゃないような、少し変わったお話でした。登場する人々のキャラクターもよかったし、こういうラスト、私は大好きです。宮下奈都さん、個人的には要注目…。


・沙藤一樹 『わたしは天使の記憶』
父さんが、母さんが、死んだ。生き残った双子のおれとユキオ。彷徨する孤独な魂の行方―。

これは…これは正直微妙でした…。一気に読ませます、が、テーマがよくわからなくて、なんだかうまくまとまっていない印象。後味もかなり悪く…。これはホラーなのでしょうか?そういう読み方をしていなかったので、こんな印象になってしまったのかもしれません。ラストの方がかなり駆け足になっていたので、枚数が足りなかったのかなぁとか思ってみたり。しかし、ありがちな話かとおもいきや、こういうふうにいくというのは、ある意味斬新かも。
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コイノカオリ
4048735772コイノカオリ
角田 光代 島本 理生 栗田 有起 生田 紗代
角川書店 2004-12

以前に読んだ「ナナイロノコイ」の第二弾、みたいなものかなぁと思って読みました。いろいろな作家さんのアンソロジーものです。収録作品は以下の通り。

 角田光代 『水曜日の恋人』
 島本理生 『最後の教室』
 栗田有起 『泣きっつらにハニー』
 生田紗代 『海のなかには夜』
 宮下奈都 『日をつなぐ』
 井上荒野 『犬と椎茸』


一番のお気に入りはやっぱり栗田さんの『泣きっつらにハニー』。このタイトルからして好み…。父の工場が倒産。父の代わりに張り切って働こうとした兄は交通事故で入院。「史上最高に貧乏」になってしまった一家のために、高校生ながらも働かざるをえなくなった繭子は、マッサージルーム「蜜の味」で修行をはじめますが…というお話。悲惨な状況なのにどこか飄々とした繭子。いい!あいかわらず「栗田節」(←勝手に名づけてみました。)も健在で、よかったです。この人の書くものがもっと読みたいなぁ…。

角田さんの『水曜日の恋人』もなかなか。主人公は十三歳の女の子、真帆。毎週水曜日、カルチャースクールに通う真帆を送り迎えする母と、なぜかいつもそこにいるイワナさん。イワナさんは母の恋人だという…というびっくりな設定。子供って、大人が思ってる以上に大人だし、いろんなことをわかってるものなんですよね。きっと。シャンプーのエピソードがとてもよかったです。そしてなにより舞台がみんな自分の知っている場所だったことにびっくり。東神奈川のスケートリンクも、ダイヤモンド地下街の喫茶店も、東白楽のボーリング場も、全部、それこそ中学生のときにもよく行ったなぁ…と、なんだか自分が中学生になったような気分で読みました。

生田さんの『夜のなかには海』は、「好きなんだけどどうしても苦手」な先輩と付き合っている女の子の話。こういう感情を扱う恋愛小説ってなかなかないなぁというのに感心しました。わかる、ような、わからない、ような…。物語の中に「ナウシカに出てくる巨神兵」の話がでてくるのですが、「そういや昔いたなぁ。小学校の図工の時間に、ねんどで巨神兵作って、胴の部分へこませて『ちゅどーん!』とか言ってた男子。」というところで、「それはナウシカじゃなくてラピュタ…だよねぇ?」と思ってしまい、こんなどうでもいいところでひっかかってなんだか気もそぞろに読んでしまったのが残念でした(笑)。ところで、ラピュタの彼も巨神兵って言うんでしたっけ…??(まだひっかかっている私。)

宮下さんの『日をつなぐ』は、中学校で出会って、結婚した夫婦のお話。中学時代のエピソードのほほえましさと、現在の夫婦生活の現実感の対比がなんだか恐ろしく…。終わり方はさらに恐ろしく…(この後どうなっちゃうんですかー!)。そういう意味ではとてもよかったのですが、この人の書く食べ物はおいしそうじゃないなぁ…というどうでもいい感想も持ってしまいました。宮下さんの作品はこれが初めてだったのですが、他の作品も読んでみたいなぁと思いました。

苦手な感じだったのは、島本さんの『最後の教室』。この方も初めて読んだ作家さんなのですが、なんか、嘘くさいというか…。主人公の男の人がなんか。あまり伝わってこなかったです。(すいません。)

そして、井上さんの『犬と椎茸』は、最後に収められているだけあって、なんだか異色です。主人公がだいぶ年配なのです。(他の作品はみんな若い人が主人公でした。)昔、婚約者を奪われ、結婚されてしまった主人公。現在は違う人と結婚し、家族をもって生活していますが、そこへ、彼を奪った当人から連絡があり…。うーん。こんな風に後悔を残して過去の恋愛にしばられるような生き方は、私はしたくないなぁと思いました。今の旦那さん、いい人みたいだし、お子さんも立派だし、どうか現在の幸せに気づいて、そのまま今後は幸せに生きていってください…と思わず祈ってしまいました。

【追記】そして、全編「香り」がモチーフになっていたということに、今日(読んでから3日後)気づきました!そうか、だからこういうタイトル…。(←バカ。)
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ナナイロノコイ
4758410186ナナイロノコイ―恋愛小説
江國 香織 他
角川春樹事務所 2003-08

いろいろな作家さんが描く恋愛短編をまとめた小説集です。作家さんは、江國香織、角田光代、井上荒野、谷村志穂、藤野千夜、ミーヨン、唯川恵。知っている人あり、知らない人ありで、いろんな人の「恋愛小説」を読めたという点ではおもしろい本でした。それぞれの作家さんの本を読みつくしているわけではないので「持ち味」がどうとかこうとかはわからなかったですが…。

7つの短編のうちでは、角田さんの『そしてふたたび、私たちのこと』が一番好きかなと思います。高校時代からの女友達と、彼女たちの恋模様。「女の友情」ってものすごく微妙だと思うんですが、このお話で描かれている感情は、うん、わかる、という感じでした。久しぶりになつかしい友達の顔を思い出しました。

『ビルの中』(藤野千夜)も結構いいと思いました。藤野さんの本は前に『彼女の部屋』というのを読んで、それがまったく印象に残っていないのですが(スイマセン)、この短編はなかなか好きです。芥川賞作家さんなのですけどね!

『手のひらの雪のように』(唯川恵)は、なんか、うまくいきすぎ、というか、ありえない、というか、いや、ありがちというのか。あんまり好きじゃなかったかも…。たぶん、この主人公の女性のような女の人がすきじゃないのです、私は。唯川さんの本は、アタリハズレがあるというか、妙に響くものと、逆に全然好きじゃないのといつも両極端です。これはわたし的にはハズレかな…。

ちょっとびっくりしたのは『帰れない猫』(井上荒野)。内容がどうこうでなく、私は井上さんを男性だとずっと思い込んでいたので、この本で女性だと知り、それにびっくりしたのです。だってなんか男らしい名前なんですもん…。
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