プロフィール
chiekoa

呑まない日はあっても読まない日はない。というわけで、その日に読んだ本をできるだけ記録してみようという試みで始めました。コメントなど書いていただけるととてもよろこびます!
カレンダー
S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>
カテゴリー(作家さん別)
過去の読書日記
このサイト内を検索
OTHERS
  管理者ページ
  RSS1.0
  Atom0.3
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - | - |
不安な童話 [恩田陸]
4101234140不安な童話
恩田 陸
新潮社 2002-11

大学教授の秘書を務める万由子。早世した女性作家・高槻倫子の遺作展を見に行った彼女は奇妙な幻覚に襲われ気を失います。「あなたは母の生まれ変わりだ」と倫子の息子・秒に告げられた万由子。なぜ自分には自分が生まれる前に死んだ倫子の記憶があるのか?真相を調べ始めた万由子ですが…。

おもしろかった&怖かった、です。最初のプロローグからもう怖くて。狂気?何だかわからないけれど、漠然とした怖さ、みたいなもの。この頃から恩田さんは上手かったんだなぁと…。先が見えない不安と、先を知りたい好奇心と。このプロローグから、衝撃のエピローグまで、とにかく一気に読みました。読まされました。このエピローグがまた…ぞっとします。語りつくさないこの余韻。ひゃー!

本の扉で恩田さんは「本格ミステリーを書こうと思ったのにこんな奇妙な話になってしまっていた。本格ミステリー作家への道は険しく遠い。」というようなことを書かれていますが、そんな〜!もうこれで十分一ジャンルだと思います。推理小説とかそういう枠を超えて…すばらしいです。はい。
| あ行(恩田陸) | comments(8) | trackbacks(6) |
夏の名残の薔薇 [恩田陸]
4163233202夏の名残りの薔薇
恩田 陸
文藝春秋 2004-09-25

山奥のホテルに集まる、三姉妹に招待された人々。様々な人々の思いが交錯する中、雪に閉ざされたそのホテルで起こる出来事とは…。

うわぁ。すごい作品でした。何も知らずに普通に読み始める…途中であれ?となりました。そしてさらに読み進めていくうちに「主題」「第一変奏」「第二変奏」…と銘打たれた章タイトルの意味がわかりました。最初に提示された「主題」がまさに音楽のように次々と「変奏」されていく…。微妙に変化しながら、そしてラストへもつれ込んでいく音楽。ここで鳴っているのは美しい音楽なのか、不協和音なのか。何が起こったのか?そして何が起こらなかったのか??迷路に迷い込んだような気持ちで、最後まで一気に読みました。

「去年マリエンバートで」という映画が中心におかれたこの物語。実験的な小説なのかもしれませんが、おもしろかったです。その映画も見てみたくなりました。巻末の「あとがき」や「スペシャルインタビュー」もとても読み応えがありますし、一読の価値あり!だと思います。
| あ行(恩田陸) | comments(4) | trackbacks(3) |
蒲公英草紙 [恩田陸]
4087747700蒲公英草紙―常野物語
恩田 陸
集英社 2005-06

舞台は20世紀初頭の東北の農村。村をまとめる槙村家の、病弱なお嬢様の話し相手を務める少女・峰子。彼女の視点から語られる、彼女をとりまく様々な人々と出来事を描いた物語です。

言わずと知れた『光の帝国―常野物語』の姉妹編ともいえる作品です。時代は『光の帝国』よりもずっとずっと昔…。不思議な力をもった常野一族。槙村家に客人として彼らがやってきたことから、峰子の周囲は徐々に変わっていきます。とても不思議な雰囲気の作品です。静かで、深くて、でもどこか物悲しくて…。登場人物たちが、まっすぐに、真摯に、自分の人生を生きている様に、今の自分と比べてどうだろうと、恥じるような気持ちにもなりました。

「皮肉なものだね。どこに何があるか分からない昔の方が、我々は幸せだったと思わないか?今はどこに何があるのか分かっているのに、そのことがますます我々を不安にさせ、心配事を増やしている。」
そんな言葉が胸に突き刺さります。キナ臭い時代、いやおうなく流れに飲み込まれていく人々、そんな中で、「自分たちにできることを」静かに積み上げて生きていく常野の人々の存在が、一筋の光のように思えました。

ただ、個人的には『光の帝国』の印象からイメージしていた続編と少し違くて…衝撃的でした。衝撃すぎて、泣くこともできませんでした。

ずっと過去を回想する形で語られ、後ろに向けられていた視線が、ふっと前を向くその瞬間、そこに広がる今、現在の景色…なんでこんな風に彼女が過去に思いを馳せていたのか、それがわかった瞬間、胸が締め付けられるようでした。読みながら、こんな風なラストを想像していたような気も、していなかった気もします。この読後感をどうしたらいいのか、まだよくわかりません。彼女の感じていた「不安」「恐れ」、そして直面している「現在」の世界。これは決して「過去」のお話ではないのですから…。
| あ行(恩田陸) | comments(10) | trackbacks(14) |
ユージニア [恩田陸]
404873573Xユージニア
恩田 陸
角川書店 2005-02-03

まず最初に…これから読まれる方がいたら、いろんな書評とか感想とかあらすじ紹介とか、そういう予備知識はゼロで読むことをオススメします。そして、夏の暑い日に読むのがいいと思います。私もその状態で読んで、さらに図書館で借りたので帯がなかったのですが、読み終わってみると、それがベストだったなと思ったので…。(ってこの先自分の感想を書いたりするわけですが。)

意味ありげなプロローグ、誰が誰にとも知れず唐突に語り始められる話。いきなり雰囲気に呑み込まれました。いったい何が起こったのか?何がなんだかわからない。手探りで読み進めていく、その状況がすでに怖く、また故意にゆがめられた文字組みの居心地の悪さが不安にいっそうの拍車をかけて、何かものすごい怖いものをこの人たちは相手にしているのではないか、自分は読んでいるのではないかという気がずっとしてしまって、ぞっとしました。壊れかけた世界。そこに君臨する、人知の及ばない何か、圧倒的な力を持つ何か。

正直、読み終わって何が何だったのか、結局どうなったのか、何があんなに怖かったのか、それすらよくわからないような状態です。でも、もう一度読み返して筋道立ててそれをすっきりさせようという気にはなりませんでした。(いつもはそういうことしがちなんですけど…。)このラストには賛否両論あるみたいですが、私はこれでいいと思います。この漠然とした読後感ごと、この物語なんだなぁと。あぁ、堪能。『Q&A』に通ずるものがあると思いました。

そして、やはり注目すべきはこの本の作り。文字組みやフォントのみならず、本全体のデザインというか意趣がとても凝っています。表紙を開いたその一枚目からど肝をぬかれました。誰かと思ったら祖父江さん。さすがです。(これ、文庫化できるのかしら…。)
| あ行(恩田陸) | comments(12) | trackbacks(16) |
図書室の海 [恩田陸]
4101234167図書室の海
恩田 陸
新潮社 2005-06

夜のピクニック』の予告編として書かれた「ピクニックの準備」を目当てに読みました。それ以外にもお目当てはいろいろあって、『六番目の小夜子』の番外編「図書室の海」や、三月シリーズに登場する理瀬の幼い頃の物語「睡蓮」などなど。読みたかったもの満載。ミステリィあり、ホラーあり、SFありと、盛りだくさんの短編集でした。「恩田陸の世界」を満喫しました。ふぅ!

「ピクニックの準備」では、歩行祭前夜の貴子と融、そして「ある人物」の心模様が語られます。明日がどんな日になるのか、まだ知らない彼ら。それぞれの思惑を胸に、夜が更けていく。どきどきします。もう一度「夜のピクニック」を読みたくなっちゃいました。(もう、大好き!)

「図書室の海」は『六番目の小夜子』に登場する関根秋のお姉さん・夏の物語です。「六番目の小夜子」の時点では、もうあの高校を卒業してしまっていた彼女が、まだ高校生だったころの、彼女の「サヨコ」の物語。これを読んでいたら、高校時代のあの図書室にもう一度行ってみたくなりました。人がいなくて、静かで、窓から光が差し込んでいて、ちょっと埃の舞っていた、あのけだるい午後の図書室に。

そして印象に残ったのが、図書カードのこと。図書室の本の裏表紙のところにささっていたあのカード。一番乗りだとうれしかったり、気になる人の名前があるかどうか探したり。小さなどきどきの思い出。学校の図書室で、街の図書館で、私の読んできた本に付いている足跡。電子化の波にもまれて、これからどんどんなくなっていってしまうのでしょうか。便利さと引き換えに、失っていくものもたくさんあるんだなと、そんな事に思いを馳せました。
| あ行(恩田陸) | comments(12) | trackbacks(11) |
六番目の小夜子 [恩田陸]
4103971029六番目の小夜子
恩田 陸
新潮社 1998-08

とある高校に、十数年間にわたり受け継がれる奇妙な「ゲーム」。ゲームの主役は三年に一度選ばれる「サヨコ」と呼ばれる生徒。そして「六番目のサヨコ」が誕生するはずの今年、その高校にやってきた転校生の名前は「津村沙世子」。彼女の正体は?そしてこのゲームの真相とは?

「図書室の海」を読もうと思って、そういえばこの本には「六番目の小夜子」の番外編が収録されてるんだったなぁ、と思って、再読してみました。

…怖かった!読んでいる間何度も鳥肌が立ちました。これが何年も前に書かれたなんて信じられない…。まさに「色あせない」とはこのことだ!と思いました。恩田さんが書く「高校生」―というかあのくらいの「少女」ってなんてうまいんだろう!と再認識。あの危うげな感じ。弱くて、でも強くて、そして怖い。これがデビュー作なんですから、ほんとうにすごいです。

読みながら彼らといっしょに「春」「夏」「秋」「冬」を過ごして、そしてまた「春」になって。読み終わってしまうのが、この世界から帰ってきてしまうのが、残念な気持ちになりました。でも永遠に続かないからこそ、こんなふうに残るのが高校時代なのかなぁ…。

そして関根秋のお父さん、好き…。

というわけで、これから『図書室の海』を読みます!

| あ行(恩田陸) | comments(22) | trackbacks(17) |
夜のピクニック [恩田陸]
4103971053夜のピクニック
恩田 陸
新潮社 2004-07-31

上手く言うことなんてできない。きっと分かってもらえないだろうとも思う。
でも、あの一夜の出来事は、紛れもない奇跡だった。
ノスタルジーの魔術師が贈る、永遠普遍の青春小説。(帯より)
今読み終わったばかりだけど、もう一度読みたい、そう思わせる本でした。
これだけの厚さで、そう思わせる本なんて、そうそうありません。

朝の8時から、翌朝の8時まで、80キロの道のりを夜を徹してひたすら歩く―「歩行祭」。三年生にとっては高校生活最後のイベント。
その一日、たった一夜の物語です。

団体行動のあの空気。特別な夜のテンション。手に取るようにその空気が感じられて、読んでいる間、私も気持ちは彼らといっしょに歩いてました。彼らといっしょにどきどきしました。座って読んでいる自分の足すら、痛い気がするほどでした。

むちゃくちゃ感動するわけじゃない。泣けるわけじゃない。ただ、気持ちがあの頃に帰る。胸がいっぱいになる。でもそれって、ただ泣かせるよりもすごいことだと思うのです。

なぜ振り返った時には一瞬なのだろう。あの歳月が、本当に同じ一分一秒毎に、全て連続していたなんて、どうして信じられるのだろうか。
この物語がこんなに切なく胸にひびくのは、自分が過ごしてきた時間が、あの頃感じていたことが、すべてここにあるからでしょうか。そして、もう自分がそこへは二度と戻れないことを知っているからでしょうか。

映画化されるそうですけど、私は必要ないと思います。むしろもったいない。映像は必要ありません。この物語は、読んで、そして読んだ人それぞれの目の前に繰り広げられる世界を、読んだ人それぞれの感覚のままに感じて欲しいなと思うのです。胸いっぱいに広がる、ただ懐かしいだけじゃないこの気持ちを。切なさを。「本」という形で。それが最高の贅沢だと、私は思います。
| あ行(恩田陸) | comments(17) | trackbacks(28) |
劫尽童女 [恩田陸]
4334923585劫尽童女
恩田 陸
光文社 2002-04

秘密組織「ZOO」の研究者でありながらその研究成果もろとも組織から消えた伊勢崎博士とその子ども、遥。父の研究結果をフィードバックされ、人並み外れた能力を持つ遥と、躍起になってその行方を追う「ZOO」との戦い。殺戮を繰り返しながら、だんだんと成長していく遥の心は…。

望まない力を、しかも自分の親によって植えつけられた子どもの苦しみ。その能力ゆえにたくさんの人が死んでいくという事実。どうして自分にはこんな力があるのか?何のために自分は生きているのか?という葛藤。「地獄を隠し持って生きる」という記述があるのですが、その暗さに心がぐっとしました。

話の展開はスピーディーで、どんどん読ませます。最後まで一気に読んでしまいましたが、このラストはどうなのかなぁ…。前半・中盤でここまで盛り上げておいて、この終わり方はちょっとさみしかったです。えぇぇ?何?どうしたの?それでいいの?っていうかどうなったの?くらい唐突に終わってしまった印象でした。あぁ、恩田さん!まぁだからといって読んで損とかは全然思わないのです、これがまた。あぁ、恩田さん!いつもやられてしまいます〜…。
| あ行(恩田陸) | comments(0) | trackbacks(2) |
蛇行する川のほとり [恩田陸]
4120035875蛇行する川のほとり
恩田 陸
中央公論新社 2004-11

憧れの先輩、香澄に誘われ、香澄の家で夏休みの数日を過ごすことになった毬子。香澄と並んで憧れの人である芳野、香澄のいとことその友人。なぜ自分はここに呼ばれたのか、喜びながらも戸惑いをかくせない毬子。子どものころの彼らに何があったのか?彼らと過ごす「合宿」で幕をあけた物語の行く末は…。

まずなにより「本がステキ!」なのに感動しました。表紙の絵も、挿画も、装幀もすごくきれい。手元に一冊持っていたい感じです。(図書館で借りたので返さないといけないですが。)

物語は、しょっぱなから「何かある」「きっと何かある」「何か起こる」感が全開で、ちょっと怖いくらいの雰囲気でした。ピリッと張り詰めたような緊張感を持って読みました。そのおかげで一気に読めてしまいました。

高校生くらいの女の子の「気持ち」のゆれ、みたいなものが、なんでこんなにリアルに書けるんだろうと感心してしまいました。この本はミステリーなのかもしれませんが、いわゆるミステリーのおもしろさというよりは、少女たちの心の動きの描写のあざやかさに脱帽という感じです。
| あ行(恩田陸) | comments(4) | trackbacks(3) |
ドミノ [恩田陸]
4048733028ドミノ
恩田 陸
角川書店 2001-07-27

ある夏の日、舞台は東京駅周辺。今日の締切りまでに契約を成立させ営業成績を達成すべく殺気立つ保険会社の社員たち、俳句仲間とのオフ会のため生まれて初めて上京した老人、ミュージカルのオーディションを受ける母子、ミステリー同好会の幹事長のポストをめぐって争う学生たち、つきあっていた女性に別れ話を切り出すためいとこの女性に協力を頼む青年実業家、来日中のホラー映画の監督とそのペット(?)ダリオ、そして爆弾魔のグループの男たち…。お互いにまったく面識も関係もなかった彼らが、偶然入れ替わった二つの紙袋を軸に、事件に巻き込まれて行きます。

ある出来事が、また違った出来事を生み、それがまた思いもしなかった新たな出来事を引き起こす、その情景はまさに「ドミノ倒し」のごとくです。おもしろい!!ストーリーがおもしろいのはもちろんのこと、ちりばめられた小ネタがまた最高におもしろいのです。途中で何度ふきだしたことか!グイグイひきこまれて、一気に読んでしまいました。

恩田さんというのはほんとにいろんな作風をもった作家さんなんだなぁ…。脱帽です。

この本では、本編の前に「登場人物たちから一言」というページがあるのですが、これもまたおもしろいです。読み終わってからここを読むと、おもしろさもまた格別です!個人的には俊策おじいちゃんが一番好き…。
| あ行(恩田陸) | comments(10) | trackbacks(10) |